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ゆりスナ! 〜引きこもりの少女はスナイパーを目指します!〜  作者: ミカサ
第1章 人の温もりって……?
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由莉は努力します


 由莉は早速その日から特訓を始めることにした。



 服はまだ用意出来てなかったから今日は持ってきた服でやってくれ、と言われていた由莉は持ってきたリュックの中から自分が日頃使っているジャージを取り出しササッと着替えた。黒ベースで肩のラインに白の線が2本通っているシンプルなデザインだったが、すごく着心地がよくて由莉のお気に入りだった。

 着替え終わった丁度のタイミングでマスターが戻ってきたので由莉はマスターの元へ駆け寄り指示を聞こうとした。



「さて、由莉。この射撃場の外周はどれくらいあるか分かるか?」



「……?え、えっと……縦に……1500m……ううん、もう少しありそうだから2000mくらいですかね……?それで……横に750mくらい……?だから5500m……ですか?」



「……ほう」



 マスターは由莉の空間認識能力の高さに少し驚かされた。この距離感覚は掴むのか……当てずっぽうでは絶対に出来ないはずなのだが……



「ほぼ正解だ、由莉。正確には縦2050m、横800mで5700mだ」



 うん、嫌な予感がしていた。こんな事聞くからにはやる事は一つしかない。



「……走るってことですよね」



「うむ、まずは基礎をしっかり固めてもらう。由莉は……恐らく現段階では体力がないから体力作りをしてもらう。分かったな?取り敢えず、往復1回……4kmくらいだな。」



「はい……」



 10分走っただけでバテちゃったのになぁ……と思いつつ由莉はなるべく早く自分のペースで走った。



 ____1時間後



「はぁ……はぁ……はぁ…………っ」



 気絶しそうになりながらも由莉は何とか4kmを完走しきることが出来た。



「おかえり、由莉。20分休憩したらもう一本いくぞ」



「っ……分かりました」



 内心、えっ!?と思ってしまったがこんな所で音をあげてたらダメだと自分を奮い立たせると由莉は20分間身体のストレッチをしながら全力で体力の回復を待った。



 _____2周目、折り返し地点



 体力が回復する前に時間が来てしまい少し泣きそうになりながらも由莉は先程より少し早いペースで走っていた。走ったばかりなのもあったがなんだか足が少し軽くなった気もした。が、すぐに崩れ去ることになった。走っている最中、由莉はふくらはぎが急激に筋肉がピンと張ったような気がした。



(あっ、足がつりそ……ってやばいやばい!これやばい痛みだよ!)



 由莉は痛みに耐えきれずもんどりうった。長距離走ることに縁の無かった由莉は人生で初めてふくらはぎをつった。足がちぎれてしまうんじゃないかとも疑うくらいの痛さに由莉は悶絶した。

 しばらくすると治ったが地獄のような痛みを数分間味わった由莉は少し涙目になっていた。



(いっったい……こんなに痛いんだ……でも、これくらいじゃ……《《あれ》》に比べたら……背中をバットで殴られるのに比べたらっ!)



「まだ……っまだぁーー!!」



 こんな痛みくらいで……立ち止まってたらダメなんだ___!


 ___________________



 そんな痛みと闘いながら由莉はなんとか数時間のトレーニングを終えた。

 ランニング10km、ウエイトトレーニング、引きこもりの由莉には無限の苦痛のようだったが、これをなんとか耐えきってみせた。だが、終わった頃には身体はもうボロボロだった。足はもう生まれたての子鹿のようにプルプル震えているし呼吸も荒く意識も辛うじて繋いでるような状態だった。



「はぁ……はぁ……っ。つ、疲れたぁ……明日は……きっと全身筋肉痛だろうなぁ……あまり身体動かしてなかったし……うっ、頭痛い……目眩もする……」



 今にでもぶっ倒れてしまいそうな由莉を見兼ねたマスターは由莉に声をかけた。



「由莉、お疲れ。疲れているようだから用意した部屋のベッドで少し休んできなさい。夜飯は部屋に持っていく。阿久津(あくつ)、由莉を部屋まで案内してあげなさい。」



「了解しました。さ、掴まってください。」



「ぁ……ありがとう……ございます……」



 由莉は黒服の男の肩を借りながら地下から連れ出され、マスターの家の中の一室へと案内された。

 ひと通りの家具が揃えられている至って普通の部屋だったけど、素朴な感じで落ち着けた。



「由莉さんはこちらで生活することになります。欲しい物があれば私に言ってくださいね。後ほどマスターが食事を持ってくるとの事なので。」



「ふぁい……」



 その頃には由莉はもう意識が朦朧とし出し呂律され回らなくなっていた。黒服の男__阿久津はそのまま由莉をベットまで連れていくと由莉は事切れたかのようにそのままベットに倒れ込んだ。



「では、おやすみなさい」



「______」



 その間僅か数秒だったが由莉はすぐに深い眠りについたようで、返事は返ってこなかった。阿久津はそのまま起こさないようにと静かに部屋を出たのであった。

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