由莉ともう一人の由莉-アンサー-
〈そっか……それで、話戻すけどあなたは……自分の人殺しをマスターのためだと無理やり正当化しようとしてるんじゃないの?〉
「うん、そうだね」
何を当然のことを?と言わんばかりの由莉の言葉にもう一人の由莉はガクッと項垂れた。
〈わ、悪びれもせずに言ったね……〉
「でも……少し言い方が違うかな」
〈……どういうこと?〉
由莉は一つ深呼吸すると、ようやく辿り着いた1つの答えを自分に向かって言い放った。
____命を奪うことの恐怖から逃げて、
____見捨てられることが怖くて、
____無力さに塞ぎ込んで、
____知らない少女に会って、
____大切な人の役に立ちたいと願って、
____もう一人の私と出会って、
____殺意を覚えて、
そして辿り着いた___これが……私の答えだよ。
「私は、殺す事には躊躇いはある。そこまで機械みたいには……なれないよ。けどね、それは罪もない人だけだよ。悪い事をしてる人が標的なら__私は躊躇いなく殺す。それでマスターの役に立てるなら何人でも殺るよ。……私がスナイパーとして生きる事で誰かが救えるなら……誰かの役に立てるなら……そうやって生きるよ。もう迷わない」
自分でもすごい事言ってるなぁ……と少し思ったが由莉の紛れもない本心だった。
「そして__私自身が殺したいのはただ一人。あなたの辛そうな表情を見て決めたよ。……お母さんを殺す。あなたの為にも」
〈……ふふっ、あははっ、あははははははっ!〉
もう一人の由莉は呆然とその言葉を聞いていたが、突然笑い始めた。それが心からの笑いなのは初めて見せる由莉と遜色ないほどの可愛い笑顔が何よりの証拠だった。
〈あはは……はぁ、私のため……かぁ。私はあなたなんだよ?〉
「知ってるよ、あなたは私。けど、私にはない幼い頃の過去を知ってる私があなた」
もう一人の由莉はそれを聞いて、うんうんと頷きながら心から満足しているようなそんな表情を見せた。
〈ふぅ……そろそろいい……かな〉
「え……?どういう……」
聞くまでもなかった。もう一人の由莉は自分から出していた殺気を完全に消し対照的な優しい雰囲気を出していた。すごく近くにいるだけで暖かくなるようだった。
〈合格だよっ、私!〉
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次回、由莉と由莉




