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ゆりスナ! 〜引きこもりの少女はスナイパーを目指します!〜  作者: ミカサ
第5章 最終節 ???????
150/268

¿ウラガエルエガラウ?

 それから……55分後


 0:04:56


「おかえりなさい、マスター」


「久しいな、阿久津。それに、音湖も久しぶりだな」


「……ご無事でなによりですにゃ」


 帰ってきたマスターを阿久津と音湖は頭を床に向け跪いて出迎えていた。マスターは2人に頭を上げるように言うと、さっと立ち上がった。


「すまなかったな、阿久津。あっちで想定外の邪魔が入ったものでな、1ヶ月も遅れてしまった」


「出来れば連絡の1本くらいは欲しかったですが……でも、いいです」


「と、音湖。ここにいる経緯は既に阿久津から聞いている。由莉のために尽力してくれたようだな」


「いえ、由莉ちゃんには返しきれないほどの恩がありますので当然のことをしたまでですにゃ」


 音湖もマスターを前にして、語尾だけはそのままだったが、いつもの気の抜けた様子は一切なく、まさに真剣そのものだ。

 と、マスターは思い出したようにあることを尋ねた。


「それで、あれから由莉はどうだ?」


「…………とても強くなりました。私やねこでも一瞬では勝負がつかなくなりました。……そして、電話で話した通り、えりかさんが『こちら』に来たいと言いだしたのです」


「……話を聞こう」


 ほんの少し眉を細めたマスターに阿久津はえりかがそう言い出した経緯とそれを受け入れるきっかけになった出来事、それとえりかの能力について語るとマスター納得したように頷いた。


「そうか……」


「マスターも見てあげてください。それに、由莉さんも会いたくてうずうずしてますよ? それに、えりかさんも会ってみたいと言ってましたし、行ってあげてください」


 阿久津の言われるとおり、マスターは2人を引き連れるような形で地下へと入っていったのだった。


 0:01:49


 コツン……コツン…………


 そんな音が響き始めたのを由莉とえりかは聞いていた。由莉には分かっていた。阿久津と音湖の他に………もう1人別の……懐かしくも感じる音が聞こえているのを─────。


「っ! マスターが帰ってきたんだ! えりかちゃんっ!やっとマスターに会えるよ!」


「どんな人なんだろう……うぅ、少し緊張するかも……」


 0:01:38


 由莉とえりかはマスターたちが来るのを心待ちにしていた。もう、由莉に至っては階段を駆け上がってでもマスターに抱きつきたいくらいなのだ。


「あ〜えりかちゃん、うずうずしてきたよ〜!」


「そこまでゆりちゃんがたのしみにしてるなら……きっとすごく優しい人なんだろうな〜」


「ちょっと怖そうだけど……本当にすっごく優しいんだよ? こんな私を……ここに受け入れてくれたんだから……ね?」


 0:01:21


 そんなマスターと呼ばれる人に早く会いたい、えりかもそんな思いが一層強まっていった。

 いよいよ、降りる音が近くなってきて由莉とえりかは出迎えるために階段の前で待ち構えていた。




 0:00:10




(あぁ、早くマスター来てくれないかな〜っ)




 0:00:09



(ゆりちゃんのマスター……だれなんだろう……)




 0:00:08



 ようやくマスターが降りてくるのが見えると、由莉は真っ先に駆け出して抱きついた。それをマスターは慌てることなくしっかりと受け止めた。


「マスター! おかえりなさいっ!」


「ただいま、由莉。元気にしてたか?」


「はいっ! えりかちゃんとも仲良くなって……ねっ、えりかちゃん?」


 0:00:01


(この人が……この人が…………ゆりちゃんの……マスター? この人……………この人……どこかでっ!う……っ!?……頭がいた……い………いしきが……もう………───────)


 0:00:00


「──────」


「……? えりかちゃん、どこ行くの?」


 突然、揺らめくようにして由莉に背を向けてある場所へと引っ張られるように向かう。その様子に由莉は心配になって後を追った。


 そこに辿り着くとナイフを……本物のナイフを鞘から抜き取ると鞘を投げ捨てた。明らかに今までと違う動き。……今近づけば間違いなく殺される。そんな気配を由莉は察知すると、攻撃範囲外に回り込むようにして、同じくナイフを手に取った。


 そして……振り返った時、『それ』の目を見た音湖と阿久津は瞬時に臨戦態勢へと移行した。本能が囁くのだ────『まずい』と、


「……………ちっ」


 音湖や阿久津が身構えたのを見た『それ』は吐き捨てるように舌打ちした。目つきが棘のように鋭く、声が男かと思わせるくらいに低い。


「3人……さっさと殺すか…………あ?」


「ねぇ、えりかちゃん……なの?」


 由莉は後ろから忍び寄るとナイフを持っている右手首をしっかりと捕まえた。

 マスターに会った瞬間に人が変わったみたいにしているえりかを放って置けるわけがなかった。そんな由莉をえりか(?)はチラッと一瞥すると…………






「誰だ、おまえ」


「…………ぁ……」


 最愛の親友に掃き捨てられるように言われ、あまりのショックで由莉は力が抜けてしまった。……抜けてはいけない状況下で。


「邪魔だ」


「ぐぅっ!? ごほっ……ごほっ……っ」


 由莉が気がついた時にはもう遅く……既にえりか(?)の拳が顔面にめり込んでいた。そのまま腹を蹴られた由莉は2~3メートル飛ばされ息をする事が出来なくなった。

 膝を折って苦しそうに咳をして何とか息を吸おうとする。


 そんな様子を無様なさまだとゴミを見るような目で見下すと、それ以降、一切見向きもせずにマスターを睨みつけた。既に音湖も阿久津もえりか(?)の一挙一動を抜け目がないようにと睨みつけている。しかし、マスターに下がるように言われるとマスターのほんの少し後ろに控えるようにして立っていた。

 それを確認したマスターは1歩出るとえりか(?)と向き合った。


「問おう。君は一体何者だ?」


「しらばっくれるんじゃねぇよ、この人殺し。……《《ボク》》はお前を殺すために……この6年間生きてきた。ボクの……














 パパとママを殺したお前を殺すためにな」

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