表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆりスナ! 〜引きこもりの少女はスナイパーを目指します!〜  作者: ミカサ
第1章 人の温もりって……?
10/268

由莉は涙を流しました

「嫌だ……いやだ……!いやぁ……っ」



(ダメだ、もう黙って見てられん)



 涙を浮かべながら悲痛に叫んでいる由莉を見ていられなくなったマスターは由莉を起こすことにした。



「由莉、由莉!起きなさい」



「いや……い……っ!?マ……スター……?マスター……です……か?」



「あぁ、そうだ。仕事がひと段落ついたから食事を持ってきたんだが_____っと」



 由莉は自分でも訳が分からないまま気がつけばマスターに抱きついていた。何かに縋るように……何かからか助けて欲しいかのように。その手は……微かに震えていた。



「マスター……マスター……!」



「……よしよし……怖かったんだな。」



 マスターは由莉が抱きついていたことには少し驚きはしたが拒みはしなかった。そのままなんとか落ち着かせられないかと頭を撫でてあげた。女の子らしいサラサラの髪だった。自分の娘にだったらこんな風にやっているんだろうな、とマスターは撫でながら思った。



「っ!?」



 それはマスターからすれば何気ない行為のはずだった。

 けど由莉からすれば……その力強い手の温もりを……人の温もりを生まれて初めて経験したのだ。



(これが……人の温かさ……?とっても…………温かい……)



 自然と大粒の涙が由莉の目から次々に零れ落ちた。初めて誰かに自分を__大羽由莉という存在を見てもらえたという嬉しさが由莉の孤独でからっぽな心をいっぱいに満たしていった。



「由莉、大丈夫か?」




「私……っ誰かにこんなに優しくしてもらえたのが生まれて初めてで……嬉しくて……っ!」



「そうか……」



 マスターはそれ以上は話そうとはせずしっかり由莉を抱きしめてあげた。こういう事には不器用だったマスターにはこれくらいしかしてやれる事がなかった。



「マスター……ごめんなさい……!もう少し……もう少しだけこのまま……っ」



「あぁ……泣くだけ泣きなさい」



 由莉はそのままマスターの胸に顔を伏せたまま今まで我慢していた涙が全て溢れ出るように思いの限り泣きじゃくった。

 もう、いいんだ。我慢しなくて……いいんだ……そう思うと…………涙が止まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ