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プロローグ

赤い。



どこまでも赤い。



目の前にあるのは、全てを覆い、燃やし尽くす灼熱の炎。



大好きだった父。

大好きだった母。

大好きだった兄。

大好きだった、この家。



大切なものが、意図もたやすく灰となり、無残にも果てていく。






――コツ。


ふと後ろを振り返ると、見慣れた『彼』が立っていた。


『彼』は色のない瞳を私に向けていたが、やがて悲しみの色を滲ませ。







「もう大丈夫だから」





そう静かに言って、優しく私を包み込むと、そのまま私をきつく抱き締めた。

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