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真田幸村の逆襲
一 思いの力
時は大阪夏の陣、真田幸村は、瀕死の矢傷に耐えながら、家康を追い詰めた。
味方は一人もいない。家康の周りには兵隊が転がっている。幸村は、最後の一太刀を家康に振りかざした瞬間、「おのれ、真田!」と家康は声を発した。幸村は、急に踵を返して、自分の陣に帰って行った。その後、家康の雑兵に討たれた。もはや、大勢は決した。家康一人の首では、豊臣の天下は戻らない。幸村は、無念じゃが、「必ず天下を取ってやる」と憤激した。
大阪城は、焼け落ち、秀頼、淀の方等々は皆自刃した。幸村の長男・大助も果てた。
殺されそこなったものの家康の残党狩りは凄まじかった。特に真田の残党には容赦がなかった。その中で、幸村の九度山時代の妾の子・喜代は、熊野の山に逃れた。喜代は玉置山の寺にかくまわれ、坊主の身の回りの世話をしながら、生き延びた。喜代はお守りとして族譜をいただき、それを大切に守った。
「旦那様、ご冥福を祈ります」