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仮想戦記について、色々考えてみる。

仮想戦記は、とても面白いのですが、それゆえに色々と言いたい事突っ込みたい事がてんこ盛りです。

しかし、そんなものをその作品の感想に長々と書いたら、ご迷惑をかけてしまいかねません。

作者を誹謗中傷していると取られかねない表現になるかもしれませんし、作品から離れてどんどん脱線して私自身の私事も混じってしまいそうですし。


そこで、私自身のエッセイとして、そう言う事を色々と書こう、と思ったわけです。


私個人の独断と偏見に基づいて書いてますので、勘違いやら、誤りやらもあるかもしれませんし、もし読んでおかしいと思ったら、どんどんと突っ込んでいただけるとうれしいです。


なお、当然の事ですが、

私が『ここは、おかしい』と指摘した事柄を作者が気付いていないとは限りません。

作品を面白くするために、あえて無視したり、別の裏設定があって伏線になっていたりとか、後で言及されるとかもありうるからです。


『理路整然とした話が面白いとは限らない』


私自身が理路整然とした話に縛られている所があるので、色々と突っ込みたくなるだけの話です。


と、言う事で始まり始まりぃーーー



SUB:知らなかった事がいっぱい!


仮想戦記を読んで、色々と興味が湧いて来て大東亜戦争(大日本帝国名)について、あれこれと調べました。

いやー、知らなかった事が出るわ出るわ!。


ハワイって、すごく大きな島(群)だったのですね(真珠湾のあるオアフ島{1545平方km}だけでも沖縄本島{1207平方km}より大きい。)。

ガダルカナル島はもっと大きい!(5336平方km。千葉県より広い。)。


真珠湾攻撃の後にハワイを占領してしまう話がありますが、すごく大変だったでしょうね。

アメリカが沖縄を占領した戦いがどれくらいかかったかを考えると。

たとえ奇襲攻撃とは言え、大変な人員と兵器弾薬が必要になると思います。

たとえば、中国戦線が終わっているというような設定でもないと、当時の日本にはまず無理なのではないでしょうか?。

さもなければ、ハワイの人が日本の占領を歓迎してくれるような設定でもないと。



通常動力型潜水艦は遅い。

最新鋭の自衛隊の潜水艦(そうりゅう型)でさえ、水上13ノット/水中20ノットしか出ないのですね。

これでは空母(30ノットくらい)に追いつけない!。

まあ、巡航速度の空母(エセックス級で15ノットくらい)になら、追いつけるのかもしれませんけれど。

一方、原子力を使った米のロスアンゼルス級なんかは、水中で31ノットくらい出る。

空気がなくても好きなだけ機関を回せる『原子力潜水艦』と言うものの威力を再認識しました。



SUB:パナマ封鎖についての重箱の隅つつき。


日本が大東亜戦争中にチートの原子力潜水艦を使ってパナマ封鎖を行なう話がありますが、個人的には色々と疑問です。


まず、それにどれだけの意味があるのか?。

確かに回り道をしなければならないと大変ですけど、仮にも軍艦。

回り道出来ないわけじゃないのですよね。

艦を建造するのには数ヶ月単位の時間が必要なわけです。

その時間と比べて、どれだけ差が大きくなるというのか?。

交戦中で、東海岸のドックへしょっちゅう修理に行かなければならないなら、多少は意味もあるのでしょうけど。

しかし、それでも、それなら西海岸にドックを作ってしまえば良い訳です。

工業大国アメリカですから。


そして原子力潜水艦があったとしてもパナマ封鎖は本当に出来るのか?、という事。

ある作品中では、米太平洋艦隊が全滅したままで、新造の空母が出て来るのをパナマ湾の入り口で待ち構えていて、沈めているのですが、そんな事をしていたら対潜部隊を大量に配備されてあっという間に沈められてしまうのでは?、と思うのです。

何も(潜水艦にやられやすい)駆逐艦で沈める必要なんてありません。

たくさんの小さなボートにソナーを積んで、潜水艦をあぶりだし、飛行機で爆雷を投下して沈めれば良いだけの話です。

潜水艦だけでやっているなら、制空権はアメリカ側にあるのですから。

これが太平洋の真ん中で沈めているという事になると、範囲が広すぎて、いかにアメリカでも対処が難しいと思いますけど。

太平洋の真ん中で攻撃するのは、大変ではありますが出来なくはないと思います。

まず、パナマの情報部員が出航を知らせ、偵察機搭載の潜水艦(史実で実在)でその後を追いかければ良い訳です。

チートの高性能レーダーとかは、チート兵器の出て来る仮想戦記に付き物ですから。




SUB:ヘルキャットって、ゼロ戦より強い?


まず、この問い自体が無意味だと私は思うのですよね。


兵器とその有効性は、戦略、戦術と状況によって変わるもので、兵器単体の性能を取り出して比べても無意味だと。

敵と味方の置かれている状況がまったく同じ、と言う戦争は少ないです。

たとえば、大東亜戦争では、日米両国は生産力も大きく違えば、進歩している兵器分野も違えば、戦闘員の命に対する考え方も違いました。

侵攻して行く方と、守る方、そんな違いもあります。


そんな状況の違いがある中で、戦略、戦術と状況に合致した兵器こそが、最大の戦果を上げたのだと。

ヘルキャットは確かにゼロ戦より速いし、丈夫です。たくさんのゼロ戦を落としました。

でも、その性能だけでゼロ戦を落とせたわけではありません。


『一撃離脱戦術』

これが出来たのは、米側のレーダー技術と無線通信技術のおかげです。

相手より先に相手の位置を掴み、この戦術が出来る位置に移動する。

それが出来て初めて、この戦術が有効になります。

そして、ヘルキャットはゼロ戦を相手にこの戦術を行うのに最適な機体でした。

優秀な無線機でレーダーからの情報を得て先に相手の位置を知って有利な位置を取れ、

ゼロ戦より速く、急降下速度にも優れ、

操縦席の後ろ側に強固な装甲板を持っているので離脱した後で後ろから撃たれても撃墜されない。

しかも大きな工業力のおかげで、どんどん生産出来るので、数を集められる。

人口に余裕があるから、パイロットもいっぱい養成出来る。

新人搭乗員が、1回の攻撃で弾を打ちつくしてしまっても良いのです。

練度なんてなくても良いのです。

1回の攻撃で全部落とす必要なんてないのですから。

攻撃した部隊はそのまま逃げてしまい、改めて別の部隊が攻撃すれば良い。

数の勝利です。

そうして、どうなったかと言えば、

米では、戦闘を経験して『実戦練度』の上がった搭乗員が生き残ってどんどん増えて行く。

一方日本側では、その攻撃で熟練搭乗員が少しづつ減り、搭乗員の質がどんどん低下して行きます。

ミッドウエイでは空母ごと大量にやられました。

熟練搭乗員ならよけられた攻撃も、新人さんではよけられない。

そりゃぁ、バカスカ落とされる、と言うものです。



同じ事は、初戦で快進撃したゼロ戦にも言えます。

まず中国戦線で、ゼロ戦の長大な航続距離は、長大な爆撃行での爆撃機の護衛を可能にしました。

そして、搭乗員は、練度と性能の低い中国空軍相手に実戦を積み、練度を上げました。

ゼロ戦は、防弾装備や強度が貧弱な代わりに空戦性能が高い機体です。しかも当時としては強力な20ミリ機関砲を搭載していました。

でも、それを生かすには搭乗員の高い練度が必要です。

そして、対米戦が始まった時、日本には高い練度の搭乗員がたくさんいたのです。

米側は、日本の戦闘機をバカにしていて油断しまくり。

しかも、米側はそれまでヨーロッパでもアジアでも戦争に参加しておらず、実戦経験のある搭乗員もほとんどいなかったかも知れません。(せいぜいシェンノートとかの義勇兵くらい?。)

そんな状況で戦争したら・・・

そりゃ、バカスカ落とせるというものです。

『落ちないはず』の重装甲のB-17も20ミリ機関砲で落とされ、戦闘機はゼロ戦の高い旋回性能とそれを生かせる搭乗員によって巴戦で落とされ、ゼロ戦の天下と相成ったわけです。


余談ですが、ラバウル航空隊が快進撃していた当時、ラバウルには『坂井三郎』と言う搭乗員がいました。

『大空のサムライ』と異名を取るこの方は、視力を鍛え上げていて、いつもアメリカ側より先に敵を発見していたのですね。

そのおかげで、日本側は敵に気付かれるより先に、有利な位置から先に攻撃出来ていたそうです。

その後、敵の艦載爆撃機の編隊を戦闘機と見誤って後ろから近づき、目と頭を負傷して何とか基地には帰りついたものの、片目を失ってしまいました。

目は片方がダメになると、もう一方もかなり視力が落ちるそうです。

個人的には、この方の存在が、ラバウル航空隊の戦果に大きく貢献していたのだろうと思うのです。


でも、ミッドウエー海戦で熟練搭乗員を失い、米側のレーダーの発達で先に発見されるようになり、物量に圧倒されゼロ戦の天下は続きませんでした。

ふんどし一丁で強力な武器を持ち、鎧を着込んだ鈍重な敵に挑むようなものですからね。

先に敵を見つけ、敵の攻撃をかわせる技量があれば有利でも、先に敵に見つかり、敵の攻撃をかわせなければ・・・

新人搭乗員は、技量をあげる前に次々にやられ、せっかくの空戦性能も生かせない。

負けるわけです。



と、言った所で、仮想戦記の話ですが。

アメリカ側にヘルキャットが配備されただけで、ゼロ戦がバカスカ落とされる話があるのですよね。

その作品の設定では、日本側もレーダー技術や通信技術が進んでいる上に、ミッドウェー海戦がなくて日本の熟練搭乗員は健在、逆に米側は、空母をみんな沈められてしまったので、搭乗員の実戦練度はないに等しいと言う状況なのに。

しかも、米側の『艦載爆撃機の護衛戦闘機』に。

ゼロ戦を襲いに来る、とか迎撃すると言う状況なら、一撃離脱戦術も有効ですけど、爆撃機を護衛してくる場合は、一撃『離脱』するわけにはいかないと思うのですよね。残して来た爆撃機がやられてしまうから。

ヘルキャットの頑丈な装甲と速い速度のために撃墜する事は出来なくとも、練度の高さと空戦性能の高さで攻撃をかわし、敵攻撃隊を阻む事は十分に出来ると思うのです。

新人さんは、すぐに弾を打ち尽くしてしまいますし。

さらに、こちらにも高性能レーダーがあるなら、一撃離脱戦術を取れるようなポジションにはつけさせないで済みますし。




と、言うわけでもっと戦術や状況、結果がガラッと変わってしまってもいいのじゃないの?、と思うのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] パナマ運河破壊。 アメリカに経済的な大損失を生じます。軍事作戦の戦力展開 に無駄な数カ月と海難事故による損傷や破壊・・・ 日本が喜望峰周辺で攻撃に出ればアメリカ海軍は多数の 艦艇と航空機を防…
2018/10/27 07:34 退会済み
管理
[気になる点] 今や観光地として有名なダイヤモンドヘッドは要塞砲と指揮施設があった場所なんですよ。見るからに破壊が難しくて戦艦より遠くを見渡せる観測所を持つ米軍を前にどうやってオワフ島に上陸できたんだ…
[一言] 私も仮想戦記を読んだり書いたりしているのでたしかにとかなるほどと思うところが多くありました。 三つほど思ったことがあるのでコメントさせていただきます。 先に戦略に関する知識は少ないほうだと思…
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