桜が散る
桜が散る
風もないのにはらはらと散る桜
真っ青な雲ひとつない日
生きることをあきらめたのではない
生きた証のために
桜は散る
散るために咲いたように
いちまいいちまい美しく
空を舞う
どこに行くと決めたのではない
どこに行く当てもない
ただ瞬間を生きるために
あなたが散る
桜の花のように
散ることは誰もが知っていたのに
なぜこんなに悲しいのか
あなたのために悲しいのか
自分のために悲しいのか
あなたの生きている瞬間は
涙が出るほどに美しい
吹き溜まりに寄せられた
ピンク色の花びらを両手ですくう
つめたい花びらが私の手のひらをくすぐる