オカルト好きなクール男子の登場
図書館に着くと真っ先に誰でも利用できるパソコンの前に向かった。
『パラレルワールド』検索
検索結果は
「パラレルワールドの体験談」
「パラレルワールドの行き方」
「パラレルワールドとは」など色々あるけれど一番多いのはパラレルワールドを使った小説や映画の説明だった。
更に『パラレルワールド 戻り方』検索
やはり「パラレルワールド 戻り方」ではヒットしないで「パラレルワールドの行き方」ばかりが乗っている。
パソコンの前で悩んでいると後ろから声が聞こえてきた。
「何? パラレルワールドを調べているのか? 俺が卒業した後にキミも少しは進歩したんだなぁ」
え? 私の存在を知ってる人がいるの、この世界で?
急いで振り返るとオカ研OBの五十嵐先輩が私の肩越しにパソコンをのぞき込んでいた。
五十嵐 陸。私よりも二つ年上の先輩で、今は大学一年生。かなりイケメンのクール男子だけれど中身はオカルト大好き(オタク)でオカルトの話になると急に瞳がキラキラ輝いていたっけ。五十嵐先輩が目当てでオカ研に入部してきた女子も多いという噂もある。
でも私は超怖がりでオカ研の中では異端児。五十嵐先輩は、そんな私にはクールじゃなくてハッキリと冷たかった。
――五十嵐先輩って苦手なんだよね。
でも今の私の状況は、苦手とか贅沢を言っている余裕はなかった。
「い、五十嵐先輩! 私のことがわかるのですか?」
「え? 桐村だろう?」
「先輩、握手してもらってもいいですか?」と感激のあまりに変なことを口走ってしまう始末。
しかも大きな声だったみたいで司書から注意されてしまった。




