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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
七日目
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USBメモリ

 ジリジリしていると先輩が戻って来た。こうなったら持久戦だ。ふたりで学生が席を離れるのを見張り続ける。周りの人達が休憩に席を立ち去っても学生だけは勉強を続けている。


 もう、どのくらい時間が経ったのだろう?


 自習室の壁掛け時計を見上げる。二時過ぎだった。もうかれこれ二時間半は見張っていることになる。そろそろ交代で休憩でも取りましょうかと先輩に提案しようと思った時だった。


 学生が筆記用具やノートをバッグにしまい始めた。先輩と顔を見合わせる。そして今度こそ本当に学生は立ち去った。


 ふたりでその席に歩み寄る。そして椅子を引いて机の下をのぞく。

「「あった」」ふたりの小さな声が重なった。

 机の下にはUSBメモリが転がっていた。少しだけためらってからUSBメモリをそっと拾う。

「これが例のUSBメモリか?」

「はい、たぶんこれです」



 そして今は先輩のマンションのリビングにいる。一応、制服に着替えた方がいいかもしれないと言われたので制服に着替えた。


「USBメモリをさしこむ前に先輩とふたりで写真を撮ってもいいですか?」と聞いてみる。

「スマートフォンで?」

「はい、もし戻れた時にどちらかの記憶がなくなってしまっていてもふたりで写真を撮っていれば思い出せるかもしれないから……」

「そうだな」そして先輩の部屋をバックにふたりで並んでそれぞれのスマートフォンで写真を撮る。


 私はその写真をスマートフォンの壁紙に設定してスカートのポケットに入れる。

「先輩、USBメモリをさしこむ時はひとりにして下さい。先輩がどこにも行かないように」

「でも……」先輩はためらっている。

「お願いします」

「わかった、待ってるから」先輩は頷いてみせた。

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