表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
七日目
43/46

運命の五月七日

「わかった。俺も前向きに方法を考えよう」

「先輩、私この世界から戻れなくても……」と、言いかけた言葉を遮るように先輩は言った。

「待ってくれ。その続きはキミが元の世界に戻ってから聞こう」

「でも、戻れないかもしれない……」

「俺が絶対に戻してやるから」


「でも、戻っても今までの記憶を忘れてるかもしれない」

「その時は思い出させてやるさ」

 こんな熱い先輩を見るのは初めてかも。先輩を、そして自分自身を信じよう。

「はい、先輩を信じます」と答えると同時に私の瞳から涙がはらはらと溢れてきた。

「キミは本当に泣き虫だなぁ」と、頭をポンポンと叩いてくれた。


 レストランを出た後まとめてあったに荷物を持ってロビーに向かった。

 先輩がチェックアウトをしている間、スマートフォンでパラレルワールドについて調べてみる。

 やっぱりこれだって方法は見当たらない。私は大きなため息をついた。

 やっぱり帰れないのかな? でも、こんな毎日を送るのは悪くないなぁ……。そんなことを考えていたら気がついた時には先輩が目の前に立っていた。


「よし、今から一度マンションに戻って荷物を置いてから図書館に行くぞ」

「図書館ですか? もう何回か行きましたよ」 


「今日は何日かわかるか? 今日は運命の五月七日だ」

「あ! 私がこの世界に迷い込んでしまった日です」

「行く気になったか?」

「はい、今日なら図書館で何かが起こりそうだもの」少しだけワクワクしてきた。


 それから急いでマンションに荷物を置いて図書館に向かう。

 

 図書館に着くとふたりとも真っ先に自習室に向かう。

 でも、私がUSBメモリを拾った席は男子学生が勉強をしている。

 平日のこの時間帯に私服で図書館に来ているのだから大学生か予備校生なのかな?


「たぶんUSBメモリが現れるなら、あの席だろう」と先輩が囁く。

「私もそうだと思います」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ