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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
七日目
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先輩についてのイメージ

 結局昨夜は本を読みながら寝てしまった。寝不足が続いているせいか何だか頭が少しだけ重く感じる。贅沢だけど朝からシャワーを浴びることにした。熱めのシャワーを浴びたら少しだけ気分が良くなった。


 すぐにでもチェックアウト出来るように支度を終えて窓際のソファに座わる。

 一昨日から元の世界に戻る実験をしていない。先輩は何か考えてくれるかな?

 そんなことを考えていたら先輩からメールが届いた。『ロビーで待ってます』


 二十分後にはふたり揃ってレストランにいた。軽い食事が終わりコーヒーをふたりで飲む。

「ここのコーヒーは先輩の淹れてくれるコーヒーに似てますね」

「ああ、ここと同じ豆を使っているんだよ。淹れ方も特別に教わったんだ」と先輩は嬉しそうに話している。先輩ってオカルト関係以外の話でも笑顔で話すんだ。


 この世界にきてから先輩についてのイメージが変わってきた。

 初めの頃は冷静に私のことを実験動物のように見ていたと思う。でも、いつの間にか変わっていた。気がつくと仲間になっていた。


 この世界にくるまで何で先輩が人気があるのかわからなかった。

 女子部員から人気があるのはイケメンだからだけだと思ってた。

 でも男子部員からも人気があるのは理解できなかった。

 ただの冷たいオカルトオタクだと思っていた。


 でも本当の先輩は優しい人だった。今ならハッキリと先輩は優しい人だって言える。


 先輩の顔を見つめながら、そんなことを考えていた。

「先輩、何だか私この世界が嫌いじゃなくなってきました」

「少し前までは泣いていたのにな」と先輩は皮肉な笑顔を返す。

「オカルト関係も先輩のおかげで興味が湧いてきました」

 

 先輩は不思議そうに黙って私を見ている。

「この世界も先輩がいてくれたから嫌いじゃなくなったのかもしれません」

「でも、この世界には……たぶんきみの戸籍はない、学校も病院も行けない世界だ」

「ええ、それに先輩に迷惑をかけなければ生きていけない」

「迷惑とは思ってないよ」

「でも、一生先輩の庇護下にいることはできません」

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