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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
六日目
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元の世界に戻ったら

 夕食はルームサービスで軽く済ませた。


 早めにお風呂に入ることにする。実は私はぬるめのお風呂で本を読むのが好きなのだ。この世界に来てからは先輩の本を借りていたのでお風呂に落としたら大変なのでできなかった。


 今日は先輩に買ってもらった本があるからお風呂で読書してみようかな、なんて少しだけ考えてみたけれど、やっぱり先輩から買ってもらったものだからお風呂で読書はできなかった。なんとなく湯気でヨレヨレにしたくなかったから……。


 先輩はどんな顔をしてあの作者の本を二冊もレジに持って行ったのかなぁ……。なんて考えながらお風呂に入った。


 お風呂から出ると、ベッドに寝ころぶ。


 本当に先輩変わった。去年はあんなに冷たかったのに……。そんなことを考えていたら昨夜の先輩が言った、帰したくないって言葉を思い出す。今更ながらに頬が熱くなる。


 私も変わったかもしれない……。去年はあんなに先輩のことが苦手だったのに、今は少しだけ離れているだけなのに気がつくと先輩のことを考えている。


 先輩が言うように元の世界に戻ったら先輩も私も今のこの気持ちを忘れてしまうのだろうか……。


 また先輩のことが苦手になってしまうのかな?

 そして先輩もまた冷たくなってしまうのかな?


 私は今、考えた可能性を打ち消すように頭をぶんぶん振った。

 先輩からもらった本を読もう!

 それから三十分、部屋の中はページをめくる音しか聞こえなかった。


 ストーリーが頭に入ってこない……。

 気がつくと同じところを読み返していたりしてなかなかページが進まない。せっかく先輩に買ってもらった大好きな作家の最新作なのに。

 いつもはこのくらいのページ数ならニ時間くらいで読み終えてしまうのに、今日は三十分経ってもしおりはまだ表紙に近いとこに挟まってる。


 読書を諦めて窓際にあるソファに座って夜景を眺める。夜景はとてもキレイなのになぜだか心に響いてこなかった。

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