恋愛小説
いつの間にか寝ていた。
窓から見える空はオレンジ色に染まりふわりふわりと浮かんでいる雲はピンク色。夕陽をゆっくり眺めるなんて久しぶりかも。
その時、スマートフォンの着信音が鳴る。先輩からのメールだった。
『お土産を持ってきた。ロビーで待ってます』
お土産? なんだろう?
急いで『今から行きます』と返信した後にバスルームで顔を洗い髪を簡単に整えてロビーに向かう。
先輩は掛け心地のいいソファに座ってスマートフォンを見ている。
ニュースでも読んでるのかな?
それから十分後に私達はラウンジにいた。
理由は、私が勝手にお土産をスィーツだと勘違いしたからだった。いいわけを言わせてもらいますと桐村家では『お土産買ってきたよ』というと必ずスィーツだという習慣があるからなの!
先輩はコーヒーを、私はコーヒーと本日のお勧めケーキセットを注文した。
ちなみに先輩からのお土産はまだわからない。
「部屋に戻ってから見るように」と渡されたのだ。重さは結構重い。
「じゃあ、明日は10時頃に迎えに来るから」と先輩は帰っていきました。
部屋に戻ってから先輩からのお土産を見る。本屋さんの包み紙でラッピングされていた。
二冊分かな? これで長い夜も退屈しないで過ごせるかも。包装紙を開いてみると、私の好きな恋愛小説を書いている作家の新作の小説が二冊入っていた。
先輩のことだからお勧めのSF小説かミステリかと思ったけれど、なんで先輩は私の好きな作家を知っているんだろう? う~ん……。
よく考えてみると先輩と一緒に観たDVDの映画の原作がこの作家だった。
DVDを観る前に、この作家のラブストーリーの世界観が好きなんですって少しだけ説明したのをちゃんと先輩は覚えていてくれたんだ……。




