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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
五日目
36/46

告白 

「朝も話したけれども今日の午後は気分転換しよう。今からDVDでも借りに行くか?」と先輩は少しだけぎこちない笑顔で言った。

「はい! お供します」私も先輩の気持ちが嬉しかったので半泣きの笑顔で答えた。


 

 レンタルDVDのお店にはふたりで歩いて行った。

「先輩、どんな映画を観ますか?」と話しかけながらも目はパラレルワールドやSF作品を探してしまう。

 そんな私の気持ちがわかるのか先輩は無理するなと私の頭をポンポンしてきた。世の中では壁ドンが流行ってるみたいだけど断然私は頭ポンポンを推します!


 先輩がキミの観たい映画でいいよって言ってくれたので、前から気になっていた小説が映画化された恋愛映画を三本選んで先輩に見せに行った。少しだけ先輩は渋い顔をしたのでおもむろに後ろに隠していた、先輩の好きそうなホラー映画を差し出した。先輩は一瞬だけ目を丸くした後に大きく頷いてくれた。なんでも先輩イチオシのホラー映画だったみたい。


 レンタルDVDのお店からの帰りにコンビニに寄ってポップコーンやポテトチップスや飲み物をたくさん買って帰る。


 マンションに帰ると先輩は本格的にリビングのカーテンを閉め室内を暗くした。そしてふたりでソファに座って大画面テレビで八時間ぶっ通しで観た。いつの間にか憂鬱な気分が消えていた。


 映画を四本見終わったら既に夜の十時を過ぎていた。先輩が淹れてくれたコーヒーを飲みながら最後に観たホラー映画について感想を話し合っていた。ふと、ふたりの会話が途切れた。


 先輩はコーヒーカップをのぞき込みながら「やっぱり帰りたいよな?」と囁くような声で言った。

「はい、帰りたいです」

 先輩は私の顔を見つめてから「俺は帰したくない。キミは帰ったらまた俺のことが苦手になるだろう? だから帰したくない」と激しい口調で言った。


「そんなことないです。先輩が優しい人だってわかったもの」私も必死だった。

 先輩はゆっくり頭を振りながら「キミを困らせるだけだな……。ごめん、さっきの言葉は忘れてくれ」と先輩は淋しそうな顔をして部屋に入って行ってしまった。

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