キミは危機管理能力が俺より高い
食事を終えてから本日の作戦タイムに突入。
「今日は病院の廃墟に向かう。時刻は逢魔が時か夜に探検予定。今のところ候補先が三つだ。キミはどう思う?」先輩は食後のコーヒーを飲みながらおもむろに話し始めた。
私は先程、先輩が送ってくれたメールを表示してスマートフォンをテーブルの上に置く。
メールには
『N病院。手術室で心霊現象が度々目撃されている。
K医院。2階の病室で心霊現象が度々目撃されている。
F診療所。木造建築の古い小さな建物、診察室で心霊写真が撮れると噂がある』
三つの病院の名前と心霊スポットと地図のアドレスが添付されている。
「まず、三つ目の木造建築の古い診療所は探検するのには危険だと思います」と私は断言した。
「心霊スポットなんだから危険は覚悟しないと」と先輩は眉をひそめている。
「先輩、心霊現象に遭うから危険ではなく、古くて木造建築物なら中を探検中に崩壊の恐れがあるから反対なんです」
「なるほど。キミは危機管理能力が俺より高いな」先輩は感心した顔で私を見ている。
先輩に褒められるとは思っていなかったので照れてしまい「ただ怖がりなだけです」と苦笑する。
「今のところ候補は2つか……」先輩は頬杖をつきながら考え込んでいる。
「実は私は心霊スポットに行くことに違和感があるんです。不本意に亡くなった人達の霊を見物しに行く、という行為に拒否感があるのですが……」と私は恐る恐る発言した。




