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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
四日目
25/46

先輩の素顔

 今朝は久しぶりに早起きした。

 リビングに続いている廊下を歩いていると先輩の声が聞こえてきた。気になって忍び足でリビングに向かってみる。するとそこにはスゴい光景が広がっていた。


 な、なんと先輩がお掃除ロボットに話しかけていたのだ!


 先輩は左手はウエットティッシュの容器を持ち腰に当てて、右手はお掃除ロボットを指さし「おいおい、今の隅の掃除は手抜きだぞ、お掃除ロボットのクセに……」と文句を言っていたのだった。


 面白いから声をかけずにしばらくの間、先輩VSお掃除ロボットの攻防戦を見ていることにした。しばらく先輩はお掃除ロボットの働きぶりを監視していたけれどウエットティッシュでテーブルの上を拭き始めた。その先輩を避けるようにお掃除ロボットが足元を動いている。まるでペットが先輩に甘えているように見えたのでつい笑ってしまった。


 笑い声に反応して先輩がこちらを見る。羞恥のためなのか頬は赤く染まっている。頬の赤いイケメンなどなかなかお目にかかれないから、その光景を頭の奥に大切にしまっておくことにする。


「先輩、おはようございます。朝からお掃除ですか?」と何事もなかったように話しかけてみた。

「いつから見ていた?」あら、先輩怖い顔に怖い声。やっぱり、バレてた?


「先輩がお掃除ロボットに話しかけていたところからです」と、恐る恐る答えた。

 先輩は何か文句を言うつもりだったのか、私をしばらく見つめていたけれど大きく頭を振ってからため息をついた。

「よし、今日の掃除は終わりだ。今日の午後から行く予定の心霊スポットを調べよう!」ニヤリと笑いながら言った。


「先輩、今日は病院の廃墟ですよね?」

「ああ、だけどもどうせ行くなら心霊現象が頻繁に起こる話題のスポットの方が効果的だろう?」

 今度は先輩の顔とは対称的に私の顔が青くなったのだった。




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