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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
三日目
23/46

集合写真

 オカ研の肝だめしの時の集合写真が見つかった。

 やっぱり記憶の通りに神社の鳥居の前にみんなで並んでいる。


 肝だめしはふたり一組で行った。

 私のペアは部長の中島先輩だったので集合写真の時も、中島先輩の隣に並んで撮影した。カメラも趣味のひとつだった中島先輩が三脚にカメラを固定してタイマーを使って撮影したものだった。


 改めて集合写真を見る。

 前に五人、後ろに三人並んで少しだけ間が開いてタイマー設定をした中島先輩が端に写っている。私の隣は中島先輩だったので私は三人と中島先輩の間の隙間に立っていたのかもしれない。


 でも人と人の間に隙間がある集合写真はとても奇妙な雰囲気が漂っていた。中島先輩は私の肩の上に手を置いて写真に撮った。私が消えてしまっている写真は結果的に中島先輩の手が空中に浮かんでいるからだ。この写真については五十嵐先輩も驚いていた。


 先輩と頭を並べて集合写真を見つめていた時にふと違和感を感じた。その違和感について考えてみる。

「先輩、考えてみると去年の肝だめしで神社に行った時は何もハプニングは起きてません。今日も何も起こらないかもしれないですよね?」と恐る恐る聞いてみた。


「その点についてはもちろん対策を考えている」先輩は得意気に語った。

 とても嫌な予感がしたけれど聞くしかないだろう……。

「先輩、その対策とはなんですか?」


「神社の鳥居の前までは俺も行く。しかし鳥居の内側に行くのはキミひとりだけだ、しかも時刻は逢魔が時……」先輩は実に嬉しそうに語ってみせた。

 

 私は焦った。去年の肝だめしは真夜中だったけれど中島先輩とふたりだったから参拝できたのだ。でも今日は夕方、いや神隠しの起こる時間帯の逢魔が時にひとりであの神社に参拝しないといけないなんて……。

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