キミにしてはナイスアイデアだ!
うぅ緊張する……。
中島先輩は屈託のない笑顔を私と五十嵐先輩に向けた。
そして「五十嵐、紹介してくれよ、こちらのお嬢さんは彼女か?」と、言った。
想像はしていたけれど、怖がりな私にも優しく接してくれた中島先輩は私のことを覚えていなかったのだ……。
お母さんの時のショック程ではないけれど、やっぱり存在を忘れられているという状況は慣れることはないと思う。正直に言うとその後の先輩達の話は覚えていない。こわばる笑顔を浮かべて、なんとかその場をしのいだのだった。
「キミは写真に写っているのかな?」と先輩はファミレスからの帰り道に空を見上げながら呟いた。
私は、まだ少しだけショックを引きずっていたけれど先輩の疑問について考えてみる。写真に写ってなかったら心霊みたいでイヤだなぁ……。
あ、でも……。
「先輩、写真を探してみたらどうですか?」
「写真、写真かぁ……」先輩は何かの呪文のように唱えてる。
ちょっと怖いんですけど。
「そうだ! 去年の肝だめしの時の写真はどうでしょう?」
「キミにしてはナイスアイデアだ!」
『キミにしては』は余計です……。
それからはふたりして急いで帰宅した。先輩はパソコンの前に座った。
「確かここら辺に保存しておいたんだけれども……」先輩はもう二十分近くノートパソコンの前で同じような言葉を繰り返している。
私の記憶だと確か寂れた神社の前でみんなで並んで写したはずだった。去年のオカ研の部員は十人だったので前の五人は座り後ろの五人は立っていた。一枚は逢魔が時に、もう一枚は三年の先輩達だけで肝だめしの前に、二枚ともフラッシュを使って撮った。
そんなことを思い返しているとやっと見つかったらしい。
「そうそう、これだ!」と言いながら先輩がマウスの操作をしている。




