作戦タイム
マンションの近くにあるファミレスで朝食を食べながら、今日の作戦タイムが始まった。
「まだメモした中で試してないのは何?」先輩はこんがり焼けたトーストを食べながら尋ねてくる。
私は手に持っていたパンケーキ用のナイフとフォークをテーブルに置いた後、スマートフォンのメモアプリを確認して先輩に向かって読み始める。
「神隠し伝説の噂のある神社の参拝と、心霊スポット(病院の廃墟)巡りと、紙を持って寝るの三つです」
私の意見はどれもやりたくない、でも一番ましに思えたのは神社の参拝かな?
そんな私の心の声を聞いていたかのように先輩は今日二杯目のコーヒーを飲みながら言った。
「今日は神社に参拝しよう」
私は半分ビックリしながら口の中のパンケーキを急いで飲み込み、そして先輩に聞いてみた。
「この神隠し伝説の噂のある神社って、どこにあるんですか?」
「その神社ならキミも行ったことがある」と先輩は少しだけ微笑んだ。
う~ん……私の行ったことのある神社? そして先輩の意味ありげな微笑み?
「え! もしかして私の家の近くにある、あの寂れた神社ですか?」
先輩はうなずきながら「そう、去年のオカ研で肝だめしに使った神社だ」
たしか去年の肝だめしは真夜中に参拝した記憶があった。
「こ、今回も真夜中に行くんですか?」と先輩に聞く声も思わず上ずってしまった。
だってあの肝だめしは本当に怖かったんだもの!
先輩、どうか昼間と言って下さいと心の中でお祈りしてみる。




