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「オトシモノ」  作者: 葉月 晶
二日目
17/46

鬼かオタクか

 そこには巨大なジェットコースターがそびえ立っていた。

 辺りには絶叫や悲鳴が鳴り響いている……。


「せ、先輩あれに?」恐怖で歪んだ顔のまま先輩を見上げてみると先輩は満面の笑みを浮かべて立っていた。その時はジェットコースターよりも先輩の満面の笑みの方がずっと怖いと感じてしまった……が、違った! やはりジェットコースターは無敵だった。


「キャー! もうイヤー!!」もう五回目のジェットコースターだ。


「キミの声は大き過ぎて耳が痛い」などと文句を言いながらも先輩は隣に乗ってくれている。

 私の想像では先輩は私ひとりをジェットコースターに乗せて地上から見物でもしていそうって思っていたので少しだけ驚いていた。


「先輩、もう無理です」

 ふらつく足でジェットコースターの出口に向かいながら訴えてみる。

「かなりショックを受けているもんな……」と先輩はいかにも高級そうな腕時計を見ている。

 そろそろ閉園時間なのかな? かなり期待感を込めて先輩を見つめる。

「でも時間的には後一回は乗れる」

 

 一瞬、先輩が鬼に見えた。


「叫びすぎて喉が渇いてしまいました」と近くのベンチに座った。

「飲み物を買ってくるけどひとりで乗るなよ」

 乗りません!


 先輩に買ってきてもらったアイスティーを飲みながら話しかける。

「でも先輩って『声が大きい』って言いながらも、必ず隣に乗ってくれるなんて優しいですね」

「元の世界に戻る瞬間は必ず近くで目撃したいからな」瞳をキラキラ輝かせながら先輩は答えた。


 訂正、先輩は優しいんじゃなくてただのオカルトオタクです!


 ティータイムを終えてから六回目のジェットコースターに乗ったけれど声が枯れただけだった。


 遊園地を後にして帰りにコインロッカーから荷物を取り出す。

 先輩は黙って荷物を半分持ってくれた。


 結局、元の世界に戻れないまま二日目は過ぎて行った。

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