はじめに
嫌いなものを嫌いだ、と高らかに叫ぶと気持ちいい。自分はあれを嫌っている! これも嫌っている! そんなふうに世界との繋がりが生まれて、キライという名の絆で結ばれる。この一体感、たまらない。すばらしい。だけど、そうやって嫌いなものをアピールすると人に不快な思いをさせてしまう可能性がある。ああ、なら声じゃなく文章にして、勝手に公開してしまおう、ということでエッセイです。
好きなものだってもちろんある。いっぱいある。好きなものが何もなかったらわざわざこんな回りくどいことなんてせずにさっさと一番嫌いな方法を選んで清々しく自殺しているんではなかろうか? だけど声を張り上げて叫びたいのは好きじゃなくて嫌いのほう。世界の中心で思いっきり叫びたい。嫌いだ!
海に向かって叫ぶとくればバカヤロー! 青春のバカヤロー! そんな文句。やっぱりキライを発信すると清々しい気分になれるんだろう。自分の中にたまった毒を吐き出して、その辺の道端に放置する。みんなでちょっとずつ分け合おう。でもその毒は自分のものだから、ちゃんと後で回収する。回収してもう一回飲み込んでもう一回叫ぶ。嫌いだ!
そんな感じで嫌いなものや嫌なことや好きじゃないものごとについて書きたい、そういうエッセイ。