マツリとツンデレ
なんとかできたので更新しました~~(^_^)v
「しっかり持ったんでしょうね?」
「……ああ、持った。…一応」
俺はムサシを肩車しており、その俺の足首をキャロルが掴んでいる。
「しゃんとしなさい!あんたの肩にかかってるのよ。ムサシもしっかり掴まってなさい」
「…は、はひっ!」
俺たちに散々檄を飛ばし、キャロルは肩車している俺ごと持ち上げた。
「「(うひゃああああっ!!)」」
この日、村には静かな叫び声が聞こえたという。
「……ムサシ」
さっき聞こえたのはたしかに昔、あの子をあやすために私が考えた鳥の真似。
おそらく外にはあの子がいるんでしょうね。
ただ、どうすればいいのかしら?
ここに入って来るには結構頑丈な鍵が掛けられていて入ってこれそうにはないんだけど…。
壊そうとすれば音が鳴るし、音を立てなかったとしても壊して入ってきたら私が逃げたことがすぐにバレちゃう。
(……あの子、ちゃんと考えて動いているのよね?)
「(マツリ、マツリ!)」
ふと部屋が暗くなったと感じたが、鉄格子の向こう側に愛しい妹の姿が見えた。
「ムサシ!…あぁ、一体どうやって?」
鉄格子は地面から4mぐらいあったと思ったんだけど。
「そんなことを言っている場合ではござらん!」
「あ、そ、そうよねっ」
わ、私ったら、動揺しちゃってたわ。
「早くしないと…!」
まさか、もう追われてるの?
騒がしくなかったから気付かなかったわ。
「――お、落ちるでござ、ぎゃーー!!」
「………へっ?」
落ちる?いえ、落ちた?
(えっ、えぇえええええええっ!?!)
愛しの妹こと、ムサシが急に視界から消えた。
いきなり起こった事態に駆け寄ろうとしたが、手枷のことを忘れてた。
ビーンと張ったところで前のめりに倒れてしまった。
「…………ええっと、大丈夫?」
(わひゃああああっ!知らない人に見られたぁああああ!!)
ムサシが顔を覗かせていた場所に今度は知らない女の人が…!
「だ、だいじょうぶですよ?」
大丈夫かな!顔赤いのバレてないかなっ!?できればぶつけたからだと思っててください!
「…そう?思いっ切り顔面を打ち付けてたように見えたんだけど……」
(はい、見られてたーーー!)
「ちょ、ちょっとどうしたの?何をいきなり肩を落としてんのよっ!」
……あぁ、今はその優しさが辛いです。見知らぬお方。
「……まあ、いいわ。とりあえずここを壊すんだけど」
壊す!?随分、さらっと言いましたね!
「この鉄格子って何か仕掛けとかあったりする?」
「…て、鉄格子ですか?」
どうだろう?
床や壁、扉には仕掛けがあったと思うけど…。
「鉄格子にはなかったかと……」
「あっそ。じゃあ、少し離れてなさいな」
「はぁ……」
言われるがままに離れたけど…。どうするつもりなのかしら?まさか、何かで斬るつもり?
「よいしょっと」
彼女はまるでちょっと退ける程度感覚で鉄格子を外してしまった。
(えええええぇぇぇぇぇっ!!)
あれって、そんな簡単に外れるの!?
すぽって抜けたよっ??
「…んしょ、んしょ………うぎゃっお尻が引っ掛かった!ちょっと早く引っ張りなさいよ!!」
「は、はい!」
って私動けなかった!
「あ、あのう…、私繋がれてて動けないんですけど…」
「何よっ、ムサシと一緒で使えないわね!」
むむっ、ムサシの悪口を言うなんて…!
いくら恩人でも許しま――、
――メキッ、メキキ……!
(なんでもありません!)
目の前で壁を破壊しながら入ってくる女性を見て、私は言葉を引っ込めた。
「…ふぅ!スッキリしたわ。で、改める必要もないと思うけど…あんたがマツリよね?」
ムサシの姉でしょ?と聞かれ、ビックリして声が出なかったのでこくこくと首を上下に動かした。
「………ふぅ~ん」
「あ、あのなんでしょうか?」
なんかすっごいジロジロ見てくるんですけどっ!
「…くんくん」
臭いまで嗅がれてるー!
わ、私…ここ3日ぐらいまともにお風呂に入ってないんだけどな~。
「ちょっと、臭いけど大丈夫そうね」
ぐはっ!
私の心にクリーンヒットしました…。
「――あっ、待ってください!」
手枷に繋がった鎖を引き千切ってもらい、その後手枷の輪っかなどを外そうとしてくれたその人に待ったをかける。
「…あによ?」
「ひゃっ!」
ご、ごめんなさい~~。
「あ、あのこの手枷を外すと村長にバレてしまうんです~~~」
自分でも情けない声を出しているのはわかっている。
涙目で懇願と説明をし、なんとか破壊するのを留まってもらった。
「とりあえずあなたがムサシのお仲間と信頼します」
「……とりあえず、ね」
若干機嫌を損ねてしまったようだが、そこは仕方ない。あの子が騙されていないとも言い切れない状況で手の内を明かすわけにはいかないのだ。
(…まあ、大丈夫だとは思うけど)
目の前の彼女からは繋がりを感じる。
隠し名の効果が正確に作用していること示している、繋がりを。
(あの子には教えていない効果がこれにはあるからね…)
「……ええっと、つまりはこういうこと?母親を助けにいきたい。けど、あんたが行けば人質として利用されるかもしれない。だからあんたは村長をなんとかしたいってことね」
要約した内容を反芻する。
マツリは「そうです」と頷いているが、キャロルが浮かべる青筋を見逃してはいなかった。
キャロルがイライラしている。それを察したが、捲し立てるように願いを伝える。
「お願いです。こんなこと頼める立場じゃないのは重々承知しています」
それでも
「それでもここで母を見捨てて行くことなんて、私にはできませんっ!!」
「あーもうっ!わかったわよ」
「………へっ?」
キャロルから告げられた言葉が理解できなかったのか、ポカーンと口を開く。
傍から見ると、見なくてもわかるぐらい間抜けな顔だった。
マツリには理解できなかったが、ここにシィドたちがいれば苦笑混じりにまたキャロルのツンデレが発動したと呟いたことだろう。




