再びの収監
展開が早いです。というか北部は単純に火種とするためだけに出したので北部はほぼ素通りと同然です。
「じゃあ、あなたは今日からポッコちゃんね!」
無事に【テイム】も終了し、戦闘の中無事だった四季味草を集めていく。
ちなみに、先程の魔物は種名を『オヤクイドリ』と名付けられた。新種の魔物は発見者が命名していいことになっているのだ。
名付けの由来は、親鳥が子供を食べたことから付けてみた。なんとなく、卵と鶏肉という繋がりから親子丼が連想されたが、さすがにそれはなと思ったからだった。
だが、その結果は…………前より酷くねえ?
「…とりあえず四季味草も集まったし、もう帰っていいぞい。あっ、ジェンネはまだしばらく残っておいてくれ」
戻ると早々に追い出されてしまった。
何でだよっ!
「……さて、行ったようじゃな」
ちゃんと去るのを確認し、本題に入ることにする。あやつらのことを信用していないわけではないが、このような国家存亡にかかる重大案件。それを他国の、それも冒険者のように一つ処に留まらない者たちに教えるわけにはいかん。
何よりもあやつらをこれ以上巻き込むわけにもいかんのだ。
「クノン様、どういったご用件でしょうか?」
言わなくても、ある程度の予想はついておるだろうに…。
こういうところ本当にジェンネは優秀じゃの。
「…シィドたちが持ってきた情報について、と言えばわかるじゃろう」
告げた瞬間、来たと身構えたのか空気が引き締まる。
やはり予想はしていたか。
「あのことについて、私はほぼ確信に変わったよ。ジュリアンがどういうつもりで知らせたのかはわからないが、おそらく本当に起こるのだろう」
まだジュリアンの潔白が証明されたわけではないと仄めかしつつ、簡潔に要件を伝える。
「……やはり、あの魔物。オヤクイドリの一件で、でしょうか?」
「そうじゃ」
ジェンネの問いかけに短く返す。
「あの魔物はこれまで見たどんな魔物よりも異常じゃった。それは、ジェンネ。お主にもわかっておることではないか?」
「…………」
「だんまりか。だが、それは肯定と取らせてもらうぞ」
余計な問答をしている時間も惜しいと早々に話を進める。
「あの魔物の異常性、それに各国で挙げられている世界の異変。そして、情報源がジュリアン」
「……っ!まさか…」
ふっ、気付いたようじゃな。
「クノン様は、教会が裏で糸を引いているとお考えなのですか?」
「…明言はできん。だが、限りなく怪しいのは教会じゃ」
元々【予知】のスキル保持者を公に集めている集団にして、ギルドとためを張る唯一の巨大な組織。我々のような国家クラスの重鎮でさえ、彼らの全貌は把握できていない。
基本的にはこの世界の神に忠誠を誓い、神の声を聞くことのできる集団。それでいて、信者を外部へ漏らさない機密性を持っている。
疑うなというのが無理な話じゃ。
「そもそも、ジュリアンが教会を抜けた原因は怪我と言っているが本当にそうなのか?もしかしたら、【予知】に何かしら引っかかりそれで出たのではないか?
もしかしたら、教会から密命を帯びている可能性だってある」
一応、主要都市の代表となるくらいの人物。就任前には裏も取っているが…。それだって完璧なわけではない。裏道などいくらでもある。それが二大勢力の一つ教会ならばなおのこと…。
「――私に何をしろと?」
話が早くて助かるな。
「まずは、このことをバトムスに知らせてほしい。ただし、決して他の人間…ブゲキの人間以外には漏らすな」
「はい」
「そして、次にジュリアンの情報を集めてくれ。シィドたちが向かったのが、ノスマンならば早ければ3日ほどで召集がかかる。それまでに頼む。情報はバトムスに渡してくれ」
ノスマンの代表は問題児じゃ。あの阿呆がシィドたちのような存在を見過ごすはずがない…。
「…最後に、1通手紙を届けてほしい」
「手紙、ですか?一体どなたに…?」
「私個人のコネで信用できる教会の人間に連絡を取る。ただし、シィドたちがジュリアンの工作だとすると私が直接連絡を取るのは難しい。そこでお前に頼みたい」
「かしこまりました。必ずや」
「…うむ!頼んだぞ。これにはペンタ連合国の存亡がかかっているかもしれんのだ」
「…つまり、こいつらは俺の命を狙って…じゃなくて、王を狙うと見せかけて俺を狙って。それでいて……堂々と……どうにかしてこいつらを処分……」
うっぜ!
あぁ、すいません。シィドです。
俺たちはクノン代表に追い出され、着の身着のままに最後の主要都市、ノスマンへやって来ました。ちなみに今ブツブツ呟いているのがノスマンの代表。その名も、ギッシー・アンキ………いや、ギャグじゃないよ?
まあ、俺たちも名乗られた時は「はっ?バカにしてる?」って若干切れかけたけど。
なんというか、この人。今までのどの代表とも違うんだよな。今まではどちらかというとフレンドリーなタイプだったのに、この人名乗って俺たちが要件を伝えてからずっとこの調子。話し合うつもりはかけらもありませんってか?
というか、眼が怖いよ。すんげえ血走ってんじゃん。
「よし…」
自分の中で結論が出たのかそう呟くと、
「そやつらを引っ捕らえよ」
そんなとち狂った命令を出しやがった。
「「「はっ!!」」」
あっという間に取り囲まれる。
「おいおいおいっ!ふざけんじゃねえぞっ…、理由を言えってんだよ!」
事前に北部は排他的で、北部人以外にはほとんど関心を示さないとは聞かされていたが…。これはいくらなんでもやり過ぎだろうっ!
――実は、北部代表のギッシー・アンキは名前の通り疑心暗鬼で疑り深い。その上とても臆病者の妄想家。彼の頭の中で結論付けられた被害妄想は時折他人に向けられていた。
「どうするんですか?シィドさん!」
「クッソ!おいこら、疑心暗鬼野郎っ!捕まえる前に理由を…って、お前ら邪魔だ!離せぇええええ!!」
「シ、シィド殿っ!って貴殿らどこを触っておるかっ!!」
何っ!?どこを触られってしまったーーー。
マツリに注意を取られている間に鎖で繋がれてしまう。
「――お、お前たちが言っていること。真実かどうかは陛下の前で糾弾させてもらう。大人しくしておれば危害は加えないと約束しよう。大人しくしておれ」
こうして俺たちはこの国に来てから二度目の収監をされることとなる。
ただし、一回目と違って武器などは取り上げられてしまった。




