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世界の崩壊

 女王陛下登場です。いろんな意味で王都の女性陣は強烈な人たちばかりです。

「私ことチタニアはこの国、ナイフォワ王国の女王に仕える側近中の側近!女王直属騎士団団長、それこそが私の真の姿っ!」

 

「…………」

「なっ、なんだその疑いの眼差しはっ!」

 いや、だって。ないわ~。この人がどうしてそんな身分に。


「ぐぬぬぅ~、ちょっと待っておれ!」

 そう言ってメイドさんたちを引き連れて奥へと引っ込んでいった。


 チタニアさんが奥へ消えている間に気になっていること聞いておくか。

「なあ、ヤノン。結局あの服の下には何があったんだ?」

 俺だけがあのメイド服の下に広がる世界を見てないんだよな。

「……ああ、アレまだ気になりますか?」

「なんだよその目は?別に下心で聞いてるわけじゃないぞ」

「本当ですかね~」

 疑り深いな。俺が何したって言うんだ。


「…まあ、いいでしょう。どうせ期待しているようなことはなかったのですから」

「(だったらもったいぶるなよ)」

「何か言いましたです?」

「いんや、何も…」


「では、真実をお教えしましょう――」

 

「――ということだったのですよ」

 ヤノンから話を聞き終わった俺はぐでっとしていた。

「そんな理由で俺は…」

 

 要約すると、彼女たち(と言っても二人しか捲っていないのだが)の服の下はまるで陶器で作ったようなツルツルの体だったそうだ。

 首や手首から先など衣類から見える部分は人間らしくしていたが、その部分以外にまで工夫を施すと割に合わないということだろう。

 そりゃ、いくら人間っぽくても実際に見たら違和感を感じざるを得ないだろうな。

 マネキンに人の手足がくっ付いているようなものだ。

 だが、そう考えると俺が目を潰されかけたのは理不尽だと思う。




『ちょちょちょっ、なんなのっ!?何があったっていうのーー!!』

 チタニアさんたちが消えてからそろそろ一時間が経とうとしていた頃、彼女たちが消えた方向から聞いたことのない声が響いてきた。


『ええいっ、詳しい話は着いてから話すと言うておろうがっ!キリキリ歩けい!』

『『『ふぁいと、ふぁいと、ふぁいと』』』

『ちょおおっ、チタニア!それにアニマメイドやめなさいっ!押さないでぇ!』

『いっけええええ!!』


「キャアアアアッ!!」


 チタニアさんが消えた部屋。そこから転がるように姿を現したのは、バスローブ姿の女性だった。

「いたたたっ…!」

 直前まで風呂に入っていたのか、ぶつけた頭を振るとまだ濡れている髪の毛から水が滴り落ちる。

「まったく、何なのよ…も、ぅ」

 文句を言おうと顔を上げたのに、俺たちの姿が視界に入り段々と尻すぼみになっていく。


「だ、誰なのよ!あなた達っ!」

 『それはこっちのセリフだ』という言葉は、恥ずかしさから手で顔を隠そうと動かした際にバスローブがはだけ、その豊かな胸がぶるんと音を立ててるようにこぼれ出たことにより漏れることはなかった。


「イ、イヤアアアアッ!!」

 というよりも彼女が上げた悲鳴によって掻き消されたという方が正しいかもしれない。

 

 


「う、うう…。もう人前に出れない」

「まあまあ、そう気を落とすな。見られたって減るもんじゃなし。(むしろ少しは減ればよい)」

「ちょっと!ボソッと怖いこと言わないでくれるっ!そもそも、こうなったのは誰のせいだと…」

「…ああ、悪かったと言ってるだろう?まったく、乳はデカイくせに懐の狭い女じゃ」

「それとこれとは関係ないでしょう!だったら、あなたは背丈は小さいくせに態度がデカイのよっ!」

「なんじゃとぉっ!」

「なによぉっ!」


 突如現れたバスローブ姿の女性は悲鳴を上げた直後に現れたチタニアさん……ではなく、メイドさんたちによって布を掛けられ、しばらく動かなくなった。

 しかし、待ちきれなかったチタニアさんによって強引に布を剥され、メイドさんたちによって服を着せられていき今はチタニアさんによって慰めなのかそれともからかっているのかわからない対応を受けて徐々にではあるが元気を取り戻しつつあるようだ。


「大体、この人たちは一体誰なのっ!?そもそも、こんな強引に連れだしたのはなぜっ?そこから説明をしなさい!」

「そやつらは、私の知り合いの知り合いじゃ!お前を連れ出したのはどうしてもこいつらが私の言うことを信じようとしないからじゃっ!」

 うわっ、こっちに飛び火してきた。


「だからと言って、湯浴み中にいきなり連れ出すことはないでしょう!」

 それはごもっとも。

「直前に今から行くと伝えたはずじゃ!」

 ああ、奥へ引っ込んだのは連絡を取るためでもあったのか。

「それは、受けたわよ。だけど、私は湯浴み中だから用件だけ確認するように言いましたっ!」

「じゃから、直接言った方がわかりやすいと行ったまでじゃ!」

「直接言うって、あなたいきなり入って来たかと思ったらメイドたちに強引に浴場から連れ出させてそのまま連れ出したんじゃない!」

「ちゃんと髪は拭いてやったし、服も着せてやったじゃろうが!」

「どこがよっ!まだ髪濡れてるし、服って言ってもバスローブだったじゃない!」

 だんだん子供の喧嘩みたいになってきたな。

「おかげで私はこんな情けない姿を……!しかも、む、胸までっ」

 あれは大変素晴らしいモノでした。生涯この恩は忘れません。

(早速、記録士を探してこの光景を忘れないようにしてもらわなければ…!)

「だから、こうして頭を下げておるんじゃろうがっ!」

「どこがよっ!踏ん反り返ってるじゃないの!」

 たしかに。チタニアさんは背が低いとはいえ、彼女は床に座っているのを見下している形だ。これで頭を下げていると言われても納得なんてできないだろう。

「なにをー!」

「何よっ!」

 こうしてまたもやヒートアップしていった。

 ………あの、いい加減話を進めてくれませんか?


「先程は見苦しいところをお見せして申し訳ありません。私はナイフォワ王国第21代国王。アウストレシア・ミリ・“キング”・エリザベス。気軽にクイーンと呼んでいただいてもかわないわよ?」

 ようやく落ち着いた女性からの自己紹介に俺たちは皆絶句してしまった。


 女王っ!?この人がっ!?


 ちなみに、落ち着きを取り戻し始めた頃から化粧なども施されていき、今では頭の上にちょこんと小さな王冠を乗っけている。

 その姿などから身分の高さを窺わせるには十分だが…、それでもいくらなんでも女王っていうのは嘘臭いような。というか信じられん。


「……ねえ、この人たちわかりやすいぐらい疑いの眼差しを向けてくるんだけど」

「じゃろう?失礼な奴らじゃ」

「あなた、何かしたんじゃなくて?」

 いかん。ついつい、本心が態度に出ていたようだ。


「あっ、そうだわ!これを見せれば簡単にわかることじゃない!」

 自称女王はパッと手を出し、その紋様を露にする。


 アウストレシア・ミリ・エリザベス:女 拠点:ナイフォワ王国・レキシントリア

 ジョブ:キング


「……たしかに、キングだ」

 ハッキリとジョブにはキングと記されている。

「…ってことは、本物の女王陛下?」

 ギギギッ…っと音がしそうなほどぎこちなく動くとようやく信じてもらえた喜びを表すように両手でピースしている。


 この時、俺たちの心は一致した。

(((この人が女王でこの国は大丈夫なんだろうか…?)))

 ちなみに国名のナイフォワ王国ですが、由来は国名を考えていた時間。9:41だったのでナイン・フォー・ワンから取ってナイフォワです。

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