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プロローグ

 目覚めたのは見覚えのない場所だった。

 辺りを見渡してみても、どこまでも続く白い空間に一本だけ不釣り合いなほど大きな樹がそびえ立っていた。

 他に手がかりもないので大樹をペタペタと触っていると、ぬぅっと女性の上半身が現れた。

「うおっ!?」

「なんじゃ、おんし。気安く妾の体を触っていたかと思ったら急に生娘のような声を出しおって」

「いやいや、生娘は『うおっ!?』何て言わないと思う……じゃなくて!お前はなんだっ?」

「神じゃ」

「…………はっ?」

 一体何を言ってるんだ?神?これが?

「…おんし、今疑ったじゃろ?妾は神じゃ。神様じゃよ。全く忙しいのに下らん問答させるではないわ」

 ……あぁ、駄目なほうか。いいや、無視しよう。

 他に何かないかなーっと歩き出そうとしたが、手足に絡まった蔦のせいでそれはできなかった。

「勝手にどこかへいくんじゃない。最近の人間は面倒臭いのぅ」

「放せよ!?ってか、ここどこだよ?!」

 そのままぐいっと視線が合うように向き直らされる。俺は、視線を外しがらじたばたともがいてみるが、結構強くて外れる気配がない。

 この自称神様、材質は木なのに妙に艶めかしくて目のやり場に困るんだよ!

「ここか?ここは生と死の狭間にある虚無の空間じゃよ」

 はあ?生と死の狭間?虚無の空間だと…。あれっ、つまり…。

「お、俺は死んだのかっ!?」

「じゃから、狭間じゃと言うておろうが。つまりはまだ死んではおらん。放っておけば死ぬだろうがな」

「……?ど、どゆこと?」

「……おんし、バカか?」

 ああん?いきなり、変な空間で樹から上半身だけを生やした変な女と会話をしてやってる人間にバカかだと!?

「そう興奮するな。面倒臭い奴じゃの。よいか、一度しか言わんからよく聞くのじゃぞ?おんしの体は現在仮死状態にある。妾は彷徨っているおんしの魂だけをこの空間に呼び寄せたんじゃ」

「…な、なんのためにそんなことを?」

「ふむ。良い質問じゃな。お前に道を示してやろうと思っての」

「……道?どういう意味だ?」

「なぁに、このままここから帰るか、それとも妾が示すように進み別の世界で生きるかそれだけじゃ。ちなみに、このまま帰ってもおんしは生きていられるかは保証できんぞ」

「はあっ!?ちょ、まっ、なんでだよ!?」

「仮死状態と言うたじゃろ?つまりはそれだけの重傷を負うか何かしてここにおるんじゃ。戻ったところで助かるかどうかはおんし次第」

 嘘だろう。こいつの言うことを信じたくはないが、これが夢じゃないとするとあながち嘘とも思えない。

 仮死状態の魂を呼び寄せるのも暇つぶしではあるが、ただ死ぬよりも新たな道へ進ませその世界でどういう風に生きていくかを見てみたいなんていかにもな理由だし…。

「妾が示すのは進むか戻るか。2つに1つ」

 そういうと、白と赤の実を差し出してきた。

「白い実は『モドリの実』この空間から元の世界へと戻りたければ口にするがよい。ここの記憶も綺麗さっぱり忘れて元の世界に帰れるぞ」

 ただし、戻っても生き長らえるとは限らない。

「赤い実は『カギの実』妾が管轄する別世界へとおんしの魂を導こう。対価は元の世界の記憶じゃ。こちらの世界に行く場合は新たな肉体に魂を定着させてやるから死ぬ心配はない。なぁに、安心せい。元の肉体はちゃんとおんしの世界の人間が見つけて供養するはずじゃ」

 はずって!?そこ結構重要じゃねえか?

 いや、魂はすでに別の場所にあるなら関係ないか。

「……新世界ってどんなところなんだよ」

「聞いてどうする?意味のないことじゃ。新たな生き方に迷いがあるのなら帰ればよい。生きていたいなら進めばよい。それに、おんしの心はすでに決まっておるように見えるよ」

 ちっ、面倒臭え神様だ。だけど、その通りかもな。

 愉しそうに言われるのはちょっと不快だけど、まあいい。やってやろうじゃねえの。





 男が去り、大樹だけが残された空間で神は残された果実を見つめていた。

「やれやれ、あちらを選んだか。所詮人間などに何を言ったところで意味はないの。

 大抵が妾が道を示した段階で決めているのだから。さぁ、愚かで愛しい子よ。妾におんしが何を為すのか見せておくれ。妾はそれを見守り続けようぞ」


初投稿です。稚拙な文章ですみません。笑っていただければ幸いです。基本主人公を含め全員お気楽者の予定です。

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