目覚めて
目を開けると、暖かい風が抜ける森の中だった。酷く喉が渇き見回す。少し先に川の音がする。ノロノロと体を起こすと裸の事に気が付く。しかも女性だった。見慣れた息子もない。溜め息を付くと、川に向かう。取り敢えず水だろ?そのあと少し休んで考えよう。
水をのみ、顔を洗うとスッキリした。取り敢えず映った姿を見ると、とても若い女性が映る。とても美人、ナイスな体。少し見とれて我に帰る。ボーッと光る樹を見つけ近くに行ってみる。そこには小さな女の子が此方を見ていた。「上手く馴染んだね。」ニコニコ笑いながら話しかけて来る。「?」返答に困っていると、私とあなたよ。と言ってまた笑いながら答えた。「貴方の心 ボロボロだったの。自覚無いかも知れないけど、いつ自分に銃口向けてもおかしくなかった。私は住んでた樹を倒され貴方の中に逃げ込んだ。それで貴方の心を修復してみたの。」彼女はカラカラと笑った。「貴方の心を修復。でも馴染み過ぎてね、女の子になったの。心の本体は貴方のまま、でも他はアタシと貴方のチャンポン、背は高いし美人だし文句無いかも。」俺は自分の体を見る。「所で君は僕の心の中で住むのか?」女の子は小さな頭を振った。「心に住けど、表に出ない。元々いた樹がないので、そんなに力無いの。貴方よりは有るけど。貴方にもメリット有るよずーと長生き。老化もほとんど感じない。気になるならお化粧勉強してね。」ここは喜ぶべきか?俺は返答に困った。「ずーとこのまま?」コクコク頷く彼女は「子供も産めるよ。今まで殺戮の世界に居たんだしね。いいじゃない?癒されるよ。じゃもう行くよ。魔法一つ使えるよ教えとく。両手に果物や野菜を持って混ざれってやると一つに成るよ。香水やクリーム作るといいよ。」彼女は試しにリンゴのハンドクリームを作った。俺のほっぺに塗り微笑むと、スーっと消えてしまった。
そのうちに俺も眠くなり木にもたれて寝てしまった。
誰か俺を呼ぶ声が?俺はゆっくり目を開けるとトラックの幌が見えた。「軍曹?お水。」マキが心配そうに覗く。「どのくらい寝ていた?」「10時間。今から後方の病院に搬送だそうです。中隊長が軍曹と行ってこいと言ってました。」体はまだ痛むが少し動けるようになった。俺は頭から被っていたポンチョを取ると水筒を受け取った。マキの目が点になる。「軍曹ですよね?その髪と顔どうしたんですか?」さすが女性兵士、ポケットから手鏡を出すと付きだした。そこには夢で見た自分の顔とくすんだ焦げ茶髪の代わりに白に近い金髪があった。「マキ ローム上等兵おやすみ!」俺がポンチョを被ろうしたが、阻止されてしまった。「俺も上手く説明出来ん。申し訳ない。」仕方ない本人も混乱してる。「病院に着いたら説明しよう。」
長いこと荷台で揺られ、師団本部に程近い病院に収容された。まー一悶着あった。身分証に男と書いてあるのに、目の前に居るのは女の子。混乱も小隊長からの報告書で収まった。マキ ローム上等兵と同室となった。
病院の白い服に着替え取り敢えず診察室に行く。女医の少尉さんに診て貰う。「うーん?どんな感じ?」あれやこれや調べられ婦長には(女の子の身だしなみ)とカミソリを振るわれ、女医の少尉には真顔でこの台詞。「確かに完全女性。しかも綺麗だし。悔しいかも。」折角後方に下がった事だし、お風呂入って眠りたい。そんな目で見ていると、「少し此処で養生するといい。休暇も随分残って居るみたいだし。体の変化があったら直ぐ知らせて。」それから程なく女の子の日に女医さんにお世話になった。