マチルダさんの結婚とそのあと
舞踏会は無事に終わって、異世界にも記者がいるらしいことが分かった。
号外として異世界の新聞に載ったらしい。
その新聞がマチルダさんの家に届いたとアレックスから聞いて、見に行った。
ミツユキ君はすでに来ていて、新聞を見ている。
「すごいよ」
新聞を持っているミツユキ君が示す画像が、動画のように少し動いて載っている。
ふたりと共に、友人として私とミツユキ君が写っていた。
「ほー・・・」
「《こりゃすげぇことなんだぜ?》」とアレックス。
数ヶ月、ミツユキ君と一緒に庭の手入れをしていた。
そしてブルーローズが咲く頃。
連絡があった。
結婚をする件で結婚式があるけど、人間は呼べない、と。
少し残念。
ただ、もう人間界には行かないかもしれないので家と敷地をふたりに譲るというもの。
マチルダさんは懐妊。
ああ、マチルダさんも、か。
ミツユキ君との間に、赤ちゃんができたので学校をやめました。
彼は学校に通いながら家業の手伝いをしています。
そして私は妊娠したからなのか、白魔法が少し使えるようになりました。
カナンが時折、手紙のやりとりをしてもいいと言ったので、この記述を調べられた。
「素晴らしい。素敵な文献になります」
そう言ってこの日記をくれ、と言うので、コンビニでコピーをしてそちらを渡した。
同行したカナンはコピー機にびっくりしていた。
それからコンビニの飲み物をおごったら、感動された。
思った通り、こちらの通貨を持っていなかった。
宝石のついた指輪とかで物物交換をしようと思っていたらしい。
ふたりで貰ったマチルダさんの家に、近々、住まいを移すことになった。
家族も合意のうえ。
すでに両家の挨拶はしてあって、貰った敷地を「マチルダ」と呼ぶことに。
ミツユキ君の実家はカフェを経営していて、そちらの関係ですぐに話が出た。
『喫茶店マチルダ』の開店をすることになったのだ。
いずれ古本屋もしたい、とミツユキ君は言っていた。
庭で接客をして、家屋で調理、二階は居住スペースとなる。
ハーブを使用したメニューの考案に花が咲く。
異世界からの連絡がまたあって、私の日記を物語りとして出版したいと言われた。
だとしたら、異世界でもこの記述は問題がちらほらあるらしい。
なので、祖母に習ったホワイトウィッチクラフトを使う。
コメジルシで強調しようかと思う。
ここでこの記述原本を「嘘日記」と称して終わる。
変な問題が起きませんように。
※この記述はファンタジーです。
書記 鳥司 麗
(くろうじ れい)
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