探しもの
庭の前、ハープの音の奏でが聞こえる。
あとでなんて言う曲か聞いたら、「スパイス」と言うらしい。
◇聞こえてきた歌の歌詞◇
ひとつは愛で
ふたつは夢で
みっつは希望
そのスパイスを忘れるな
愛と夢と希望を捨てるなよ
宝石を無くすより重要さ
去って行く過去を受け入れて
きっと切り開く未来へのスパイス
限りある時間を無駄にはするな
宝持ちが言ったのさ
例え不老であっても
宝の持ち腐れは良くないと
生きてるからには必要な
スパイスの名前を覚えたか
愛と夢と希望だ
いつの間にか側にいたミツユキ君が「すいませーん。来たよ~」と声を通した。
猫の姿のアレックスが来て、室内へと案内された。
室内でのお茶会に、サンドイッチやスコーンやミニケーキが出た。
噛むと甘みが出る花が浮かんだ紅茶も、見た目まで美味しい。
花にはちみつパウダー加工がしてあって、それが利いているらしい。
ミツユキ君「あ。カボチャの甘煮を作ってきたんだけど、よかったら」
そう言って、カバンの中からキーパーに入ったさめた甘煮を出してきた。
マチルダさん「素敵ね」
アレックス「《カボチャはソルトだろう》」
ミツユキ君「そっちか~」
アレックス「《変態!》」
ミツユキ君「何かあったのか、アレックス?」
アレックス「《変態!》」
マチルダさん「アレックス、やめて」
ミツユキ君「僕は変態じゃありません」
アレックス「《分かった、分かった》」
少し距離を取って、窓辺に飛び乗り座るアレックス。
陽が入っていてまぶしい。
マチルダさん「ふたりには話しておきたい・・・」
ふたり「」ん?」」
マチルダさん「カナンが今日、こちらに来る予定なの」
ミツユキ君「カナン?誰?」
私「ヒューゴさんに仕えてるひと、だった気がする」
マチルダさん「そう。当たっているわ」
そう言った時に、床に魔方陣が浮かんで光った。
気づくとそこには、前に庭を見つめて佇んでいた茶髪の青年がいた。
その時は気づかなかったけど、片目が黄色で片目が水色だ。
気まずそうなカナン「お久しぶりです、マチルダ様」
マチルダさん「久しぶりね。さっそく本題に入りたいわ」
カナンの苦笑「そうですね」
ミツユキ君「椅子、持ってくる?」
カナン「いえ、いいです」
事情を聞くのに同行した。
ヒューゴさんは魔法国の隠された王子であり、双子の兄に子種がない。
それを理由に召喚をかけていたのだけれど、相方がいるから子供は作らないと彼。
しびれをきらした城が、彼を拘束拉致。
その時に居合わせたアレックスに、記憶封印術かけた。
その効果の期限は、ヒューゴが継承権を得るまで、なんだそうだ。
それからヒューゴは教育塔に幽閉されている状態。
今度お披露目の王子たちの宴があるから、もしかしたらそこにヒューゴがいるらしい。
私「宴?」
マチルダさん「舞踏会かしら」
カナン「ご名答」
ミツユキ君「うおっ。ドレスとかタキシードとかなの?」
アレックス「《お前たちも来るか?》」
ミツユキ君「行きたい!」
私「招待状とかがないと行けないんじゃないの?」
カナンの苦笑「はい。招待状を手配しているのは自分です」
私「え・・・じゃあ」
カナン「招待いたします」




