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マチルダさんの恋人の謎


――次に来る時はおやつの持参はしなくてもいいぞ。きっとマチルダが用意するから。



 アレックスにそう言われたので今回は持参おやつなし、でマチルダさんの家に訪問。


 アレックスが「《おう、来たか》」と猫の姿だけど嬉しそうな声色で言った。


「お加減はどう?」


「《良くなってる。本人に会えよ》」


「ってことは本当に良くなってるのね。分かった、分かった」


「《うんうん。今、ソーセージを茹でてるところだ》」



 そこにミツユキ君がやって来て「へいへいほー」と陽気。


 視線が合って、思わずはにかんでしまった。



 アレックスが「《ははーん》」とわざと言って、私たちをからかった。


ミツユキ君「なんだよ」



アレックス「《そういうことか~》」と言って、室内に向かい、マチルダさんを呼ぶ。



 少ししてマチルダさんが玄関から顔を出し、少し意外そうに顔を伏して言った。


「こりないひとたちね」


 その赤くなった耳を見つけ、ふたりで笑ってしまった。


 そうやらマチルダさんは照れ屋とか恥ずかしがりの類いだ。



「毒風邪はよくなった、ってこと?」


「ええ、おかげさまで」


「聞いてくれ。俺たち、そういう関係になった」


私「え」


「まぁ!そうなの?」とマチルダさんが私を見る。


「ミ、ミツユキ君、そういうのは・・・」


ミツユキ君「え、なんで?」


マチルダさん「ん?違うの?」


「いえ、当たっています。素敵な時間でしたよ」


 マチルダさんも、ミツユキ君もふふふ、と笑った。



 庭で食事をしましょう、と言う提案がマチルダさんからあった。


 なので円形の卓にテーブルクロスを敷いて、上に皿や茶器が並んだ。



◇マチルダさんからのおもてなし◇


・バターのかけらを乗せてはちみつをかけたパンケーキ


・ハーブの入ったソーセージ


・アップルカモミールティー



ミツユキ君「そう言えば・・・なんで毒風邪ひいたの?」


マチルダさん「彼を探しに行っていた時に、ひいてしまったの」



アレックス「《そろそろ時間、ってなんだろう?》」



マチルダさん「ん?」


「《いや、なんでもない》」


「うん」



ミツユキ君「彼に、会えたの?」


 マチルダさんは微笑を浮かべ、いいえ、とかぶりを振った。


「どうにもはぐらかされたの」


ミツユキ君「誰に?」


私「彼、ってこと?」


「いいえ、彼の側近。弟子だと言っていたけど。昔はなついて可愛かったのに」


ミツユキ君「そのひとの名前はなんて言うの?」


「カナン」



私「そう言えば、恋人さんの名前を聞いたことがない」



マチルダさん「それは・・・もう、恋人かどうか分からないから・・・」


アレックス「《あいつ、ヒューゴって言う名前だぜ》」


私「それって、異世界では普通の名前なの?」


アレックス「《お。いいとこ聞いたな。案外と珍しいんだぜ》」


私「そうなんだ・・・」



ミツユキ君「魔法使い同士で子供はできたりしないの?」


マチルダさん「え・・・あの・・・えっと・・・え、私そういう話が苦手なのよ」


私「じゃあ、別の話しようよ」


ミツユキ君「うーん・・・あ、このソーセージめっちゃ美味しい」


マチルダさん「それはよかった」


ミツユキ君「マチルダさんってカボチャ好き?」


「カボチャ?嫌いじゃないけど、急になに?」


「俺、カボチャが好きなんだけど、シュガー系とソルト系、どっち派ですか?」


「そうね。カボチャは甘いのも好き」


「ほうほう、どっちも?うんうん」


アレックス「《変態!》」


 三人で思わず笑ってしまう。


ミツユキ君「俺は、変態じゃない」



アレックス「《あいつは、絶対に変態じゃないから、連れて行かれた時に・・・》」



三人「え?」



アレックス「《宝石にかかった記憶封印術が解ける時間が近づいてる・・・?》」


マチルダさん「どういう意味?」



アレックスが「《そろそろ時間、てこのことなのか?》」とぼやく。


マチルダさん「なんの記憶なの?」



アレックスが何故か、人型に変化して黒ずくめの服を着た青年になった。


首にかけてある宝石から、キラキラした光がすぅと出ていった。



マチルダさんが「ヒューゴの魔法の香りがする・・・」そう言って涙を流した。



アレックスはしばらく地面に座ったままキラキラが去った遠い空を見上げていた。


立ち上がると、地面に触れた部分を払って、マチルダを見た。



「マチルダ。記憶が戻って来た。封印されていた。ヒューゴの魔法で」


「それはどういうこと?」


「俺たちは護られていた・・・」


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