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『解呪』

作者: N:Ru

貴方に「イヤホン・ビル」を


                       

 私はよくイヤホンをなくす。

 イヤホンは耳に嵌めるののではなく、耳を塞がずに音楽を聴けるオープンイヤー型イヤホンというものを使っている。

 そのせいか、いつの間にか、耳から外れてどこかに落としてしまう。

 いつも通りの時間に起きて、いつの通りの身支度をして、いつのも時間に家を出る。

 いつも使う地下鉄にいつも通る改札を通り、息が詰まる空気が充満しているビル群と人混みを掻き分けながらいつもの会社にたどり着く、いつも通りの風景が私を通り過ぎて行くがそこからは記憶が曖昧だ。

 ついて早々上司から仕事を押しつけられ文句と罵倒。

 何も感じないようにスイッチを切るように感情を切った。

 でもそれでの支障は感情を切るということは何も印象に残らないということだからその間の記憶も曖昧になることだ。

 なぜ感情のスイッチを切ってまでいう通りにするかということ。

 それは周りと馴染まなければいけないから。


 周りと馴染まないと。

 周りと同じ事をしないと。

 周りに私の考えがバレたら終わり。

 周りと一緒じゃないとダメだ。

 周りと、周りと、周りと、同じじゃないと


 最近になってやっと普通に周りの人と同じを出来るようになった。

 普通に慣れないといけない。


 でも苦しい。

 息苦しい。

 普通じゃないと。

 同じじゃないと。

 みんなと周りと一緒じゃないと。



『ガシャン』

 

 まるで水がギリギリまで入っていた壺が割れたような音だ。



 普通て、何?

 壊れた。壊れてしまった。

 心が耐えられなかった。

 また、これで被害者が増えた。

 普通という、一定数の人に呪いを掛ける言葉が私の首を絞めてくる。

 私もその中の1人なってしまった。

 ……はは、はぁ……




 心が壊れてしまったあの日から家族に会社を一旦やめさせられて森で休養している。

 

 正直この森に来てから私は回復しつつある。

 それはここでは普通を意識しながら生きなくていいからだ。

  

 

 

 自分は今日もヘッドフォンをしながらこの森を感じている。

 

 

 

 これは後日談だがある山で山火事が発生したそうだ。

 発火原因はその山に住んでいたであろう人のランタンの火が家に付きそれで山火事となったと報道されていた。

 その家の人は今も消息不明とのことだ。

 


あなたに自由があリますように     dy________より

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