表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

Page0

「好きだよ、凛」

「好き“だった”よ、薫」

 分かってる。全てが手遅れだったんだよな……

 でも……それがどうしようもないことでも、俺は拒まずにはいられない。拒まなければいけない。

「なあ凛。もう、何もかも駄目なのか? まだ、まだ何か──」

「薫」

 欠片程もない希望にすがりつこうとする俺を、突き放すように、それでいて優しい口調で俺の名前を呼ぶ。

「ごめんね」

 俯いていても分かる。その綺麗な長い黒髪が顔を被おうとも分かる。どれだけ平常な声を出そうが分かる。

 今、お前の淡雪のような白い頬には涙が流れてるんだよな。

 泣かせてるのは他でもない俺。

 ずっと、笑顔でいさせようとした相手を、そう思い、願い、誓った奴が泣かせてる。

 ──最低だ。

 これ以上ここにいても泣かすだけだ。

 それに分かる。俺だから分かる。

 こいつの我慢してる涙も、もう限界だ。

 じゃあ最後に一つだけ……

 俺が出来る最大の恩返し。

 一度下を向き、呼吸を整える。

「凛!」

 今までで一番醜いだろうが、今までで一番の、心からのとびっきりの笑顔で……

「今まで、今までありがとな。凛」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ