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○○は(救いようの無い)屑でした

お兄ちゃんは(救いようの無い)屑でした

作者: sha-k_3

こんにちはこんばんは、sha-k_3です。

シリーズ化することになった『○○は(救いようの無い)屑でした』シリーズの2作目となります。

今回は、新登場の義妹視点でお送りします。

自由に執筆していくのでよろしくお願いします。

今、私はガッチガチに緊張してます。

あ、名前は小鳥遊未玖(たかなしみく)といいます。

まあ、すぐに苗字は変わるんですけどね。

実は、私のお父さんが昨日急に「俺、再婚するんだ」って言っていきたんですよ!

そういうのはもっと早く言えっての!

私のお母さんは私を産んだ時に死んでしまったので、今日までお父さんは、男手ひとつで私のことを育ててくれました。

そのせいで、お父さんはいつも忙しそうにしていたので再婚の話を聞いた時は、私も嬉しく思いました。

だけどやっぱり、


「お父さん急すぎなのよ!相手のこと私何にもわかってないよ!」


「はっはっは。いやーすまないね未玖。俺も忙しくて、なかなか言う機会がなかったんだよ」


どうして笑ってるのこのクソ親父が!

今から会うんだよ?

お父さんのせいで今、私がどんな気持ちでいると思ってるの?

相手のこと何も知らなすぎて心臓バクバクなんだからね!

しかもこんなに高そうなお店だし。


「そうそう、実はお相手には息子が1人いるんだよ。確か…お前より1つ年上だったかな?」


え、今なんて言った?このクソ親父…


「えぇぇぇぇええ!聞いてないって!どんな人なの一体!?」


お、お、お兄ちゃんができるってこと?

え、待ってすっごく嬉しいんだけど。

私ずっとお兄ちゃんが欲しかったんだよねー。

待って、どんな人なのかな?


「お父さん、お兄ちゃんってどんな「お待たせ、あなた。ごめんなさいね、少し遅れちゃったわ」」


私がお父さんにお兄ちゃんのことを聞こうとすると、女の人がお父さんに声をかけてきた。

そこにいた人は明らかに20代の見た目をしている。


(え、お父さん騙されてないよね?)


と心配のなるくらいには若々しく、綺麗な見た目をしていた。


「あら?もしかして隣にいらっしゃるのは娘さん?初めまして、私はこれからママになる、美由希(みゆき)っていいます。よろしくね?未玖ちゃん」


「は、はい。よろしくお願いします美由希さん。私は未玖っていいます。失礼かもですけど、ね、年齢は…」


私は恐る恐る聞いてみた。

だってこんなに若そうなんだもん!

聞いてみたくなるじゃん。


「あー、私これでも今年で36歳なんですよ?よく若く見られちゃって。息子とも、親子じゃなくて姉弟だと思われるんですよね」


う、嘘でしょ?

この見た目で、さ、36、歳?

ん?待って!

今36歳で、私の1個上の息子がいるってことは…


(高校生で産んでるってこと!?)


た、大変だったんだろうなぁ。

この人、お父さんなんかにはもったいないと思うんだけど。

私のお父さん、歳を考えたらカッコいい方だとは思うんだけど、流石に美由希さんとは釣り合わないなぁ。

そういえば、


「あの、息子さんはどちらに?」


「あー、実は私の息子、ひとり暮らしだから。私、今日再婚相手と会うって伝えるのを忘れていて、まだ向こうにいるのよね…」


あ、美由希さん、お父さんと同類な気がする。

多分、どこか抜けてる感じがする。


「ん?向こうってどこですか?」


「その、私たちが元々暮らしていたところなんだけど。私がこっちに転勤したもんで、息子だけ向こうの残ったのよね」


「なるほど、そうだったんですね」


「そうだ、未玖。実はな、俺と美由希さんの2人で暮らしたいと俺は考えてたんだ。折角だし、お前は息子さんと一緒に暮らせ。それで、息子さんと一緒の高校に通えば良い」


「えーと、何言ってるのかなーお父さん?」


「そうね、良い考えだわ。実は息子、私が妹ができるよーって教えたら、「楽しみだ」って言ってたの。だから折角だし、一緒に暮らしたら?未玖ちゃん」


どうして私は、まだ顔も合わせてないお兄ちゃんと一緒に暮らすか今決めないといけないの!?


「あ、もうすぐ着くみたいよ息子」


お、やっとお兄ちゃんと会えるんだ。

お母さんがこんなに美人だし、お兄ちゃんもカッコいいんだろうなぁ。


「えーと、確かこっちの方だよな?あ、いたいた。母さん連絡遅すぎるから。俺が遅刻するような奴だと思われちゃうじゃん」


急に男の人の声が聞こえてきて、私は声のする方を向いた。


(え、かっこよ…)


私の視界に映ったのは、高身長で黒髪黒目のイケメンだった。

服装もしっかりしていて、清楚である。

雰囲気も爽やかで、どこかクールな印象がある。

まじでこのイケメンがお兄ちゃんになるの?

そしてこのイケメンと私一緒に暮らすの?

私心臓無くなっちゃうよ!?


「どうも初めまして。私は美由希の息子の遊っていいます。これからよろしくお願いしますね?」


お母さんのこと呼び捨てなんだ。

もしかして意外と不良っぽい?

それにしても近くで見てもイケメンだなぁ。

声のカッコいいし、最高のお兄ちゃんかよ。


「初めまして遊くん。俺は君のお父さんになる優司(ゆうじ)だ。それと、こっちは娘の未玖。これからよろしく頼むよ」


「はいっ!私は未玖っていいます!気軽に呼び捨てで呼んでください、お兄ちゃん!」


「うん、よろしくね未玖」


はぁぁぁイケメンに名前呼びされたぁぁぁ。

幸せすぎるぅぅ。

まじで紳士なんだけど。


「遊くん、もっと気楽に、いつものようにしても構わないよ」


「そうですか?それじゃあ堅苦しいのはやめにしますね?」


「もう遊ったら、良い子ぶっちゃって。いつもはもっと口悪いのに…」


「別に良いだろって。可愛い妹の前なんだ、しっかりした方が良いだろ?」


え、今、私のこと、か、可愛い妹って言ったよね!?

え、私、可愛い?

待って、すっごい嬉しいだけど!


「お兄ちゃん、私、ちょっと悪いお兄ちゃんでもカッコいいと思うよ?」


「そうか。そんじゃいつもの感じでいきますわ」


あれ?

思ったよりもチャラそうかも…

でもそんなお兄ちゃんも良い!


「ははっ。ぜひ娘とも仲良くしてくれよな」


「もちろんだよ、父さん。俺ずっと妹欲しかったんだから。それにすごい良い娘そうだし、すぐに仲良くなれると思うよ」


「おお、父さんか。なんか良いなぁその呼び方は」


「ふふっ。早速仲良くなって。そうそう遊、あなた今ひとり暮らしでしょ?」


「ああ、そうだよ」


「それならさ、未玖ちゃんも一緒に住ませてあげれないかしら?」


「え!?べ、別に良いけどさ…未玖はそれで良いわけ?」


わ、私か〜。

でも、お兄ちゃんだったら私良いかもなぁ。

あ、だけど心臓が足りなくなっちゃうかも…


「私は良いですよ?お兄ちゃんとなら全然暮らせます!」


「お兄ちゃんか〜。なんか良いなその呼び方。そんじゃ決まりだな」


(わ、私、大丈夫かなぁ〜)


私は少し先の未来のことが心配になりながら、顔合わせは進んでいった。




顔合わせから1週間後、私はお兄ちゃんの家に来ていた。


「いらっしゃい未玖、もう荷物は運び終わってるよ」


「お邪魔します。それじゃあ今から荷物整理始めちゃうね」


「俺手伝うか?そっちの方が早く終わるだろうし」


な、なんて優しいお兄ちゃんなんだ…

私もう死ぬのかもしれない…


「うん。それじゃあお兄ちゃんも手伝って?」


「おう、もちろんだ」


私変な物とか持ってなかったよね?確か。

う〜、もしかしたら前に友達が置いてったちょっとだけエッチな本とかあるかも〜。

だ、大丈夫だよね?




「ふ〜、案外早く終わったな」


セーフでした。

いや、確かに入ってたんだけど、なんとかバレないようにしまえました!

もしお兄ちゃんにエッチな子って思われたら、私死ねちゃうからね。


「未玖」


「うん?お兄ちゃんどうしたの?」


「もう昼だし、なんか食べるしょ?食べたいものある?俺作るからさ」


お兄ちゃん料理まで出来るの!?

か、完璧すぎないか私のお兄ちゃん…


「えーとね…お兄ちゃん、私パスタが食べたいな。あの、冷たいやつ」


「あ〜、冷製パスタね。了解」


す、すごい。

パスタまで作れちゃうんだ。

私なんて、麺茹でることすら出来ないのに…


「それじゃあちゃっちゃと作っちゃうね。未玖、トマトは大丈夫?」


「食べれるよ〜」


「はーい」


さてと、私はお兄ちゃんがご飯作り終わるまでに、()()()の隠し場所を探さないとね…




「未玖ー、出来たよー」


「はーい、今行くよお兄ちゃん」


良い感じに隠せたんじゃないかなぁ。

多分だけど…

それにしても、すごく良い匂いがします!

どんだけ上手なんだろうなぁ。

私は急いでダイニングに戻ります。


「おお!すっごく美味しそう!」


今、私の目の前にはキラキラと光る眩しい料理が、とまではいかないけど、ものすごく美味しそうなパスタがテーブルに並んでいる。


「今日はね、豚肉とトマトの冷製パスタだよ。まあ、レシピをちょっとアレンジしただけだけどね」


「いやいやいやいや、それでも十分すごいよお兄ちゃん!」


私、レシピ通りに作れたことなんてないよ!?

それだけでも十分すごいんだからね!


「そうかな?ありがとね。それじゃあ食べようか」


「うん!」


私はお兄ちゃんに促されて席に座る。


「未玖は麦茶でいいしょ?」


「ありがとね、何から何まで」


「いいよ。俺はお兄ちゃんだか「そのセリフはまずいよ!?」そうか…」


お兄ちゃん、メタいけど作者さんに迷惑かけてるなぁ。


「ほらほら食べよ!」


「「いただきます」」


ん!美味しい…

何この美味しさ、お父さんなんかとは比べ物にならないよ!

絶対お店出せるレベルだよこれ。


「どうかな?味は」


「美味しいよ!お兄ちゃん!」


「そっか。それなら良かった」


お、お兄ちゃんの微笑みが眩しいー!

見た目が美味しそうなパスタにお兄ちゃんの微笑みは殺人級だよぉ〜…


「ん?どうした?未玖、顔が少し赤いけど」


「な、なんでもない!」


お、お兄ちゃんの顔が良すぎて顔が熱い…

私こんなで、明日から大丈夫かなぁ。

私は熱が冷めるように、黙々と麺をすすった。




「未玖、俺先に学校行ってるからな。お前も気をつけて来いよ。あと、鍵閉め忘れないようにな」


「わかったよ〜お兄ちゃん。いってらっしゃーい」


「はーい、いってきます」


今日はゴールデンウィーク明け。

私の初めての高校登校日である。

ていうか私、1ヶ月も勉強遅れてるんだけど!?

友達がどうとかよりも、こっちの方が心配なんだけど。

まあ、なんかあったらお兄ちゃんに頼ればいっか。

そろそろ私も準備しないとなぁ〜。




「皆さん。今日は先日から予告していたように、転入生がやってきます。それでは、入ってください」


私は教室のドアを開けて、ゆっくりと入っていく。

すごい見られてるから緊張感が半端ないよ!


「えと、私は葛崎(かつらさ)未玖っていいます。今回は、父親の再婚でこっちに引っ越してきました。知らないことだらけですので、色々と教えてもらえると嬉しいです」


「というわけで、転入生の葛崎さんです。皆さん、質問がある方はいますか?」


先生がそう言うと、何人かの手が上がる。

先生が、そのうちの男子の1人を指名する。


「葛崎さんって彼氏いますか?」


げ!?最初のそれ聞いてくるの…

私、まだ出来たことないんですけど…


「ちょっと男子、デリカシーがないでしょ!」


「そうよ!そんなんだからモテないのよ」


「う、ウルセェなぁ!」


な、なんか揉めてるんですけどぉ。

でも、女子のみんなは優しそうで良かった。


「あの、私彼氏いないです…」


「え、まじ!」


「チャンスじゃん!」


「はいはい!好きな奴いますか?」


「ちょっと、まだ先生が指名してないでしょ」


好きな人かぁ。

好きな人、好きな人…

私の頭にお兄ちゃんが浮かんでくる。


(いやいやお兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ!?そんな、好きだなんて…でも義理の兄妹は結婚できるんだっけ…)


って私何考えてるの!?

私は考え事を振り切って前を向く。

すると、女子のみんながどうしてかニヤニヤしていた。


「え、どうしてそんなニヤニヤしてるの?」


「だって、今未玖ちゃん、明らかに誰かのことを思い浮かべて顔赤くしてたじゃーん」


「ねー、すっごく初心だねー」


え、嘘でしょ!?

何それすごく恥ずかしいんだけどぉ。


「えーと、他の質問がある子は…」


今度は女子を指名する。


「未玖ちゃんって、苗字が葛崎って言ってたけど、もしかしてお兄さんっていますか?」


なんでそんな質問をするんだろう?


「はい、いますよ?」


「それってもしかして、葛崎遊先輩?」


「そ、その通りです」


なんでそこですぐに名前が出てくるの?

もしかしてお兄ちゃんって有名人?

確かに、あんなカッコよかったら人気になるかもなぁ。


「そっかぁ」


あれ?それで終わり?

まあいいんだけど。


「それでは、次の人…」


そこから何人から、私は質問を受けた。




「ねぇ未玖ちゃん?」


「はい?どうしました?」


最初の授業が終わって休み時間に入ると、さっき質問してくれた子が話しかけてきた。


「ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」


も、もしかして、これ漫画とかでよくある、『先輩は私のものだから手を出すな!』って私が詰められる展開!?


「わ、わかりましたぁ」


うぅ、怖いなぁ。

私はその子に手を引っ張られて、空き教室まで連れて行かれた。


「あのね、その、もしかしてなんだけどさ、未玖ちゃんって葛崎先輩のこと好き?」


「え、いや、その、まだ好きじゃないけど…ちょっと気になってるかも…」


わ、私そんなにわかりやすかったかなぁ。


「やっぱり…実はね、葛崎先輩って、女遊びがすごいって噂があるんだよねぇ」


え!?

あ、あのお兄ちゃんが!?

あのカッコよくて紳士でクールなお兄ちゃんが!?


「ほ、ほんとなの?」


「あくまで噂だけどね。何人も彼女がいるとかって噂が流れてるの。だからね、一応未玖ちゃんも気を付けてね。何かあったときは、私たちは未玖ちゃんの味方だから」


「うん。あ、ありがと、ね」


「それじゃあ教室に戻ろっか」


「う、うん」


ほ、ほんとなのかなその噂。

そんな風に見えないんだけどなぁ。

浮気とかはまずしなそうなのに…

私はモヤモヤした気持ちのまま、教室に戻った。




「ただいまぁ〜」


「お、おかえりお兄ちゃん!」


「未玖、初めての高校はどうだった?」


「えーとね。みんな優しくしてくれてね、いっぱい友達できたよ。先生も優しかったし。でもやっぱり勉強は難しいね」


「はは、そうだよね。それじゃあ今度俺が勉強教えるか?」


「え!いいの?ありがとうお兄ちゃん!」


「いいってことよ。それじゃあ俺はちょっと部屋に篭るから、7時になったら呼んでくれ」


「はーい、りょーかーい」


お兄ちゃんはそのまま自分の部屋に移動する。

さ、さすがに本人に直接噂について聞くのはまずいよね…

それにしても、お兄ちゃんよく部屋に篭るけど、何してるんだろうなぁ。




「それでは皆さん、気を付けて帰ってくださいね。さようなら」


「「「さようなら」」」


今日で、私が高校に通い始めてから大体2週間が経った。

最近は友達になった、


「未玖ちゃん!今日も一緒に帰ろ!」


「うん、もちろんだよ真夢(まゆ)ちゃん」


あの噂を教えてくれた真夢ちゃんとよく一緒にいる。

いつも、別れる途中までは一緒に帰るのだ。


「未玖ちゃん、今日の英語の小テストどうだった?」


「もちろんバッチリ!満点だよ」


「もーう、未玖ちゃん頭良すぎない?勉強遅れてたんだよね?」


「お兄ちゃんが教えてくれてるから、お家で」


「お兄ちゃんって葛崎先輩かー。先輩頭いいもんなぁ。ずるーい」


「えへへ。これは妹だけの特権なのです!」


「私平均点いかなかったんだけど〜」


今日も、いつものように雑談しながら帰る。


「それじゃあ私こっちだから」


「うん、真夢ちゃんバイバイ」


「未玖ちゃんまた明日ね〜」


ここからは10分くらい1人で歩かないとである。

まあでも、特に何かが起こるわけでもないしだいじょぶで「おいおい、かわい子ちゃんいるじゃーん」


(ふ、フラグ回収したー)


道路の奥の方を見ると、金髪にサングラスをかけた2人の男が、声をかけながら近づいてきた。

も、もしかしてこれ、ナンパってやつですか?

私初めてなんですけど…


「なあなあ、今から一緒に遊ばん?」


「い、いえ。わ、私はもう家に帰らないとなんで…」


「おいおいつれないなぁ。ほら行こうって」


片方の男が無理やり私の腕を掴んで引っ張ってくる。

これはさすがにまずいかもしれない…

私の力では、どう頑張っても男2人には勝てっこない。


「ほらほら早く「何してんだテメェら」あ?」


私の後ろから、冷ややかなカッコいい声が聞けてくる。

もしかして、ヒーローは遅れてやってくるって奴ですかぁ!


「なんだよテメェ。今良いとこだから邪魔すんなよ!」


「いやー。そいつ俺の女だからさあ?連れてかれると困るわけ」


え、お、俺の女!?

私、いつのまにお兄ちゃんの女になっちゃったの!?

って、ただの妹って意味だよね。


「お前、あんま舐めてんとぶちころガッ!」


急に私を掴んでいた腕の力が抜ける。

横を見ると、足を蹴り上げたお兄ちゃんの姿が…

もしかしてお兄ちゃん今、この人のことやっちゃいました!?

何それカッコよすぎでしょ!?


「て、テメェ、よ、よくも「お前も潰されたい?」ッチ、お、覚えてろよっ!」


わーお。

まんま三下のセリフだなぁ。


「未玖、大丈夫だったか?助けが遅れてごめんな」


私のことを心配してか、お兄ちゃんが私の顔を覗いてくる。

お、お兄ちゃんの顔が、ち、近くに!?

待ってぇ、もう限界なんだけど…


「お、お兄ちゃん、私、だ、大丈夫だから。はやく、帰ろ…」


「それなら良かった。ほら、手、繋ぐか?まだ体震えてんだろ?」


お、お兄ちゃん…

私、もうダメぇぇぇ。

ああ、私…




お兄ちゃんのこと好きになっちゃった…




昨日は結局、怖くて眠れなかったもんで、お兄ちゃんに添い寝してもらった。


「ほら未玖。今日の朝食はフレンチトーストだ」


「やったー!お兄ちゃん大好き!」


私は決めた。

私は絶対にお兄ちゃんの彼女になるって。

だから、私はお兄ちゃんに積極的にアプローチする!

そのためには、妹という立場を利用しても構わない!

名付けて、『お兄ちゃんを落とそう大作戦』、始まりだ!!!




「お兄ちゃん、今日は一緒に行こ?」


「お、良いよ」


「ねぇ、手繋ご?」


「え?別に良いけど…」


「えへへ」




「お兄ちゃん明日は土曜日でしょ?」


「そうだな」


「だからさ、デート行こうよ!」


「兄妹デートか。良いね〜、んじゃ明日行くか」




「お兄ちゃんお待たせ〜」


「お前、ちょっと露出が激しいんじゃないか?」


「べっつに〜。今の高校生はこんくらい普通だし」


「いや俺も高校生なんだけど」


「ほらほら、とにかく行こ!」


「ちょっ、おい、腕に飛びつくなって」


「良いじゃん良いじゃん。早く行こ?」




「お兄ちゃん、この服買おうよ」


「どれどれ?お、良いじゃん」


「ペアルックにしようよ!」


「いや、兄妹でペアルックって…」


「ほら早く買お?」


「仕方ないなぁ」




「お兄ちゃん、あーん」


「あーん。ん、美味いなこれ」


「む〜」


「えっと、なんで頬膨らませてんの?」


「し〜らない」


「え〜…」




「お兄ちゃん、今日も一緒に寝て良い?」


「ん?もちろん良いよ?」


「やったぁ!ありがとお兄ちゃん!」


「それじゃ、おやすみな」


「おやすみなさ〜い」




「お、おにい、ちゃん…」


「どうしたんだ?未玖」


「い、いっしょに、さぁ…お、おふろ、は、はいら、ない?」


「急にどうしたんだ?ていうかそもそもいつもシャワーだろ?」


「あ、う…」


「あれ?どうした?おーい、未玖〜?」


「お、お、お兄ちゃんのバカぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」


「痛った!ちょっと、え、ちょっと待って、おーい?えーと、どうしたんだ?あいつ…」




(もう、もう、もう、もう!)


私は枕でベッドを何度も叩く。

どうしてこんなに色々してもお兄ちゃんは動じないの!?

もしかして性欲枯れてるの?

そ、それとも男が好きだったり…

いやでも、あの噂が流れるくらいだし、それはないでしょ。

それに、わ、私、あんなことまで言っちゃって…

あ、あ、あ…


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」


私は枕に顔を突っ込んで叫んだ。

あんな、あんなこと言うなんて、それはもうビッチじゃん!?

私ほんとに何言っちゃってんの!?


「あーもう、どうしよぉ」


やっぱり私、女として見られてないのかなぁ。

お兄ちゃんって、もしかして年上好き?

それとも妹だからなのかなぁ。

う〜ん、どうしたらぁ。


「あ、そうだ」


ベッドの上で待ち伏せすれば良いんだよ!

それもすっごい薄着で!

いやいやいやいや、それは痴女じゃん!?

でも、それで意識してもらえるなら…

もしかしたらそのまま…


「きゃ〜!」


そしたらもうどうしよう〜。

そのままめでたくゴールインだもんね?

やっぱり、この作戦で行くしかないのかなぁ。

そうと決まれば、この作戦は今夜決行する。

私は、作戦のための準備を始めた…




「おい未玖〜?今日も一緒に寝るのかっ…」


部屋に入ってきて私を見たお兄ちゃんは、固まってしまった。

今の私の服装は、透け透けのベビードールである。


「な、なんでそんな格好してんだ?いつも、普通のパジャマだろ?」


お兄ちゃんは今、明らかに動揺してる。

今は攻めるチャンスだ。


「お、おにいちゃ〜ん。…いっしょにねよ?」


甘えるような声に、上目遣い。

さすがにこれでお兄ちゃんも落ち「きゃ!」

急に迫ってきたお兄ちゃんに、私はベッドにそのまま押し倒される。

待って!?

わ、私今、お、お兄ちゃんに押し倒されてる!?


「なぁ…」


「ひゃい!?」


「お前、誘ってんの?俺のこと…」


お兄ちゃんの顔が徐々に迫ってくる。

カッコよすぎて、顔に熱が集まるのを感じる。


「あの、その、私…」


「どうなの?」


「さ、誘ってます!!!お兄ちゃんに女として見てもらいたくて誘いました!!!」


あ〜、言っちゃったよ〜。

ひ、引かれてないよね?

大丈夫だよね?


「そっか…」


なんか、いつもよりもお兄ちゃんの声が低い気がする。


「それじゃあ…良いってことだよ、ね?」


「そ、そうですぅ」


「んじゃ、いただきますっ」


え、待って!?

お兄ちゃんなんで手伸ばしてくるの!?

なんか目、ギラギラしてない??

わ、私美味しくないって!?

ちょっ、どこ触ろうとしてるの!?

ちょっと、お兄ちゃん!?


「あ…んっ♡」










「お、おにっ…ぢゃん…あっ…やめ…あんっ…」










「んっ…あ゛っ…いっ……ぐぅっ…」










「はぁ…はぁ……おにいちゃ…ちょ…きゅうけイ゛ッ…」










「あんっ♡あんっ♡おにいちゃ♡…い…ぐぅぅぅぅ♡」










「がっ……ぐっ……う…うしろ…からは…あ゛んっ♡」










「あっ♡………………ふぅ…………ふぅ…………はぁ………」










「はむっ…ほひいひゃん…ひもひい?…ほう?よはったぁ………むぐっ!?」










「…(ごっくん)…………はぁ…はぁ……………へ!?おにいちゃん!?ちょっとまってぁあんっ♡」










「い…いっちゃうからぁ………い゛…いぐぅぅぅっ♡」










「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………おにいちゃん…やっと…ねたぁ……」


も、もう日が、昇ってるんだけど…

私、何度か意識、飛びかけたよぉ…

お兄ちゃん、どんな体力してるのほんと…

それにしても…


「き、気持ちよかったなぁ…」


最初はすごく優しかったし、最後の方では、とっても激しかったなぁ。

それに、咥えたあとに、む、無理やりさせられたし。

でも、それもすごくよかったな…って!


「いやいや!?私ドMじゃないから!?」


な、何変なこと考えてるの私!?

わ、私おかしいのかなぁ。

それにしても、ほんとにお兄ちゃんと、シちゃったんだなぁ。

これはもう、私とお兄ちゃんは付き合うってことで、良いんだよ、ね?

と、とりあえず疲れたし、私も寝よ…




シャーーーーー


「結局今日もシちゃったよ〜…」


今、私は絶賛シャワーを浴びている。

今日もお兄ちゃんとヤったせいで、体がべとべとになっちゃったからね。

ちゃんと浴びないとかないと、このあと学校だからなぁ。

それにしてもやっぱり、朝のシャワーはきもちいな。

というか、あの日から毎日ヤってるもんで、毎朝浴びてる気がする…

まあそんなこと気にしたらダメだよね!

そういえば…


「私、ゴムしてない時もあったよ、ね…」


あ、あわわわわ!?

も、もし妊娠しちゃったらどうしよう!?

初めての時なんか、そのまま何回も出されちゃったよ!?

も、もし妊娠したら、お兄ちゃんに養ってもらお…




「そういえば、今日2年生休みなんだよね」


「確か、この前の土曜日に学校があったからだっけ?」


「そうそう。なんか試験みたいなのがあったらしいよ」


「お兄ちゃんは余裕そうだったけどね」


「葛崎先輩、頭いいからねー。4月にあった学力テストみたいなの、10位以内に入ってたよ」


「え!?それ知らないんだけど…」


「あれ〜?妹なのに知らないの〜?」


「よし。もう宿題見せないね」


「あ〜!?待って待ってごめんって〜!?」


今私は真夢と帰ってるんだけど、お兄ちゃんそんな頭良かったんだ…

私まだお兄ちゃんのこと、知らないことだらけだなぁ。

そういえば、そろそろ定期テストがあるから頑張らなくちゃな。

お兄ちゃんにも手伝ってもらって。

さすがにテスト期間は、お兄ちゃんも自重してくれるよね?

最近寝不足で、授業が辛いんだよねぇ。


「それじゃあまた明日ね〜」


「宿題自分でやってよね」


「私なりに頑張るよ〜」


絶対やってこないやつじゃんそれ!

もう、真夢のことはいいや…

それにしても、今お兄ちゃん何してるのかなぁ。

お兄ちゃんが家に1人でいることってなかったからなぁ。

何してるのかすごい気になる…

いつも部屋に篭ってる時も何してるのかわからないし。

な、謎が多すぎる…うちのお兄ちゃん…


「ただいまー!」


あれ?返事が返ってこないなぁ。

お兄ちゃん部屋にいるのかな?

とりあえず荷物片付けないとな。


「あ…」


「え…」


私の前には今、半裸の美人な女の人がいる。

ほとんど下着姿みたいなもので、着ているTシャツも脱げかけている。

なんで女の人が家に?


「あ、どうも?」


「こ、こんにちは?」


「えーと、どちら様ですか?」


「私は、この家の人ですけど…」


「あれ…この家は遊のだよね…え?」


ど、どうなっているんだろう。

なんでこの女の人は家の中にいるの?

それよりもお兄ちゃんはどこ?


「おーい凛華ー。なんで固まってんだ?って、あー。未玖と出くわしたのね」


2階から、上半身が裸のお兄ちゃんが降りてくる。

待って今どういう状況?

半裸の女の人と、上半身裸の、お兄ちゃん?


(………どう考えても情事が終わったあと、だよね…)


つ、つまり?

今、お兄ちゃんと、この女の人はヤってたってこと…

え、え、え、え、お、


「お兄ちゃんが寝取られたぁぁぁぁぁぁぁああ!?」


嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?










「未玖、落ち着いた?」


「お、落ち着きました…」


椅子に座る私の前には、お兄ちゃんとさっきの女の人が並んで座っている。

テーブルを挟んでの私たちは、完全に家族会議である。

いや実際に家族会議、じゃなくて兄妹会議か…

とにかく!これは大事な会議である。


「お兄ちゃん、どういうことか説明、し・て・ね?」


「あ、ああ」


「それよりも少し良いかな?」


「ん?凛華どうかしたのか?」


「2人は…兄妹なの?確か、遊には妹なんていなかったと思うんだけど…」


「あれ?俺言わなかったっけ?美由希が再婚して妹が出来たって」


「そ、そういえば言ってたような…」


「だよな。やっぱり」


凛華って名前どっかで聞いたような…

あれぇ?どこだっけな?

確か、真夢がなんか言ってたような…


「あぁー!!!」


「うおっ!どうしたんだ未玖、急に叫んで」


「も、もしかしてなんですけど…お姉さん凛華って名前なんですよね?確か、お兄ちゃんの学年の、三大美人の1人だった気が…」


「あれ?私のこと知ってるんだ。2年生の三大美人の1人って言われてる、橘凛華だよ。よろしくね未玖ちゃん」


「お、お兄ちゃんが、三大美人の人と浮気…」


「待って?さっき叫んでたのも気になったんだけど、浮気ってどういうこと?あ、もしかして…」


何やら凛華さんは考え込んでいる。


「ねえ遊?」


「どうかしたか?」


「もしかしてなんだけどさ…未玖ちゃんに、手でも出した?」


「え?うん」


「はぁー。そりゃこうなるよねぇ」


えーと、どういうこと?


「その、実はね、未玖ちゃん…遊と私はね、付き合ってんのよ」


え。

それって、もしかしなくても…

私が、浮気相手?


「わ、私、そ、そんなこと知らなくて、お、お兄ちゃんと…」


ど、どうしよう…

私、最低なことしちゃった…


「それは大丈夫よ。だって遊…




三大美人全員と付き合ってるから」


どゆこと?


「お兄ちゃんは、3股してる?しかも、公認?つまり浮気?ん?」


あ、頭が混乱してきた…

どうなってるの、一体…


「そのね、実はね、遊はちょっとおかしいの」


「おい酷くないか?」


「それは今の話でだいぶわかりました」


「未玖も!?」


「遊からしたらね、全員としっかり付き合っていたら、浮気にはならないらしいの…」


「えーと、つまり…お兄ちゃんは頭がおかしいってことですか?」


「その通り」


「いやだから辛辣!?」


まさか、あんな完璧そうなお兄ちゃんに、こんな弱点があったなんて…


「きっと、未玖ちゃんも遊と付き合ってるのよね?」


「はい。そうです」


「それなら未玖ちゃんも歓迎するよ。ようこそ、遊ハーレムへ」


は、ハーレムとか…

リアルにあるんだなぁ。

お兄ちゃん、まるでラノベの主人公みたい…

でも隠キャじゃないし、鈍感でもないから違うかな?


「いやその遊ハーレムってなに?俺、初めて聞いたんだけどその名前」


「そうなの?結構有名なんだけどね」


「嘘でしょ!?」


「お、お兄ちゃん、すごい悪名で有名なんだね…」


「待て待て悪名ってなんだ、悪名って」


はぁ、なんか色々考えたのがバカらしくなっちゃった。


「それじゃあ凛華さん。これから私もお兄ちゃんハーレムの一員として、よろしくお願いしますね?」


「うん、よろしく。これ以上ハーレムメンバーが増えないように、一緒に頑張ろうね!」


「はい!」


なんかすごい修羅場になったと思ったけど、結局全て解決かな?

これからはお兄ちゃんの彼女として、精一杯頑張っていこっと!




〜おまけ〜


「ねぇ美藍〜。凛華から連絡きたんだけどさ〜。なんか遊、新しくできた妹にも手出したみたいだよ」


「え!?遊赤ちゃんに手を出したのですか!?」


「あははっ!違う違う。なんでも、美由希さんが再婚したらしいよ〜」


「遊のお母様ですね。なるほど、再婚で出来た妹ですか。つまり義妹ということですね」


「そ〜ゆ〜こと〜」


「それなら法律的にも大丈夫ですね。それにしても、どんな人なんでしょうか?」


「なんでも1年生の子らしいよ」


「年は近いですね。また今度、挨拶に行きましょうか」


「そうだね〜。せっかくだし、マカロンを布教するぞ〜!」


「瑠奈はマカロンが好きですね」


「甘くて可愛いからね〜。甘いの好きかな?未玖ちゃん」


「未玖さんっていうんですね。しっかり覚えておかないと」


「会いに行くのが楽しみだね〜」


「そうですね」


「あははっ(ふふっ)」


〜おまけ終わり〜

どうもsha-k_3です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ハーレムメンバーが1人増えましたw。

これからも自由に執筆していくのでよろしくお願いします。

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