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恋知らぬ姫と月恋う王子  作者: 津木島千尋
婚約破棄とはいかがなものか
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この世界と私とあなたの事情

 世界には七人の賢者がいるという。

 賢者は世界を治めるために王を任命し、選ばれた王は閣僚を選定し、次の王が選定されるまで国を運営する。


 一つの国にひとりの王であることもあれば、東西南北にそれぞれ王がいることもある。治める土地の広さや環境によって王の配置数が異なるらしいが、厳密なルールがあるわけではないらしい。すべては七人の賢者の差配次第だ。


 王や閣僚、また官吏は賢者から「管理階級」と呼ばれている。市井の人々はこの「管理階級」を「上流階級」や「貴族」「雲客」「殿上人」などと揶揄して呼ぶこともあるが、あくまでもこの呼称は従事する職業に対するもので、家柄、血筋に付随する特権はない。現に私やカールも王の子ではあったが、管理階級ではない。ただ、一方で資産保有のピラミッドを描くとき、上部を管理階級が占めていることは事実だった。


 父は任命を受けたときにこのような言葉を賢者から贈られたという。

 世界は小さな方舟であり、きみたちは水の流れを読む力を持った船頭である。

 方舟を目的地へたどり着かせるために、櫂を動かしていることを肝に銘じなさい、と。


 この言葉を用いると、賢者は王に水を読む能力を認め、櫂を動かす労力へ高い報酬を払っているということになる。賢者にとって世界とは、様々な舟が行き交う海なのかもしれない。


 さて海に見立てられるこの世界には様々な制約がある。その中で今の私とカールに特に関係するものは婚姻に関するものだろう。


 婚姻には行政区分が深くかかわっている。国によって細かい名称は異なるが、「領」に代表される大きな括りの下に、特別行政区や市町村が置かれている。


 現在、管理階級であろうとなかろうと、男性は生まれた「国」に定住することが求められる一方で、女性は成年以降生まれた「領」にとどまることが許されてていない。また生まれが同じ領の男女の婚姻は禁止されている。


 さらに男女いずれにしても母親が生まれた「領」の人間とは婚姻関係を結んではならないとされている。


 私(女性)がAという国のB領で生まれたとしよう。A国はB、C、Dという領がある。私の母親はD領出身とする。私は成年になるとB領を出なくてはならない。そのためC領で職を得て移住をした。結婚をする場合、B領生まれの男性とは結婚ができない。また母親がD領出身のC領生まれの男性とも結婚ができない、ということになる。


 私(男性)がA国B領で生まれ、母親がC領出身の場合、私はA国内のB、C、D、いずれに住むことができるが、A国以外に移住することはできない。C領で家庭を築こうとした時、B領生まれの女性、またC領出身の母親を持つ女性とも結婚することができない。


 そのうえ、王の場合、王となった後の婚姻では、自国の人間を選んではならないとされている。王の子どももそれにならう。


 カールは「王冠と剣の国」を治める王の長子だ。私は海を隔て、遠く離れた「水と祭礼の国」を治める王の娘のひとりである。結婚をするのであれば、王と同じく自国以外の人間とせねばならない。

 

 王や王の子どもたちは、結婚相手を探すとき、多くの場合、賢者に候補者選定を任せる慣習がある。つまり、いわゆる支配階級の婚姻には賢者の意図が反映されるということでもある。

 カールと私の婚約もこの慣習によって決められた。私が十四歳、カールが十一歳の頃のことだった。


 私が十八歳の時にこの国に馴染むため、留学と称して暮らし初めて、一年。慣れたとはいえないものの、それなりに順応し始めた、十九歳の春にしての破局だった。

この世界の面倒くさい部分です。


世界は賢者、王、管理階級の人々によって治められている。

この世界では身近な人とは結婚ができない。

王や王子、王女は自国の民とは結婚できず、結婚相手選びにも賢者が絡んでくる。


という内容です。

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