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三、王族になるために1

「ハッピーエンドだね」


「グレーゼルが恍惚とした表情で言います」


「そうして、アイシャ達は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。ではないんだね」


「えっ、なんで違うの」


「ヘンテルが言った言葉にグレーゼルが反応します」


「グレーゼル、大事なことを忘れてるよ。ここはどこ。彼女は誰」


「ヘンテルが魔女を見ながら言います」


「ここは魔女さんの家で、魔女さんは・・・・・・あっ」


「グレーゼルもようやく気付いたようです。ここは魔女であるヨーキの家。幸せに暮らしたのならヨーキがここにいるわけがないのです」


「でも、どうして・・・・・・」


「グレーゼルが言います。すると、モーリーもネヌットも魔女も困った顔をします」


「人は見た目が八割ってことさ」


「ネヌットが言いました」


「ヨーキ、辛いならこの続きはアタイがしゃべろうか」


「モーリーが気遣います」


「いや、いいよ。自分で話すよ」


「魔女がそう言うと、みな静かになって続きを待ちました」



「ならん、絶対にならん」


 オダム王が声を張り上げます。


「しかし、父上、約束したではありませんか。私が半年以内にシンデレラ、もといアイシャを見つけたなら、婚約を認めると」


 ラッセル王子が食い下がります。


「そんな約束などした覚えはない」


「王たる者が自分の言葉を曲げるおつもりですか」


「話に聞いていないと言うことだ。上流市民の子どもだというから、上流市民であるというから聞き入れたのだ。平民の、しかもあのように醜い母の子だとは思わなかった。許せん。ここは神聖なる王族の城ぞ。あのような醜い魔女のような女、そうだ、あやつは魔女だ。魔女に違いない。魔女に王家を乗っ取られるわけにはいかん。親子共々、あやつを追い出せ。貴様の嫁はメリッサだ」


 その後もラッセル王子が説得を試みるも、オダム王は聞く耳を持たず、同じ言葉を繰り返すばかりだった。ラッセル王子はアイシャにも、ヨーキにもどう説明したものか。悩んでいた。ここには、従者として今回の一件に功績を残した、ネヌット、モーリー、ドーキを連れてきている。ここ一ヶ月結婚式の予定が立てられず、四苦八苦していることや、オダム王がやたらとヨーキを嫌っていることは隠しているつもりだが、連れてきた従者達からいずれ耳にしてしまうだろうことは明白だった。

 ラッセル王子は意を決して、アイシャとヨーキを呼び出した。


「申し訳ありません。こういう事情で、父がここに来て頑と首を縦に振りませぬ。私の力不足です。何か父を説得できる妙案があれば良いのですが」


「王子様、何も謝ることはありません。王子様はあのトーラの、私の継母の手から私を救って下さいました。私にはそれで十分です。王様が許して下さらないのなら、無理は言いません。私はセロイドの土地を母と一緒に守っていきます。それで十分です」


 アイシャが慎ましく、しかし哀しそうにそう言いました。


「アイシャ、勘違いしないでくれ。僕は君以外と結婚をする気は無い。初めて会ったあの日の出来事、焦がされた半年間、そして、見つけてからの一ヶ月。僕の気持ちはもう君にしか向けられない。僕が君と結婚したいんだ。だから、そんな哀しい決断を口にしないでくれ」


 ラッセル王子が切り返します。アイシャは、真っ直ぐと見つめられて口説かれたため、恥ずかしくなって俯きます。そんな中、ヨーキが朗らかな声で言いました。


「そうですか。いえね、王子様。そんな話しがあることはモーリー達から聞いてましたよ。結局のところ私が王様に嫌われてしまったのが原因のようだ。私がいなくなれば、それでいいのですよね」


「いえ、そんなつもりで話したわけではないのです。ヨーキ、お義母様とも一緒に暮らしたい。せっかく再開できた二人を割くことなんて出来ません」


「そうよ、お母さん。また離れ離れになるなんて嫌よ。私」


「では、どうしようかね。このままだと堂々巡りな気がするのだけどね。少し、整理をしよう。二人は一緒になりたいってことで良いんだね」


「「はい」」


「王様は私が嫌いだ」


「・・・・・・はい」


「では、私だけいなくなればそれで丸く収まるんじゃないかな」


「そうでもない、と思います」


 ラッセル王子は、ちらっとアイシャを見ながらそう言いました。


「ほう、それはどういうことだい」


 ヨーキがにこやかな目を鋭くして聞きます。


「王様は強く、お義母様を魔女だと思い込んでいます。つまりその娘であるアイシャも・・・・・・」


 ラッセル王子は言い辛そうに言いました。


「なるほど」


 ヨーキがそう言って、思慮に沈みます。傍らでアイシャはその事実に驚いていました。


「なんとも非合理的な話さ。与太話の域を出ない父の妄想です。あまり気にしないで下さい」


 ラッセル王子が取り繕います。


「はい・・・・・・」


 そう返事するも、アイシャはショックを隠せていないようでした。


「ともかく、全てわかりました。妙案が思い浮かびました。ここは、私に任せて貰えないでしょうか」


 ヨーキがにこやかにそう言います。


「任せるのは良いですが、何を思いついたんです」


 ラッセル王子が聞きます。


「それは、後のお楽しみさ。さ、とりあえず解散だよ」


 ヨーキがそう言うので、とりあえず三人は解散しました。


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