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一、跡取りとして

「許さんぞ。それは許さん」


 国王オダムは言った。もしや、国王ならそう言うのではないかと王子は思っていたが、それが当たり、ため息をつく事となる。


「父上、しかし父上も了承のはずです。仮面の舞踏会で私を見つけたものは后となる権利を得るように取り計らったのは、何を隠そう父上ではありませんか」

「それは、婚約者のメリッサをお披露目する余興に過ぎん。訳あって、メリッサはお前を見つけることが出来なかったみたいだが、婚約が解消されたわけではない。メリッサとの婚約には応じてもらう」

「ではメリッサとの婚約を破棄します」

「何を言い出すかと思えば、お前はこの国の王子なのだぞ、そんな勝手が許されると思うのか」

「許されましょう。この国にいる平民達はみな好き勝手に恋をします。この国のトップたる王族も国の慣例に則りそうあるべきでしょう」

「何を言っているのだ。お前はこの国の王子だ。平民ではない。お前の一挙手一挙動が国の未来を左右することが何故わからん」

「この国の未来は、この国の民とともに自由であるべきです。私が代表してそうあります」

「そんな支離滅裂なことがあるか。だとするのならば、この国に未来はないぞ。お前はメリッサと結ばれる運命なのだ。メリッサのどこが不満なのだ。気品も美しさも身分もしっかりしている。何も不満は無かろう」

「不満しかありませんね。私はメリッサに恋は出来ませぬ。あれは腹黒い女です。万が一あれが后になろうものなら、この国は暗黒の時代を迎えるでしょう」

「それはお前がメリッサと結婚しなければそうなる。いまやトラジット家はこの国には無くてはならない勢力だ。年々弱まる王族の立場を回復するにはトラジット家の力が必要なのだ」

「それこそトラジット家に覇権を握られることになるでしょう。王族でなく、トラジット家に。トラジット家を取り込んでもそれは一時的に覇権を確保したに過ぎませぬ。何故それがわかりませぬ。それに、当主のトラジット・タルト氏は好戦的な方です。間違いなくこの国に戦争が起きます。戦争ほど国民を苦しめる出来事はない」

「お前は何もわかっていない」

「お父上の方がわかっておりません」

「・・・・・・では、お前の言うこの国の未来を安定させる方法とは何なのだ」

「王族が力を取り戻すことです」

「どうやって力を取り戻す」

「強いカリスマ性を持って、国をリードすることです」

「それをどうやってやる」

「私がシンデレラ探しの旅に全国を行脚します。そこで行うのは、私が国民一人一人の家に訪問し、靴の持ち主を探すことです。この靴をしっかりと履けた者は王子と結婚出来ると言いふらすのです。それで私の顔と認知度が上がります。また、街を視察できるので全国の状況を把握することが出来、裏で悪政を働いている上流市民がいないかを調査します。検挙し次第、王権でこれを罰します。それで随分とこの国の民は私の言うことを聞くようになるでしょう。良いですか父上、王族自身が未来を切り開く力を持つことでこの国は変われるのです。王族の国として、平和な国として」

「全国を行脚するだと。どれくらいの期間を考えているつもりだ。場合によっては婚期を逃すぞ」

「一年でやって見せます」

「ふん。そんなに待ってられん。その間タルト氏を抑えられる力は今の王家には無い。半年でやれ」

「・・・・・・わかりました。半年ですね。何とかやってみます」


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