一、家政婦ヨーキ6
「みんなに報告がある」
プルトが食事の前に話を振る。セロイド家では、大事な話がある時は食事の前と決まっているのだ。みんな静かにプルトに耳を傾けた。
「家政婦をやってくれているメリーが、家庭の事情により、今月で辞めることになった。最終日には送別会をやるつもりだから、そのつもりでいてくれ。メリー、挨拶はあるか」
「はい、母が危篤になり、途中で仕事を投げ出すような形になりました。申し訳ありません。皆様の幸せを切に願います」
メリーが粛々と挨拶する。みな、思い思いの顔を浮かべる中、アイシャはことさら不安な顔を浮かべた。
「それからもう一つ。今日から家政婦として働くヨーキだ。メリーの代わりを探していたところで見つかった。最初のうちはヨーキも戸惑うことが多いだろうが、みな温かく迎えてくれ。歓迎会はメリーの送別会と同じ日にするとする。ヨーキ、挨拶を頼む」
プルトがそう言うと、ヨーキが一歩出る。
「ご紹介に預かりました、ヨーキと申します。メリーさんの変わりになれれば良いのですが、なにぶん、経験の浅い若輩者にて、最初のうちはどうぞご容赦をお願いします」
ヨーキも粛々と挨拶をした。そして、ヨーキはそのまま一人一人の顔を見る。どれがアイシャだろうか。最後に見たのは生まれたばかりの姿だ。流石に九つになるアイシャを判別できるだろうか。と、一人の少女を見て、その視線を止めた。アイシャは視線に気付いて、首を傾げる。
「では、一人ずつ、ヨーキのために挨拶をしよう。まずはトーラ、君からだ」
プルトがそう言うと、トーラは立ち上がった。
「プルト様の妻のトーラになります。どうぞ宜しく、ヨーキ」
「宜しくお願いします。奥様」
ヨーキはすぐに視線を戻して、トーラに挨拶をする。
「続けて、テラ」
トーラが座ると、テラも立ち上がる。
「長女のテラと申します。よしなに」
テラは丁寧なお辞儀をして、挨拶した。
「宜しくお願いします。テラ様」
ヨーキは笑顔でそれに応えた。
「続いて、アイシャ」
アイシャはテラが座るのを待ってから立ち上がる。と、目がカッチリ合った。
「あ、アイシャです。宜しくお願いします」
こじんまりとした挨拶になってしまう。トーラが厳しい目でアイシャを見た。その視線もあり、アイシャはすぐに座る。
「アイシャ様。良い名前ですね。宜しくお願いします」
ヨーキは視線を外さずにじっくりとアイシャを見る。アイシャはトーラとヨーキに見られて、顔を、目をキョロキョロさせていた。
「続いてエラ」
プルトに言われてエラはすぐに立った。アイシャが座ってたというのもある。
「エラです。よしなに」
堂々と優雅に挨拶をする。特にアイシャを意識しているようで、勝ち誇ったような顔を向けている。
「エラ様ですね。宜しくお願いします」
ヨーキは特にコメントは残さずにそう言った。
「これで、全員だ。では、食事としよう」
プルトがそう言って、食事となった。




