始まり1
ー--絶対あなたは生き残るのよ。。。!----
「。。。ナ。。ンナ。。。アンナ!」
ーーはっ。
目の前に可愛らしい顔が険しい顔で覗いている。
「ん。。。リンか。おはよう。」
「んもう!やっと起きたんだから。早くしないと朝食食べちゃうわよ!」
「はいはい、準備するから先に下行ってて。」
何か夢を見ていた気がするがあの女の人は誰だったんだろうか。
孤児院の朝は早い。
日の出と共に炊事洗濯全ての家事を子供達が行う。
月に一度院の管理者が来るがほとんど孤児の共同生活所だ。
「みんなおはよう。」
「遅いよアンナ!!」
「なによルース、いつものことでしょう。」
「さあ、みんな準備して!朝ご飯よ!」
ーボウッ。
炊事係のリンがコンロに息を吹きかけると火が付いた。
ルースは20人分の皿を棚から浮かせると次々と各席の前に並べていく。
小さい子供達はフォークやスプーン、カップ、年長者はサラダやパンを分けていく。
今日も騒がしい1日だ。
「行ってきまーす!」
朝食を終えると家畜の世話や洗濯をするルースや他の子供達に見送られながら年長者は各々の仕事のため街へ向かう。
リンは火の魔法が使えるから調理場。小さな頃からずっとそうだ。
孤児院での料理の腕も群を抜いて上手い。
ミナトは水の魔法で消防団、ロアはルースより強い浮力の魔法が使えるから空中タクシーで人を運ぶ。
「「じゃあまた夜にね!」」
笑顔で別れたあとこの街の領主のお屋敷へ向かう。
アンナの顔から笑顔が消える。
この仕事は嫌いじゃない。
言い聞かせるその言葉とは裏腹に向かう足取りは重くなる。----