45・お出かけ
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外へ出ると、庭の散歩中らしい少女の後ろ姿を見つけた。
「イライナ様、約束していた新作のリンゴ風味を試作したので、みなさんで食べて下さい」
携帯用のビスケットを渡すと、イライナ様は元気な笑顔を見せてくれた後、いつものようにそれを空に掲げた。
「イライナ様は、私が渡したものをよく高く上げていますね。どうしてですか?」
「こうやって、おとうさまとおかあさまに見せているのよ。星が流れたら、私の気もちをとどけてくれる昔話をコシマが教えてくれたから、夜には心の中でお話もするの」
以前馬丁のコシマさんから聞いた、流星が死者へ語りかけた言葉を届けてくれる話を思い出す。
「そうでしたか」
「リシアにも話しかけたい人はいるのかしら?」
「いますよ。私は従姉のお姉さんに、話したいことがたくさんあります」
空を見上げながらルネのことを思い出しているとレオルが来たので、イライナ様とは別れて二人でコシマさんの家へ向かう。
コシマさんは衝撃緩和石の試作の相談をすると気さくに応じてくれるし、この国ではあまり食べられていないけれど、携帯ビスケットに使えそうな果実が色々あるから見においでと誘ってくれたので、私は今日の約束を待ち遠しく思っていた。
オルドー様が「遠出をするのなら、うちのを好きに使えばいいじゃないか」と言って下さったので、ハーキス家の馬車を借りると、レオルがいつものように御者をしてくれる。
コシマさんの家は町から少し離れた、実りの大地寄りの山の麓にあるらしい。
久々に大きな子犬のボリーと会えるのを楽しみにしながら、二人並んで馬車に揺られた。
「だけどレシピ印刷か……まだあったんだな、錬金釜の機能」
「さっそく印刷してみたあの紙の束、見たでしょう? 錬金釜のおすすめ機能で作ったレシピだと、全く作る気が起きないほど工程が複雑だから……。錬金釜が無くても作れるくらい簡単にしたり、オルドー様たちのリクエストもあって色々な味を増やしたり、やることは尽きないわね。おかげで毎日楽しいわ」
「そんなに忙しいと、リシアの欲しい物を作る時間が取れなさそうだな」
「そうでもないわ」
実は今、追われている作業の他に、こっそり作っている物がある。
ディノ以外には言っていないけれど、私のために作りたい物、欲しい物が出来たので、少しずつ試作を重ねていた。
材料を集めたり、調合の調整をしたり、ディノにアドバイスをもらいながら作っているけれど、今までのものよりずっと難しくて、なかなか思っているようにいかない。
「もしかして、リシアに欲しいものが出来て作ってるのか?」
「完成まではレオルにも秘密よ」
「ヒントくらいいいだろ?」
「そうね……最近採取しているもので作っているわ」
「最近……鈴リンゴ、マジックハーブ、甘露の樹液、蜂の巣、風の石、炎の石、浮遊石、」
レオルは眉を寄せる。
「危険物はやめろよ」
「気をつけるわ」
「……何を作る気だ?」
「安心して。危ないことはしないと約束するから」
「リシアの基準は規格外だからな……」




