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キミハナク

作者: 曲尾 仁庵
掲載日:2020/05/20

明るく楽しく元気よく、なんて、できないから。

 立ち入り禁止の屋上で


 君は踊る


 空は


 溶けて消えるような青


 邪魔するモノのないこの場所で


 わざとらしく端に立ち


 悪ふざけをするときの顔で


 ためらいなく


 君は地面を蹴る


 ハッとする僕に


――飛び降りると思った?


 君は勝ち誇ったように


 ケラケラと笑った


――私は何だってできるのよ


 それが君の口癖で


――何も怖くないの


 君はいつだって笑って


 僕はきっと


 見届けるためにいるのだろう


 不意に風が吹いて


 君の身体が揺れ


 君が笑って


 僕は手を伸ばし


 君の手を掴んだ


――なぁんだ


 君はつまらなさそうに


――もう、終わりだと思ったのに


 つまらなさそうにつぶやいて


 僕は君を抱き寄せ


「何でもできるって言うなら――」


 きっとそれは


「――生きてよ」


 傷付けるための言葉で


 だから


――あなたは、残酷だよ


 君は泣く


 僕はただ


 空を仰いで


 空はただ


 溶けて消えてしまうような


 憎みたくなるような青



いつでも世界を手放せる、だから生きることができた。

境界に立っている、だからどうにか支えられた。

神様に「殺して」と願う夜が、必要だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] うううう……なんとも、切ないです……!(涙) 彼女の心も、僕の気持ちも…… [一言] こんなピュアな時期もありました…… いつから誤魔化して生きることを覚えたんだろう、とふと思いま…
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