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実の親からいじめられるってどんなだよ

「レン!!」


走馬灯のように彼女の泣き顔を思い出す。


「なんでレンばっかり不幸になるの死なないで!。」


処刑台の周りに集まる雑音の中で彼女の声だけがはっきりと聞こえた。

初めて人間の負を感じたような気がした、あらがえぬ運命、不条理、絶望

   そして悔しさ、後悔。


そう、俺の人生は正直腐っていた、、今の両親に長男として引き取られ、父の家を継ぐため義母の実子である義弟とよく競い合わせられた。

自慢ではないが自分でも要領よくこなせると思えている、勉強でも習い事でも義弟には勝っていた。

そのせいか義弟は俺に劣等感を抱くようになり、不正を犯すようになった。


知っていた、だが俺は止めなかったいつか自分の過ちに気づいてくれると信じて、でもただ一人家族の中で味方をしてくれた父が亡くなり、家の中で俺の味方はいなくなった。


父の遺言で遺産の多くは俺のものとなった、だが家の当主に子供がなれるわけなく事実上義母が当主になった遺産管理は義母に任せていた、だっていくら意地悪な義母とはいえ家族なのだから。


数年後、次期当主の話が持ち上がった時、俺は父の後は弟に譲ることにした、これで義母がわかってくれと思ったから。

それでも俺えの家族内のいじめは続いた。


でもそんな俺を支えてくれる人がいた、彼女は優しく聡明で強かった。


やがて彼女との間に子供もでき、もう充分家には尽くしてきたと縁を切るため義母のところに行った。


『義母さん、俺はこの家とはもう縁を切る!。』


『そんなこと許されると思っているのあなたを今の今まで育ててやってきたのは誰のおかげだと思っているの!!。』


『俺が孤児のとき手を差し伸ばしてくれたのは義父さんだ!あんたたち親子は義父さんの遺産をくいつぶしているだけのごくつぶしじゃないか!。』


『なんて暴言!この恥知らず!あなたは一生この家に尽くすために生まれてきたのよ、それがまだわかっていないようねえ、衛兵!このものを捕らえて牢獄に入れなさい。』

暴れる俺を衛兵たちが取り押さえる。

『ふざけるな!これが家族に対する仕打ちか!』


その時、義母は笑った。


『家族!?ふっふっふっふ、あなた本当に馬鹿なのね呆れを通り越して笑えるわ!」


『何がおかしい!』


『だって私、あなたのことなんて家族なんて思ってなかったのよ体のいい憂さ晴らしとしかおもってなかったのよ。』


そのとき僕の中でなにかが壊れる音がした。

====================================


何日たったかわからない、次に日を見ることができたのは処刑台の上だった。

王都の中心、ベッセン広場


義母と義弟、それに五大貴族当主たち、そして王族、国王までいる。


宰相が声高らかに告げる。

「この者、ハウルベスト伯爵家長男、レンセール・ハウルベストは、第四王子シベル・リング・ランぺ様を暗殺者を使い殺した容疑がかけられている。」

(何を言っているんだ宰相は!)

「この場にて審議を行う、唯一の弁明の機会だレンセール・ハウルベスト、王の御前にてなにか申し開きはあるか。」


「王よ!私は殺していません!そもそも殺す理由がないしここ数日間はハウルベストの伯爵家の牢におりました!暗殺の指示などできるわけがありません!」

(本当のことだ!なんで王子様を殺さなくちゃいけないんだ。)


「で、あるか・・・・・。」

王様が俺の言葉にうなづく。


「王よ!レンセールの言葉を信じてはいけません!。」

義弟が大声を上げる。

(嫌な感じがする、これは悪意が渦巻くにおい。)

「なぜだ?。」

王が問いかける。

「僕は義兄がきっと気づいてくれると信じ僕は義兄の過ちに目を瞑ってきましたが遅すぎたようです、王よこれまでの義兄が行ってきた”罪”を記した書と義兄の部屋にあった暗殺者の依頼書を証拠として提出します。」


(そんなものしらない!)

宰相が義弟から書を受け取る。

「うむ、これは・・・・王よ。」

宰相が確認した後、王に渡される。


「なるほど、これがハウルベストの長男の裏の顔というわけか、そしてこの依頼書のサインおぬしのもので相違ないな?。」

王が俺に依頼書を見せる。


「知りません!僕は依頼書に書いてある日付より前に牢に入れられたはずです!書けるわけありません!。」


「ハウルベスト伯爵家夫人、長男が申すことは真か?。」


「いいえ、王様、家にはここひと月、長男は帰っておりません、我が息子ながら嘆かわしい!。」


「王さま、この依頼書のサインはレンセール・ハウルベストのもので間違いありません、我が鑑定の魔眼と五大貴族の一柱、サウスタ-侯爵家に誓って。」


サウスター侯爵家、建国当時からある五大貴族の一つあだ名を『忠義の家』。

かの当主が言うのならあのサインは本物だ、でも一体いつ!?


「そちがいうのなら、間違いないか。私は期待しておったのだがな残念だ。宰相。」


「はい、この者、ハウルベスト伯爵家長男、レンセール・ハウルベストは、第四王子シベル・リング・ランぺ様を暗殺者を使い殺した罪を王国法にのっとり死刑に処する!。」


あっという間に自分が殺される舞台が整ってしまった




衛兵に首を押さえつけられる。


「最後に一言あるか。」

宰相が言う。


最後!?最後だとこんなのが俺の最後だっていうのか!


義母と義弟を見る。


義母は扇で口元を隠しながら泣いているその中には笑みがあるのだろう。


義弟は深い笑みを隠さず声を出さずに言った


「あ・り・が・と・う・つ・み・を・か・ぶ・っ・て・く・れ・て・お・ま・え・の・お・ん・な・は・お・れ・が・も・ら・っ・て・や・る・よ。」


俺が読唇術を使えるからこそわかる言葉。


おまえかかかかぁぁぁぁぁ!!!!

おまえがおまえが俺を陥れたのかゆるさないゆるさない!

地獄に落ちろ!このクズども!絶対にお前らを許さない

殺してやる殺してやるころしてころしてやるぅぅぅ!!!!!



「なんでレンばっかり不幸になるの死なないで!。」


『アキ!』彼女がいた

ごめん僕は君を守ることができなかった。



この日俺の命は終わりを迎えた。
















はずだった。

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