暇つぶしにもならなかった学校生活
午前11時頃、目が覚め学校に行く支度を始める。
「はあ~、低血圧でまじ起きるのきちぃわ~」
俺の名前は八神司18才。高校生兼極道をやっていて真里奈って言う4つ下の妹と叔父の三人家族だ。…用意が終わり学校に向かったが、やはりだるいので屋上で昼寝をする事にした。
「…今年で卒業なのにこんな事してていいのかな?まあ卒業してもヤクザって道があるからこのままでいいか。」
30分程昼寝をすると起き上がり、
「あー!だめだ!せめてクラスの女の子にちょっかいでもかけて、それから帰って寝よ!」
そう言うと寝た状態から無駄にかっこよく起き上がり、下の階に向かおうとした。すると、下から勢いよく1人の生徒が上がってきた。
「…つっ、司の兄貴っ!!」
「あー…こいつ…」
三年の山田俊弥、通称トシ。同い年だが入学早々俺に喧嘩を売ってきて、コテンパンに返り討ちにしたら舎弟みたいな感じになっていた。
「お前さぁ、いい加減兄貴ってのやめろよ。同い年なのに恥ずかしくねえの?」
「ふっ、年なんて関係ないんすよ。要は男の器ってやつです!…ってかそんな事より大変です!同じクラスの亮が族抜けるって言ったら総長から制裁だとか言われて今リンチされてるみたいなんすよ!!」
族と言うのは暴走族だ。
「え、なに?族の奴なんていたの?…これは暇つぶしになるかもな。」
そう言うと踊り場に続く12段の階段を勢いよく飛び降りた。
「…っ!…。…おいトシ、そこに案内しろよ…。」
と着地に失敗し、うつ伏せの状態でつぶやいた。
「…兄貴、これ体操だったら0ポイントなんすかね…?」
「早く案内しろ!!」
とある廃倉庫。
「ここでその、制裁とか受けてんの?」
「はい…あ、あそこ!」
「おー、本当だ。よし行ってこよー。」
そう言うとそそくさと人だかりに向かっていき、いきなり飛び蹴りをかます。
「なんだぁ!てめえは!!」
「うっせえ!だまって殴られろ!」
5人、6人…10人次々と司は倒して行く。…そして最後の一人を飛び膝蹴り。
「ふぅ、ざっとこんなもんか。カタギが制裁とか吹いてやがると思ったらこんなもんかよ。」
「うわー、さすが兄貴。あ、亮!大丈夫か!?」
倒れている亮の元へ駆けつけるトシ。
「…あ、あぁ。すまねえ…大丈夫だ。」
亮はトシの肩を借り起き上がる。
「…な、なぁあんた。同じクラスの八神司だよな。…何で助けてくれたんだ?」
「んあ?ただの暇つぶしの青春だよ。じゃ、俺帰るから。」
そう言って本当に帰って行く司。
「か、かっけえよ兄貴!!」
「え…、かっ、こいいのか?(暇つぶしの青春ってなんだよ!え…!?なんだったんだあいつ!?)」
午後22時頃。
「あ、やべそろそろ真里奈迎えにいかねえと。」
玄関を出てバイクのエンジンをかけると、妹の塾へと向かった。
「わりい真里奈、待った?」
「もう遅いよバカ兄貴!」
思春期真っ最中の妹だ。最近当たりが強い。
「じゃあねー、真里奈ちゃーん。」
「うん、また明日ー。」
真里奈が塾の友達に手を振り終わるとバイクを走らせた。
「真里奈ちゃんのお兄ちゃん超かっこいいよね!!」
「うん、顔かっこいいし妹想いだし。今度紹介してもらお!」
家に帰りつくまでの最後の信号停止。
「ん?」
一瞬隣を黒い影が横切った気がした。
「どうしたの兄貴?」
「…いや、何でもねえわ。」
次の瞬間、パンッと音を立てるといきなり前輪と後輪が破裂した。俺は妹を庇いながら地面に叩きつけられた。
「…っ、大丈夫か真里奈…?」
「う、うんあたしは平気。兄貴大丈夫?」
ゆっくりと体を起こすと直後後ろから硬い棒のようなもので殴られた気がしてそのまま意識が遠のいていった。
そして、気がつくと。
「……どこだよ…ここ。」
手足を縛られどこかの倉庫のようだ。
「よう、目が覚めたか?」
グレーのスーツに拳銃を片手に持った大柄な男が目の前に現れた。
「…誰だよ、おめえは…」
ともう一人その男の背後から特攻服をきた金髪の男が現れた。
「おう、昼間はよくやってくれたなあおい?」
昼間に叩き潰した族の総長らしき男だ。
「こいつはよう俺がケツ持ってる族の総長で甥っ子なんだがよ。よくもうちの看板に泥塗ってくれたなあ?…やっぱ親子似たもん同士ってこったなあ。」
「…あ?…てめえ、どういう意味だそりゃ。」
一瞬何か引っかかる言葉を耳にした。
「だからよう、てめえの親父やったのは俺だって事だよガキが!!」
目の前に俺と妹から親父と姉を奪った犯人が目の前にいる。
「…てめえがやったのか?…!?おい!妹はどうした!?」
「安心しな、まずは面子を潰してくれたてめえからの始末だ。お前の可愛い妹はその後汚してから殺してやるよ。」
その一言で一気に殺意がわき上がり俺の手足を縛っていた縄を破り、グレーのスーツの男を殴り飛ばした。
「ぐあぁっ!!」
「お、叔父さんっ!!」
「ようてめえも同罪だ。まずはこいつよりは罪が軽いてめえの方からぐちゃぐちゃにしてやるよ。」
「や、…やめ……ぎやぁぁぁ!!」
暴走族の総長らしき男はあっと言う間に血塗れにされ、恐らく腕の骨と足の骨は折られている。
「…さぁて、終わりだぁ。へへ、次はてめえ…っ!」
次の瞬間銃声が聞こえ自分の左胸辺りから血が流れだした。
「…へ、へははは、馬鹿が!頭に血が上りすぎて油断してやがったなクソガキが!!おめえはもう終わりだ、親父たちの二の舞だ!!」
だが俺は痛みを感じなかった。そのまま手に持っていた鉄パイプをその男向かって投げつけた。グヂャッ!!男の頭に突き刺さった。ふらつく足で男の元に向かい鉄パイプを抜いては刺して、抜いては刺してを繰り返し男の顔の原形はなくなっていた。
「お兄…ちゃん?」
「真里奈…。無事だっ…」
そこから一瞬記憶が途切れた。
気がつくと俺は学校の屋上にいた。
「はぁ?!…なんだよ。夢…だったのか?」
すると下から人が上がってくる足音が。トシだ。なにやら暗い顔をして上がってきた。
「あー、…なんだよトシ。てめえなに暗い顔してんだよー。」
と言いながらトシの肩をたたくと手が肩をすり抜けた。
「…は…!?」
「あれ?一瞬肩を叩かれたような?気のせい…かな?」
「これって、どういう…」
「あなたは死んで、今霊体になっているのよ」
綺麗な女性の声が頭に響いてきた。振り返ると綺麗な長い黒髪の女性がたっていた。