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少女の旅路

作者: 夜桜

母親の夢を見たのが切っ掛けで少女は母親探しの旅を決意する

今回はその冒険に出発するお話

少女は夢を見ていた、母親が突然家を出てしまった記憶を……。

「ごめんね…レイラ……貴女を一人にして、ごめんね

「でも、忘れないで………私は貴女のことを愛しているわ

「なんで? お母さん、私を置いていかないで! 一人にしないで!

「ごめんなさい…レイラ……。

「いやだよ! お母さん!行かないで!いやぁああああ!

母親はそのまま家を出て行ってしまった!夢はそこで終わった。


「行かないでっ!

「……はぁ~

「なんで、お母さんが出て行った時の記憶が……。

「お母さんが出て行ってからもう十二年か……。

「もう一人でも平気だと思っていたけど、やっぱり寂しい……。

「よし!お母さんを探しに行こう!

「私も十七歳!冒険だってできるわ!

「そうと決まればすぐに準備をしよっ!

レイラは最初の準備のため、洗面所に向かった。

「まずは身だしなみから整える!それにしても私の姿はお母さんとは違うと思う

「まず、お母さんは姿は人間だが、膝あたりまである長い白髪で、

頭から猫耳が生えていて尻尾もあった

「でも私は肩より十センチ下まである少し白がかかった銀髪で、頭には左右から後ろに向って黒い角が生えている、尻尾は猫の尻尾じゃなくて、少し太めの黒くゴツゴツした尻尾が生えている

「ついでに言うと、耳はとがっている。

「そう考えると、お母さんと共通するのは、紅い瞳と髪の色が少し似ている意外にない……。

「あれ?そうすると、私はもしかして本当の子ではなく、拾ってきた子なのかな?

「あははは……まさかね…。

「変なこと考えてないで、早く準備をしなくちゃ!

レイラは寝癖でボサボサになった髪を直し、洗顔もした。

そして、身だしなみの準備が終わると、今度は装備の準備を始めた。

「さて! 今度は旅に持っていく物の選別よ!

「まずは、着ていく洋服ね、これとこれでオッケイ!

選んだ服は、白い服と膝の長さまである灰色のコート、黒いショートパンツとストッキングといった感じの物だった。

「よし!服装バッチリ、あとはいろんなアイテムと武器、

黒いリュック、それとお母さんが出ていくときにくれた時計。

「これで冒険の準備は完了ね、それじゃあ出発しよう!

レイラは入り口に向かって行った、だがその時!

「うわぁあ! 魔物が来た! あっ!レイラさんの家に向かって行ったぞ!

「ふえ?! 嘘でしょ! まだ家から出てないのに、もう戦闘開始なの!

そうレイラが驚いている間に魔物が家に入ってきた!

「うがぁああああああ!

「いやぁああああ!入ってきた! 出てって!

そういいながらレイラは、尻尾で魔物を外に叩き出した!

「ぐえっ!

「うぅ、また入ってくるかも…戦わないと!

敵を追いかけるためにレイラは外に出た、するとさっきの魔物が目の前にいた!

「やっぱりまだいる!いきなりの実践だけど、冒険するのだから頑張らないと!

そういうとレイラは母親がくれた時の剣、ゼロ・クラウンリミットを魔物に向けた!

「覚悟して!はぁあああああ!

魔物めがけて剣を振り下した! しかし、その攻撃は避けられてしまい、

逆に魔物が持っていた棍棒で背中を殴られたしまった!

「いたっ! うぅ、逆に殴られた、結構痛い……。

「ウグオオオオオ!

レイラを殴った後、魔物が雄叫びを上げた!そしてさらに殴り込みに来た!

「いやあああ!来ないでよ!

魔物が棍棒をぶんまわして近寄ってくるのを見て、恐怖を感じたレイラは剣を振りまくった!

そして振りまくった剣が魔物の皮膚にかすった。その瞬間、魔物に異変が起きた!

「こないで !こないで! こないで! ってあれ? 魔物が立ったまま動かなくなっちゃった。

「………………。

「よくわからないけど、今がチャンス!はぁああああああ!

突然動きを止めた魔物めがけて剣を振り、首を斬り落とした!

魔物はそのまま動かなくなった。

「やったぁ! 魔物を倒した!お母さん、私やったよ!

とても嬉しかったのか、体全体で喜びを表現していた。

そして、勇気が出てきたのかそのまま旅に出発した!


 片道二時間の村に向かうため、レイラは森に入っていた。

入ってからはすでに一時間は経過をしていて、その間何度か戦闘を繰り返していた。

そのため彼女はかなり疲れていた。

「はぁ~ はぁ~ 冒険って結構大変だったのね、でもこんなことでくじけてたら

お母さんを探すことなんてできない、頑張らないと!

そう言いながら森を歩いていると、少し先に灰色のローブ姿の人物がいた。

フードで隠れていて顔がよく確認できないが、少なくともこっちを見て微笑んでいることは分かった。

そして、その人物はレイラの方に歩き出して、話しかけてきた!

「こんにちは、レイラ

「こんにちは、なんで私の名前を知ってるの?

「フフフ、何でかしらね

「…………?

「レイラ、冒険は大変?

「思ったより大変、でもこんなとこでくじけてられない!

「そう、大変ねぇ、だけどそれがあなたの経験になるわ

「掛かってきなさい、レイラ! 貴女の強さを私に見せて!

「ふえ?! ちょっと待って!なんで戦わないといけないの!

「私が貴女の強さを知りたいからよ! 来ないならこっちから行くわよ!

「うわわわわ!まってぇ~!

混乱しているレイラに対して問答無用で襲い掛かってきた!

「ほらほら! 逃げてばかりじゃ勝てないわよ!

ローブの人物は両手に紫色に光る魔法弾を出現させ、それを投げてきた!

「何か投げてきた! 回避しないと!

飛んできた魔法弾の一つは回避し、もう一つは回避できなかったので剣で叩き落とした!

「はぁ~ はぁ~ うぅ、魔物より強い……。

「どうしたの? もうばてちゃった?

「はぁ~ はぁ~ はぁ~ ふえ~ん

レイラは疲労と恐怖で涙が出てきた。

「うえ~ん、怖いよ~ うぅ、お母さん……。

もはや戦意喪失していた。それを見ていたローブの人物が口を開いた。

「やめた、泣いて戦意喪失した女の子をいたぶる趣味はないわ

「ひっぐ、ひっぐ……。

「それじゃあねレイラ、この経験も大切にしなさい

そういうとローブの人物は去って行った。

「うぅ、次は絶対負けない……。

レイラは泣きながら森をとぼとぼと進んでいった。

その後ろ姿を先ほど立ち去っていったはずのローブの人物が見ていた。

「レイラ…… とてもつらくて怖かったと思うけど、それが貴女の糧となるわ

「また会いましょうレイラ

レイラを見送った後、ローブの人物は今度こそ去って行った。


 森を出たレイラは村に到着した。

流石に泣き顔は晒したくなかったのか、村につく前には泣き止んでいた。

「はぁ〜 疲れた、宿を探してここで夜を過ごそう

「宿はどこにあるかな~

宿を探すため、しばらく村を歩いると宿が見つかった。

レイラは早速そこに入っていき、受付の人に話しかけた。

「すみません、一日だけ泊まりたいのですが

「一泊ですね、お名前をよろしいでしょうか?

「五月雨レイラです

「ご予約されていた五月雨レイラ様ですね、お待ちしておりました

「ふえ? 予約?

「はい、五月雨レイラ様でご予約されてますよ

「私今初めてここに来たんですけど

「かしこまりました、少々お待ちください

そういうと奥の方に受付の人が入っていき、しばらくすると戻ってきた。

「大変お待たせしました

「確認したところ、ローブ姿の女性がレイラ様の代わりにご予約されたようです

「ローブ姿の女性?

「はい、料金も全額お支払済みです

「料金まで!?

「それと、五月雨レイラ様がご宿泊に来られましたらお渡しするように

お預かりした手紙がございます

「手紙? 見せてください

「どうぞ

受付の人から手紙を受け取ると、それを読み始めた。

『こんにちはレイラ、さっきはいきなり襲ってごめんなさいね

お詫びといってはなんだけど、貴女の宿泊先を用意しておいたわ

変なプライドを持たずに泊まっていきなさい

また会いましょ、レイラ……。』

「……………。

「レイラ様?

「すみません、泊まります!

「かしこまりました

「………。(プライドが邪魔をして泊まらないなんてしないもん!)

「それではお部屋をご案内致します、こちらへどうぞ

部屋を案内されたレイラはそこで夜を過ごした。


 朝、アイテムを買うために村を歩いていると、気になるお店を見つけた。

冷奈(レイナ)(すず)のアビリティー屋? 何のお店だろう

気になったので、お店に入っていった。

すると中には二人の店員がいた。

「いらっしゃいませ!

二人の内の一人がレイラに挨拶をしてきた。

「いらっしゃい……。

次にもう一人の店員が大人しめに挨拶をしてきた。

「アビリティー屋にようこそ! 店員の鈴です!

「姉の冷奈です……。

「こんにちは……。(この二人は姉妹かな~ だとしたら対照的だな~)

「……。(鈴という子は十三歳ぐらいの黒髪ショートカットの女の子で、目は紅いジト目?でも性格が明るい)

「……。(冷奈っていう女の子は、十五歳ぐらいの銀髪のショートカットで、目は黄色でクール系な目つき、性格のあらわれかな)

「………。(共通点があるとすれば、お母さんと同じで人間に猫耳と尻尾が生えていることと、

袴に白い和服を着ているとこかな)

「…………。(まぁ、冷奈っていう子の袴は灰色だけど)

「どうしたの? 固まっちゃって

「ふえ! 何でもないよ!ただキレイなお店だなと思ってただけ

「(二人が対照的だと思ってたなんて言えない)

「それより、ここはアビリティー屋って言ってたけど、アビリティーって何?

「はいはい! ご説明します!アビリティーとは装備をすると肉体が強化されたり、

今まで使えなかった技があっというまに使えたりなど、とても便利なアイテムです!

「ふ~ん、だから魔宝石や防御壁が置いてあるのね

「はい!だから自身を強化して勝てなかった相手も倒せるようになるかもしれないです!

「勝てなかった相手に……。

レイラはその言葉を聞き、ピクッ!っと反応した。

それを見た冷奈が口を開いた。

「でも、自身の鍛錬も必要だからね……。

「アイテムだけで強くなろうとしても、それはアイテムだけの力……。

「貴女自身の力ではないし、勝てないと思う……。

「わかってますよ(何か釘を刺された!)

「厳しい口調で言ってるけど、お姉ちゃんは怠けちゃだめだよって言ってるだけだから

レイラの心境を察した鈴が一生懸命フォローをした。

「大丈夫だよ

レイラもフォローされてるんだなと思ったので、優しく返事を返した。

その後、いくつかの商品を購入してお店をあとにした。


 レイラは遺跡に向かうために人工的に造られた洞窟に入っていた。

ただ人工といってもやはり洞窟、魔物だっているし環境もいいとは言えない。

途中戦闘もあったので少し疲れを感じたのか休憩を取ることにした。

「ふぅ、疲れた

「ここを進めば遺跡につくはずだけど、できれば他の道があれば嬉しかったなぁ

「だってここはじめじめして湿気っぽいし、早くここから出たいな~

そう独り言をつぶやいていると、突然レイラに話しかける声がした!

「独り言は楽しい?

「ひゃ! だ、だれ!

「フフフ、驚いちゃって…可愛い……。

声とともに目の前に現れたのは金髪で髪は長く、二十歳ぐらいの女性で、黒い服を中に着て、その上から前が空いている黄色いローブを着ていた。

それと、狐の耳と尻尾が生えていた。レイラは内心、スタイルがいいなと思っていた。

「な、なんだ~ 狐さんか~

「失敬な! アタシは白面金毛九尾の()(かね)よ!

「す、すみません…。(狐さんと何が違うんだろう?)

「まったく、それでアンタはどうしてここにいるの?

「私はこの先にある遺跡に向かうため、洞窟に入ったの

「ふ〜ん、じゃあ一緒に行こうよ

「ふえ?

「アタシもこの先の遺跡に用があって洞窟に入ったのよ

「はぁ〜

「だから一緒に行こうよ! 一人より二人のほうが安全だし!

「わかりました、一緒に行きましょう

「そうこなくっちゃ!

「そういえば、あんたの名前をきいてなかったわね!

「五月雨レイラといいます

「レイラね、顔と一緒で可愛い名前ね

「か、可愛い!?そんなことないです!

「歳はいくつなの?

「十七歳です

「十七歳…… その割には幼い顔ね、童顔ってやつ?

「そういう、阿鐘さんはいくつですか?

「タメ口でいいわよ、五百三十歳

「五百三十! 私よりはるか年上ですか!

「今、私のことオババって思ったでしょ!

「思ってないよ!

「ふ〜ん、まぁいいわ

「それより話し込んでいたら、いつの間にか魔物の気配が強くなってるわね

「さて! 戦闘開始よ!

二人は魔物に向かっていった!


物陰で一人、レイラ達を見ている人物がいた。

その人物とは、前回レイラの力を見るために勝負を挑んだローブ姿の人物だった。

相変わらずフードを被っていて顔は分からないが、その視線は静かに見守っていた。

「レイラ、本当は少し怖いよね

「でも大丈夫、私が貴方を守るからね……。

「エンド・オブ・ザ・タイム!

ローブの人物がエンド・オブ・ザ・タイムと口にした瞬間、周りの動きが止まった!

そして、そのままレイラの方に近寄っていった。

レイラ達は完全に停止していて、目の前にローブの人物がいても反応がなかった。

「レイラ、もっとよく顔を見せて…… その可愛い顔を

ローブの人物は被っていたフードが邪魔だったのか、被るのをやめた。

すると、中から白髪の長い髪をした女性の顔が出てきた。頭には猫耳が生えていて、

目は紅く、顔つきは少し幼さが入った顔をしていた。

「私に会うために貴女が冒険すると言ったとき、申し訳ないと思ったわ

「だけど同時に嬉しかった、 貴女を一人ぼっちにしたこんな母親をまだ思ってくれるなんて

「でもごめんなさい、まだ私がお母さんだって言えないわ

「まだね………。

「それでも時が来れば私が貴女の母親、五月雨レイだと言えるわ

「それじゃあ、元気でね……。

そういうとレイラをぎゅっと抱きしめてからローブの人物――レイは去って行った。

そして去って行ったあとすぐに周りが動き出した!

「ふえ? なに?

「どうしたのレイラ

「なぜか分からないけど、今抱きしめられた感覚がして……。

「|幽霊でも憑いてるんじゃないの?

「えぇ! 幽霊がついてきてるの!?

「あはは、冗談よ! 幽霊が憑いてるなら私には見えてるわよ

「もう! 脅かさないで!

「ごめん、ごめん

「それにしても、不思議ね…レイラが抱きしめられた感覚になってから

周りにあった魔物の気配が消えた

「まるで一瞬で倒されたみたいな

「私たち以外にも強い冒険者がいたんじゃないの?

「そう考えるのが自然かぁ、まぁ考えてもしかたがないか

二人は少し奇妙な体験をしながら洞窟を抜けた。


 遺跡の目の前までやって来たレイラは疲れていた。

「ふぅ~ やっと着いた~

「アンタ体力ないの?

「あははは……全然ないよ

「はぁ~ まあいいわ、それよりここが目的地の遺跡――というよりは

光の神殿っていう場所なんだけど

「へぇ~ 結構綺麗なとこだね

「そうね……まぁそれはいいとして、あと百メートル先にある神殿の入り口に向かうわよ!

「えっ! あと百メートルも歩くの!?

「別に大した距離じゃないでしょ

「何言ってんの! 百メートルもあるんだよ!センチになおせば千センチ!」

ミリになおせば一万ミリもあるんだよ!

「なおすな! 疲れるから!

「さぁ、つべこべ言わずに行くわよ!

「はわぁ~!

阿鐘はレイラの角を掴むとそのまま引っ張っていった!

「痛い!痛いっ! 首が痛い! ちゃんと歩くから離してぇ~!

レイラはしぶしぶ歩き出した。

数分後レイラ達は神殿の中に入った。

神殿自体は白い大理石でできており、ステンドグラスが左右対称に五枚ずつついていた。

ステンドグラスは女神、悪魔、そしてなぜか死神を思わせる絵になっていた。

神殿内部は光の神殿というだけあって明るい、太陽の光がステンドグラスから入ってくるからだ。

レイラ達はしばらく神殿を見てから会話をしはじめた。

「そういえばレイラ、アンタ何でこの神殿に来たの?

「私はお母さんを探す為、別世界に行きたかったから

「なんだ、あたしと一緒か

「そうなんだ、阿鐘は何で行きたかったの?

「ただの興味本意

「なるほど!

「それにしても、これどうやって別世界に行くのよ

「阿鐘も知らないの、私も知らない

「お互いに知らないって、つんだんじゃない?

「どうしよう……

二人は行き方が分からないのでしばらく考え込んでいるといきなり笑い声が聞こえた!

「きゃはははははっ!

「うわっ!

「なに! なに!?

突然の笑い声に驚いていると、神殿の中心の位置に紫色に光る球体が出現し、

そこから少女が出てきた!

「は〜い! こんにちは! 私はルフェイン、死神だ!

いきなり出てきた金髪ツインテール少女が自己紹介を始めた。

「なに!? この現代のギャル系ファッションの死神は!

「ギャル系って……まぁいいわ! それよりレイラ! お前の命を貰いに来た!

「な、なんで!?

「お前の名前が死神の狙いリストに書かれているから

「私殺されることなんてしてないよ!

「知らないわよ、残念だけど……死になさいっ!

ルフェインの紅い目が少し光り出した瞬間、いきなり大鎌が出現した!

「さっさと死んじゃえ!

そういうとレイラめがけて思いっきり振り下ろした!

「いやぁあああああ! 死にたくないっ!

レイラが恐怖で動けず、このまま殺されてしまうと思われた瞬間、突然その攻撃を受け止める

人物が現れた!

「まったく、泣いてる女の子をいじめるのは趣味が悪いわよ

いきなり現れた人物はレイラの母親であるレイだった!

「ひっぐ、ひっぐ、ふえ? 貴女は…森で私に襲掛かってきた人

「相変わらずね、また泣いているの?

「だ、だれ!?

初対面の阿鐘はいきなり現れたレイに驚いた!なんせレイラの前に初めて姿を現した時同様、ローブ姿で、顔がよく見えないほど深くフードを被っていたのだから。当然、ルフェインも驚いていた。

「ちっ、邪魔を、誰だ!

「さぁ、好きに呼べば? それよりこの子は死なせない!

レイは闇の球体を複数個出現させ、ルフェインに向かって投げた!

「うわっ! なんだこの魔法! 闇属性なのは分かるが、それ以外の力も入ってる!?

「ご名答、触れればあなたの体は動かなくなるわよ! 何故なら時間を止めちゃうから!

闇の球体はしばらくルフェインに向かって飛んできたが、ルフェインはそれを避け続けていた。

しかし、さすがに疲れてきたのか動きが遅くなってきた。そしてついに闇の球体がルフェインの肌をかすめ、その瞬間ルフェインの時間が止まった!

「うぐぐ、体が動かない!

「えぇ、動かないわね、だって意識はあるけど貴女の時間は止まってるもん

「貴女が動けない今、何をするか勿論わかってるわよね?

「や、やめろ!

ルフェインの言葉を無視して、レイは大鎌を奪うとそれをルフェインめがけて振り下した!

「やめろぉおお!

レイは構わず大鎌を振り下し続けたが、あたる寸前のとこで振り下すのをやめた!

「もし、またレイラの命を狙ったら、次は殺すから!

そう脅しをかけて大鎌を床に捨てた。同時に時間停止も解除した!

ルフェインはガクガク震え、尻餅をついた!でも目はレイを睨んでいた!

「よくも、こんな屈辱を!

「あら? 命を救ってあげたのだからむしろ感謝してほしいわ、

貴女のような虫けらを殺すのなんて造作もないわよ?

「くそ! 覚えてろよ! 必ず復讐してやる!

そう捨て台詞をはくと、ルフェインは来た時と同じように紫色の光をまとい消えて行った。

「ふぅ、さてと、それじゃあ私は行くわ

神殿の外に出て行こうとしたレイをレイラが呼び止めた。

「待って! 助けてくれてありがとう!

「全然、たいしたことないわよ!

「それと、質問したいことがあるんだけど

「何かしら?

「何で時の力を使えるの? どうして私を守ったの? 貴女は誰なの?

「質問は一つずつにしなさい、時の力は生まれたときから使えるわ、それがなにか?

「私の探しているお母さんは時の力使っていたからもしかしてと思って……。

「ふ~ん(しまった~ レイラを守るために時間停止の能力を使ったのが仇に……。)

「別に貴女のお母さん以外が時の力を使えても不思議じゃないわよ

「そうなんだぁ~

「…………(そんな残念そうな顔をしないでレイラ)

「それと、二つ目の質問だけど、別に理由はないわよ、ただの気まぐれよ

(嘘よ、可愛いレイラを守るのは当然よ)

「そうなんだ……。

「………(さっきより残念そうな顔になってる! そんなに悲しまないで)

「三つ目の質問だけど、私はただの旅人よ

(はぁ、言いたい! 私は貴女のお母さんで、貴女を愛していると)

「旅人さん……ね…

「…………(光を失った目になってる!何か気の利いた言葉はないの!

五月雨レイとしてではなく、旅人としてのはげます言葉が!)

「それじゃあ、最後に一つお願いが......。

「な、なにかしら?

「そのフードを取って、顔を見せて

レイラの目には涙が滲んでいた。それを見たレイは心が耐えきれなかった。

「フードは取れない、もうようは済んだでしょ、それじゃあ

そう言うとレイは神殿の外に出て行った。

そして、レイも外で泣いていた。

「レイラ、不憫な子……あんな顔見せられたら涙が出てきた……。

「でもごめんなさい、まだ私の正体は明かせないわ

レイはこのまま立ち去ろうとした時、後ろから呼び止める声がした。

「待ちなさい!アンタ、レイラの母親でしょ?

声をかけてきたのは阿鐘だった。

「私は違うわよ……。

「嘘をつくな! 何故あの子にお母さんだと言ってあげないの!

「・・・・・・だって、私と一緒にいたらあの子は殺されちゃうから

「どういうこと?

「レイラはね、私が造りだしたドラゴンの少女よ

「造った?!

「そう、元々は普通のドラゴンを生み出す予定だったけど、あの子が生まれた

「それをどこかの組織が感づいたのかしらね、いきなり男が近寄ってきて、

お前が造った生物は危険だ!すぐに処分する!と言ってきたわ……。

「誰が処分させるもんですか!

「だからレイラから離れたのね、レイラがその生物とバレないように

「そうよ、幸い男にはレイラがそのドラゴンだとばれてない、

だからお願い!まだレイラには言わないで

「わかったわよ、レイラには悪いけど黙ってるわ

「ありがとう、それとお礼と言ってはなんだけど、

その神殿でお祈りすれば他の世界に行けるわよ

「わかったわ、ありがとう

「それじゃあね、レイラをよろしくね!

「わかりましたよ!

レイと別れた阿鐘は神殿に戻っていった、そして中で脱力していたレイラに声をかけた。

「もしもし、レイラさん、聞こえてますか?

阿鐘が声をかけたがレイラは目に光を失い、無反応だった。

「………。(母親かもしれないと思った人物が違う人だったのが

相当ショックだったのかな、母親だったけど)

阿鐘はそう思いながら気合を入れるためにレイラの両肩を思いっきり叩いた!

「こらっ! しっかりしろ! 他の世界の行き方を聞いてきたわよ!

母親を探すんでしょ! 行くわよ!

「次の世界に行ってもお母さんはいない、きっと

「そんなのわかんないでしょ! つべこべ言わずに行くわよ!

この後、阿鐘は自分がお祈りしたあとすぐにレイラに無理矢理お祈りをさせて異世界に出発した!


 お祈りをすると一瞬で異世界にとんでいた。

「どうやら異世界についたようね……レイラ、まだ落ち込んでいるの………。

「………………。

「あぁ!もう!レイラ!そんな落ち込んだ顔をしてると、せっかく可愛い顔してるのに台無しよ!

「阿鐘……。

「落ち込むことがダメと言うわけじゃないわ、ただ引きづらないでよ!

「アンタが傷ついている姿なんて見たくないのよ!

「わかったよ、阿鐘……私が間違ってた

「そうだよね!何時までも落ち込んでたってお母さんは見つけられないもんね!

「そうよ!その意気よ!

「ありがとう、阿鐘!

「どういたしまして

「それにしても、ここは何処だろう?

「さぁね、でもここは桜の木が沢山あるし、明るい夜空、そして大きな満月!

それに大きな池もあって幻想的ね

「そうだね、夜風も心地いいし……でもなんだか狐が出そう、ばかされるから気を付けないと!

「アタシはその狐だ!

「ごめんね~

「まったく、ん?レイラ、あそこに誰かいる……。

「え?何処にいるの?

「ほら、あそこ…銀髪の狐がいる

「ほんとだ、狐人間?

「どうする……。

「挨拶してみよう、こんにちは!

「こっちに気付いたみたいね

挨拶をされた銀髪の狐人間はレイラ達の方にやってきた、そして話しかけてきた。

「何か用かい?

「ちょっとここがどこだか知りたいんですけど

「ここは、黄泉(よみ)の湖っていう場所だよ

「あの世とこの世が繋がっているといわれている湖があるからそんな名前なのさ

「そうなんだ

「それにしても何でこの場所の名前も知らないんだ?結構有名なのに……。

「アタシ達は異世界から来たからね

「ふ~ん、そうかい

「そういえば貴女は何をしてたの?

「何って、夜の散歩

「散歩?こんなの所を?

「悪いか?

「別に、ただ私だったら散歩したくない場所だから

「人によって趣味趣向が違うんだ、覚えときな童顔!

「童顔!うぅ、きつい怒りんぼうな目の形をした人に言われたくない!

「誰が怒りんぼうだっ!

「レイラ、ちょっと来なさい……。

「なに、阿鐘

「あの狐、少し怪しくない?

「ふえ?

「アンタも言ってたけど、普通こんないわくつきな名称の所を散歩してると思う?

「う~ん……。

「もしかしたら、私たちをばかしに来た狐かもしれないわよ

「確かに少し怪しいけど

しばらく二人が話していると、後ろから声がした。

「おい、なにコソコソ話をしてるんだ

「言っとくけど、私は偶然ここにいただけでアンタたちをばかしに来たわけじゃないぞ

「本当かしら?

「それにアタシはアンタの方がばかしそうに見えるよ、金ギツネさん

「アタシは白面金毛九尾よ!そこらの狐と一緒にしないで!

「これは、これは失礼、マヌケな顔をしてるから気づかなかった

「なんですって!このド淫乱!

「なっ!誰が淫乱だ!

「淫乱よ!胸元が露わになっているオレンジ色の着物なんか着て、

大きい胸を見せつけたいの!?肩も出してやらしい!

「あぁ!?あんたこそ、胸が窮屈そうな服を着るな!強調してるんか!

「二人共喧嘩はよくないよ

「黙れ!隠れ巨乳!

「黙ってなさい!

「八つ当たりされた!?

その後二人が喧嘩している横で、レイラはしゃがんで拗ねていた。 

 一時間後……彼女たちは喧嘩をやめて、拗ねたレイラに謝罪をしていた。

「ごめんね、レイラ

「悪かったって、八つ当たりして

「つ〜ん、二人して八つ当たりして!

レイラはかなりご立腹だった

「今度チョコレートパフェをおごってあげるから許して

「チョコレートパフェ……。

「そう、チョコレートパフェ

「しかたないなぁ、許してあげる

「ふぅ〜 (大人しい人が怒ると恐い)(阿鐘と銀狐)

「そういえば、銀狐さんのお名前をきいてなかったね

「私はレイラ、五月雨レイラといいます、貴女は?

「アタシは華凛(かりん)五月雨(・・・)華凛だ

「ついでに言うと、あたしの曾祖母(ひいばあちゃん)は五月雨レイ(・・・)だ

「ふえ? ふえぇええええ!?

「なんだよ、そんなに驚いて

「それは私のお母さんの名前だよ!

「そうなのか? まぁ五月雨レイラと聞いた時に、婆ちゃんの名前と一緒だとは思ってたけど

「おばあちゃん?!

レイラはしばらく驚いていたが冷静になり、華凛の話を聞きそして頭の中を整理した。

「つまりここは未来の世界で、貴女は私の孫?

「そういうことになるな、レイラ婆ちゃん

「お婆ちゃんはやめて!レイラって呼んで!

「わかった、わかった

「そして阿鐘の子供と私の子供が結婚して、それから華凛が生まれたから、阿鐘の孫でもあると

「だから銀髪の白面金毛九尾なのね、私は金髪だけど

「じゃあ、私のお母さんと一緒で時を操れるの?

「少しはできるぞ、一分ぐらい時間を停めたり、加速や減速することも可能だ

「いいなぁ、私はまだそんなことできない

「何言ってるのレイラ、今現在未来に来てるじゃない、これはアンタの力が働いたからだと思うわ

「なんで?

「だってアタシの調べでは、あの神殿で異世界には行けるけど、時間までは超えられないはずよ

「さっきのローブの人が仕掛けたんじゃないの?

「何言ってんの、私達が異世界移動した時にはいなかったじゃない

「そうか、そうだね、私も時の力を使えるんだね

「そうよ!

「わかった、ありがとう阿鐘!

「どういたしまして

しばらくレイラと阿鐘の様子を見ていた華凛は口を開いた。

「なんかこういう友情っていいなぁ、アタシも一緒にいた仲間の事を思い出しちまった……    ところで二人はこれからどうするんだ?

「そうね、とりあえず街か村にでも行こうかしら、情報収集もしたいしね

「そうかい、じゃあアタシもついて行っていいかい?

「いいよ!華凜!一緒に行こう!

「ありがとう、レイラ!

華凛はレイラたちの旅についていくことになった。

そしてその様子を木陰(こかげ)で覗いている人物がいた。

それはフードを被ったレイだった!

「そうか、そうか・・・ついにレイラちゃんも時間を操れるようになったのね、うれしいわ

「その力を大事に使いなさい、私の可愛い娘……。

そういうとまたいつものように去って行った。


 レイラ達は街に向かうため森の中を進んでいた。

道中色々な魔物が出てきたが、三人で行動をしているため意外とスムーズに冒険ができていた。

「いやぁそれにしても、三人で旅をしていると探索がさくさく進むわね!

「そうだろ!この華凛さんに感謝してくれてもいいぞ!

「うん、ありがとう華凛、阿鐘もありがとう

「冗談で言ったつもりだったけど、お礼を言われて悪い気はしないな!

「いいのよレイラ、アタシも仲間と一緒に冒険っていうのは楽しいからね

「そう? なんだかうれしいなぁ

レイラはとってもいい笑顔をしていた。まるで全ての幸福を表すかのような感じに。

「ふふ、可愛い顔しちゃって、それじゃあ仲良し三人組で森をどんどん進むわよ!

阿鐘がそう言ってさっきより力強く進行していった。

「まったく、アタシも照れくさくなってきた、ほら行くよ!

そう言って華凛も力強く進んでいった!

「どうしたんだろう、二人共

二人の様子が変わった事をレイラは不思議がりながら進んでいった。

 二時間後、レイラ達はまだ森の中を歩いていた。

森が広いからという理由だけではなく、いろんな場所が同じような形をしているため方向が分からず、森からなかなか抜けられなかった。

「おいおい、何だかさっきから同じ道をぐるぐるまわってないか?

「そうね、いたる所に木があるからどこがどこだかわからない

「………。

「そもそも華凛、なんでアンタが帰る道を知らないのよ!

「いやだって、何か光るものが森に落ちたと思って全力で走って行ったら

アンタらに出会ったから、道なんて覚えてないぞ

「…………。

「それにしても、この童顔ちゃん黙ったままだな

「それはそうよ、森で迷ったら普通は怖いわよ

「レイラ、大丈夫?

「……。

「大丈夫だって、いつか出られるって

「………華凛(かりん)()(かね)

「ん? なんだ

「私、分かった気がするんだ

「何で、あの世とこの世が繋がっている湖なのか

「それはきっと、今の私達みたいに道に迷ってそのまま死んでいった人達がいるからだと思うの

「レイラ?

「だから、私達もここで死んじゃうんだ、お母さんに会えずに死ぬんだ!い、いやだ!

「レイラ落ち着いて! そんなことにはならないから!

「おいおい、落ち着け! たかが道に迷っただけだろ

「いやだいやだいやだいやだぁあ!

レイラは突然パニックになり、今までにない反応なので阿鐘達はかなり動揺していた!

しかもレイラの体に黒い(もや)がかかりはじめて、さらには地面まで揺れてきた!

「おいおい、動揺ってレベルじゃないぞ!

「レイラ、アタシの声が聞こえる?

レイラはパニックを起こしているためか阿鐘の問いかけに応じず、そのまま体が(もや)に包まれて黒いシルエットみたいになってしまった!

そしてそのシルエットはどんどんと大きくなり、だんだん四足歩行の巨大なドラゴンの形になっていった!

「おいぃいいい!? 何か変身していくぞ!

「ねぇ、レイラ~、何かやばいんですけど!

「グルオオオオオオッ!

レイラは返事をする代わりに雄叫(おたけ)びを発した!

そして覆っていた靄が消え、中から黒いドラゴンの姿をしたレイラが出てきた!

「うわぁああああああああ!(阿鐘・華凛)

二人ともレイラの変身した姿に腰を抜かしてしまった。

そんな二人に対し、ドラゴンレイラは正面に向かってドス黒い炎の玉を吐き出して森を焼き払った後に、巨大な翼を振り火を消した。

その結果、あっという間に森が消滅したため、遠くの方に町があることが確認できた。

ドラゴンに変身したレイラは森の木々を消滅させた後、また黒い靄をまとい、女の子の姿に戻っていった!元の姿に戻ったレイラは疲れたのか眠っていた。

「…………。(拝啓、レイラのお母さん…貴女の娘は世界を滅ぼすかもしれません……。)

「やべぇ~ 追い詰められるとおっかないなぁ

二人ともしばらく腰を抜かしてたが、数分後立ち上がり、眠っているレイラを抱えて街に向かって行った。


 レイラが焼き払って出来た道を二人は歩いて行き、ようやく街についた。阿鐘達は疲れ果てて

いたため一刻も早く宿に泊まりたいと思っていた・・・が少々問題が生じた。

見つけた宿屋は、レイラの炎が直撃したらしく半壊していた!

阿鐘達は『これで見つかったら犯罪者じゃん』と思い、とても泊まる気になれなかった。

なので食料などを買い、レイラのリュックに勝手に詰め込んだ後、逃げるように街を出て行った。

「レイラ〜 呑気な顔で寝て、この!

阿鐘はレイラの頬をつまみ、グイグイ引っ張った!

「おかげで野宿になったぞ!

華凛もレイラの反対の頬をつまみ、引っ張った!

「う〜ん……

レイラは目をつむりながらしかめっ面になっていた。

「あはっ!レイラのやつ、面白い顔

「ふふ、確かにね、ちょっと面白い

「それにこいつのほっぺた、パンみたいにもちもちしてる

「若いっていいわね

「うむむむ……ふえ?

さすがにいっぱい頬を突かれたり引っ張られたりしたので、レイラは目を覚ました。

「いたた…。何だかほっぺが痛い

「おはようレイラ、やっと起きたようね

「この童顔!お前が炎で宿を破壊したせいで野宿になったぞ!

「ふえ? 破壊した?私が?

「どうやら覚えてないのね、レイラ

阿鐘は呆れたような顔でレイラを見た。

「な、なに?阿鐘?そんな呆れたような顔しないでよ!

「レイラ、もうちょっと感情を抑えた方がいいぞ

華鈴も呆れたような顔になっていた。

「二人して何? 私何かしたの?

「結論を言うと、レイラがドラゴンに変身して放った炎の玉が宿屋に直撃したの

「結果半壊してしまった宿に泊まるわけにもいかないので野宿になったわけだ

「…………ふええええええ!?

あまりのことにレイラは驚きを隠せなかった。

なんせ自分がこの状況を作り出してしまった犯人で、しかも建物を破壊したのだから。

「あわわわわ、私捕まっちゃうの!犯罪者!?お母さんごめんなさい!私は罪を犯しました!

「大丈夫よ、まだレイラが犯人なんてばれてないから

「だからそういう理由もあって今回は宿に泊まらなかったわ

「そうだぞ、ばれなきゃ犯罪じゃないからな

「うわわ、ごめん~!

レイラは二人に必死で謝り、宿を破壊したことを反省した。

阿鐘と華鈴はレイラを許し、改めて野宿する場所を探しだした。

そして探すこと一時間、ようやく寝れそうな所を見つけ焚き火をした。

「ふぅ~ ようやく寝れそうなとこを見つけたわ

「そうだな、流石にあたしも疲れたよ

「ごめんね、こんな周りに木々が生えている森の中に野宿することになって………。

「もういいわよレイラ、それより次気を付ければいいのよ

「まったくだ、もう理性吹き飛んで建物壊すなよ

「うん、私理性が保てるように頑張る!

「そうしてね(そうじゃないと世界が滅ぶから)

「頼むぞ(まじで暴走すると世界が滅んじまうからな)

二人はそう思いながら、レイラの決意を聞いていた、レイラもいつになく強い意志が(うかが)える顔つきをしながら宣言していた。

「それじゃああたしは寝るわ、おやすみ

そういうと華鈴はすぐに寝息を立て始めた。

「はや!もう寝たわね、アタシ達も寝ましょうかレイラ

「うん、おやすみ阿鐘

「おやすみなさい、レイラ

「そういえばレイラ

「何?阿鐘?

「食料買ってアンタのリュックの中に入れたから

「ふえ?

阿鐘はそう言うと寝息を立て始めた。

 「食料って、何入れたの?

レイラはリュックの中が気になったので、中身を確認し始めた。

 「うわっ!ごちゃごちゃだ!整理しなくちゃ

そういうと、中身を暫く整理した後レイラは眠った。


 同時刻、レイラ達と別れたレイは独り言を呟きながら森を歩いていた。

そして、その後ろを木々に隠れながら近寄ってくる謎の男がいた!

「はぁ~ レイラちゃん、辛いだろうけどもう少し待っててね

「あと少しで貴女の命を脅かす存在を消せるから

「ちょうど、私に会いに向こうから来たようだしね

そういうとレイは男が隠れているであろう木に向かって闇の気弾を放った!

「うわっ!

男は驚き飛び退いた!

「いきなり攻撃とはいいご挨拶じゃないか、五月雨レイさん

「貴方に言われたくないわね

「どうせ私の後を付ければレイラに会え、私とレイラを殺せると思ってたくせに

「そうだとも、ならどうするというのかね?私を殺すのかい?

「愚問ね、当たり前じゃない、私は貴方を殺して自由になる!

「そううまくいくかな

「うまくいかなきゃ、私たちに平和はない!あの子に会えない!

レイは再度闇の気弾を出現させ、今度は複数個投げた!

「フっ、そんな攻撃もう見切ったぞ!

男は余裕の表情を浮かべながら気弾をことごとくかわしていった。

それに対してレイのほうは、何故か余裕の表情をしていた。

「フフフ、バカな男ね、私の策略にはまるなんて…。

「なに、どういう意味だ!?

「貴方、私が時間を操れることを知ってるかしら?

「時間を止める能力だろ? そんなのすでに調査済みだし、対策も講じてる!

「あらら、調査が足りてないわね

「私の能力は時間止める能力じゃなくて、時間を操る能力よ!

「この意味、分かるかしら?天才科学者さん

「時間を操る……っ!

レイの言葉を理解した男の顔がみるみる青くなっていった!

「どうやら理解できたようね、それじゃあ…見せてあげる

そう言ってレイは何か呪文を唱えはじめ、そしてそれが終了した直後に不思議なことが起きた!

レイの動きが目に見えないほど早くなり、逆に男の動きがスローモーションになっていった。

「し…まった……。

男は自分の予想があたり、これから何をされるかも理解していたので恐怖を感じていた。

そしてレイは青く光る魔剣を出現させ、男の心臓を一突きした!

「がふっ!

男はそのまま地面に倒れ動かなくなった。

「フフフ、これで、これでやっとレイラに会える!邪魔者がいなくなったのだから!

「待っててね、レイラ……もうじき会えるわよ

レイは動かなくなった男を念の為魔力で消し炭にし、レイラに会うため歩き出していった。


レイラ達が眠り始めて十一時間が経過し、()の光に起こされてレイラは目を覚ました。

「ふにゅにゅにゅ、うぅ〜ん、朝? 今何時かな〜

レイラはポケットに入っている母からもらった懐中時計を見た。

時計の針は九時を指していた。

「九時かぁ、ご飯を食べる時間だぁ

レイラは寝ぼけながらリュックに入ってる食料を使い、料理をし始めた。

かなり手慣れた手つきで野菜の皮を包丁でむき、それからきざみ、グツグツと煮えたぎる鍋の中に放り込み、かき混ぜはじめた。

すると、その近くにいた狐娘達は料理の匂いに起こされ、レイラの方を見た。

そこには自分達より女子力の高い童顔少女が半分寝ながら料理を作っていたので驚き、目が覚めた。

「レ、レイラ?アンタ料理が出来たの?!

「しかもコイツ半分寝ながら作ってるぞ! 本能的に動いてるな、これ

「あたしショックなんだけど

「あたしだってショックだよ!あの童顔娘にこの華凛が負けるなんて!

「ふわわわぁ~ ふえ? あぁ、おはよう阿鐘、華凛…

起きたんだね……今朝食を作っているから、待ってて

「おはようレイラ、まさかアンタが料理できるなんて思わなかったわ、随分と手慣れてるわね

「うん、お母さんがいなくなってからずっと一人だったから、料理も自分でやってたから

「そ、そうなんだ(そういえばそうだったわね、まずいこと聞いちゃったかな~)

「まぁ、料理ができるんだからいいお嫁さんになれるな!よかったじゃないか

「ふえ!? お嫁さん?! そ、そうかなぁ~ えへへ♪

「…………(照れてるとこが可愛い!)(阿鐘・華凛)

「待っててね!もう少しで出来るから!

レイラは褒められて気分がよくなったのか鼻歌を歌いながら料理を作っていき、

数分後できあがり、そして食事を開始した。

「どう二人とも、おいしい?

「おいしいわよレイラ、正直悔しいぐらいよ

「本当! 少し照れるかな~ 華凛はどう?

「文句のいいようがない、正直半分寝ながら作ってたから

どんな料理ができるか不安だったが、まともだったから逆にムカつく!

「うんん?私は今褒められてるのかな~ それとも怒られてるのかな~

「褒められてるのよレイラ、華凛はレイラの女子力高くて嫉妬してるだけよ

「それはお前だって同じだろっ!女狐!

「何ですって! アンタだって女狐でしょ!

「二人とも喧嘩をしないで!私が料理作ったからいけないんだよね、ごめんね……。

レイラはそのまましょぼくれてしまった。

「ち、違うのよレイラ! これは決してアンタのせいなんかじゃないわ!

阿鐘は焦り気味に弁解をしていた。

「そうだぞ、別にお前のせいってわけじゃ

華凛も焦り気味に弁解した。

「そうなの、本当に?

「うんうん!(阿鐘・華凛)

「じゃあもう喧嘩しないでね、そんなの見たくないから……。

「わかったわよ、ごめんね

「悪かったな、さあ食事の続きをしようか、せっかくの食事が冷めちまう

「そうだね、食べよう♪

阿鐘達はレイラの機嫌を直すことに成功し、三人は食事を再開した。


 食事を済ませた後、レイラ達は支度をして森を歩き始めた。

魔物が襲ってこないか警戒していたためしばらく沈黙状態で歩いていたが、

その沈黙を破るように阿鐘が二人に話しかけてきた。

「んん~ それにしても中々いいと思わない?

「何がだ?

「この森よ、周りには緑の木々、そしてその木々から差し込む太陽の光♪

日陰になってるから涼しいし空気も新鮮!とてもいいところじゃない♪

「だったらお前はここに住むといい、アマゾネスのような狐になれるぞ♪

「張り倒すわよ!アンタ!

「どうして喧嘩になるの!? 空気が新鮮で景色も最高!これでいいでしょ!

「おぉ、童顔レイラちゃんが怒ってる!喋り方までハキハキと!

「華凛、次変なこと言ったら前に買った氷魔法の書の効力を華凛に試すよ…いいの?

「悪かったよ、そんなに怒るなよ(大人しい奴が怒ると本当に怖えぇ)

「だって童顔って言うから、結構気にしてるんだよ……。

「何でだ? 女の子なんだから可愛くていいじゃん

「私は童顔より美人がいいの

「そうか? 私は可愛い顔の方がいいがな

「アタシもそう思うけど

「阿鐘と華凛は美人だからそんなことが言えるんだよ、私は童顔で子供っぽいから

「十七歳は十分未成年の子供じゃないか

「お酒は二十歳からだしね、アンタはまだまだ子供のままでいいのよ、レイラ

「それにアンタがさっさと成長しちゃったら、アンタのお母さんがショックを受けるわよ、見ない間に顔が違うってね♪

「そうなの? お母さんにショックを受けられるのは困る……。

「それに大丈夫よ、あんたが大人になれば美人になれるわよ

「そうかな~ でも大人になっても顔が変わらないと思うんだ~

「なんで断定できるの? そんなの分からないじゃない

「だってお母さん大人だけど、 童顔だし…お母さん好きだけど……。

「……………。(なるほど、納得だわ……。)

「と、とにかく、そんなの大人になってみなきゃ分からないんだから、

今から気にしてるんじゃないの!

「うん……。

レイラは少し不満げな顔をしながら歩みを進めた。

阿鐘はその顔を見て可愛いと思いながら歩き出した。

華凛は阿鐘とレイラを見て、『まるで阿鐘がレイラの保護者みたいだな』と思いながら歩み始めた。


 歩くこと一時間、三人はモンスターに囲まれていた!

「ちっ! こいつら結構面倒だぞ! 集団で袋たたきに来てるぞ!

「はわわわ! このままだとみんな殺されちゃう!

「落ち着いてレイラ!上手く行動をとれば逃げられるかもしれないわ!

「どうやって!? 魔物がどんどん近づいてくるよ!

「今考えてるわよ!

「おい!魔物が飛びかかってきたぞ!

「ふえあああああああ!

魔物が一斉にレイラ達に飛びかかってきた!レイラはもうだめだと思った。

だがその時、呪文を唱える女性の声が聞こえてきた!

「エンド・オブ・ザ・タイム!

そしてその瞬間、魔物達が全滅していて、フードを被ったローブの女性が

レイラ達のそばにいつの間にか現れていた!

「なにっ! 魔物が死んでるぞ!

「どういうこと? 何でいきなり死んでるの!

「ふえ? どうして? というより何でお母さんのそっくりさんがいるの!さっきまでいなかったのに!

三人が混乱しているといきなり現れたローブの女性が説明をし始めた。

「落ち着きなさい、3人とも、私たちの再開の邪魔をする奴らを時間を止めて殺しただけよ

「時間を止めて殺したって、それが一瞬で全滅させた答えになるのかよ!

華凛は何が起こったのか分からなかったためローブの女性の言葉に反論した。すると小バカにしたような口調で返事が返ってきた。

「いいのよ、感情任せの脳筋さんはわからなくても

「何だとこの野郎っ!バカにしてるのか!

「あら? それ以外に何かあるかしら?

「ムキぃいいい!

華凛はバカにされてすごくお怒りだった!だが、その様子を見ていた

阿鐘が話が進まないと思い、止めに入った。

「華凛、アンタもう引っ込んでなさい、話が進まないわ

「ちっ、わかったよ

「それで、アンタは何しにここに来たの?

「何しに? そんなのわかってるでしょ? レイラに会いに来たのよレイラに

「わ、私に? なんで?

「フフフ、そうね、久しぶりに力試しをしたくなったから

「力試し!? また戦うの?

「あら? やっぱり怖いのかしら?

「……………。

レイラはローブの女性の質問に黙り込んでしまったが、

すぐに覚悟を決めた顔になり、武器を持ち身構えた!

「いいよ! 私はこんなとこで負けてられない!お母さんを見つけるまでは死なない!

「フフフっ、レイラ、いい目をするようになったじゃない、覚悟が決まった目をしてるわ

「それじゃあ、一勝負しますか!

そういうとローブの女性は魔法弾を手に出現させてレイラに向かっていった!

レイラも剣を構え女性に向かって走り出した!


レイラはローブの女性との間合いを詰めた後、持っている剣を強く握り相手の首めがけて振り上げた!

しかしその攻撃をあっさりよけ、レイラのお腹めがけて膝蹴りをかまし、さらに予め出現させておいた小さめの魔法弾を背中に放ち、レイラを地面に叩きつけた!

「かはっ!うぐぐ、痛い……。でも負けない!お母さんを見つけるまで!

レイラは少しよろつきながら立ち上がり、剣を構えた!

「フフフ、レ(・)イ(・)ラ(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)中々強くなったじゃない♪でもね、まだまだ動きに隙があるわ、

そんな隙だらけだとこんなことされちゃうわよ♪

ローブの女性はそういうと一瞬でレイラの背後をとり、真剣勝負中にもかかわらず後ろからレイラの

大きめな胸を鷲掴みにした!当然胸を揉まれたレイラ本人は顔を赤くして悲鳴を上げた!

「ひゃああああああああああああああああ!?な、なに?!行き成り!?ふええええええっ!

「ほらほら暴れないの、レイラちゃん、フフフフ、()に(・)()て(・)

けっこう大きく成長したのね、ほれほれ

「うひゃあああっ!揉まないでよぉ! もう!いい加減にしてよ!

流石に揉まれすぎて怒ったのか、レイラは手を振り払い攻撃を仕掛けた!

だがこれもあっさりとかわされた。

「流石に怒っちゃったかしら?でも、怒り任せじゃ私には勝てないわよ、

もっと相手の思考を読んで行動しなくちゃね♪特別に待ってあげるから考えてみなさい

「はぁ~はぁ~(思考を読むって、どうすればいいの?)

「…………。(私の攻撃はあっさりかわされちゃうし、たぶん魔法を使うことも読まれてるから防がれる可能性が高い、そして何より時間を止めて

一瞬で私の背後に近寄ってくる技が厄介)

「……………。(打つ手が思いつかない、やられちゃう)

レイラは考えても対策が思いつかず、絶望してしまった。だがその時、

頭の中に直接語り掛けるように阿鐘の声が聞こえてきた!

「………。(レイラ、聞こえる?)

「阿鐘?呼んだ?

「…………。(馬鹿レイラ、声に出して私を呼ばないでよ!折角あいつに探られないように頭の中に直接話してるんだから、黙読するような感じで話して)

「………。(ごめん阿鐘、それで何?)

「……………。(いい作戦を思いついたのよ、よく聞いてね)

「………。(まずアンタがあいつに抱きつく、頬ずりをしながらね)

「……はい?

「……………。(そしたら相手の動きが止まるから、

その隙をついて攻撃魔法をおみまいしなさい!)

「………。

「………………。(ちょっと、聞いてるの?レイラ?)

「………。(阿鐘、敵を動けなくするために抱きつくはいいとして、何で頬ずりまでする必要が?)

「…………。(余計なことは考えなくていいの! アンタの童顔で頬ずりされたら

あいつは動けなくなる!)

「……………。(童顔って……わかった…。)

レイラは少し疑問に思いながら作戦を実行するためにローブの女性を見た。

するとそれに気づいたのか、やっと終わった?というような感じでレイラを見た。

「脳内作戦会議は終わりかしら?それじゃあ、いくわよ!

ローブの女性はまた時間を止めてレイラの背後をとった!そしてそのまま攻撃を仕掛けようとした時に、レイラは作戦通り抱きつき、そしてローブの女性の胸あたりに頬をすりすりした。

「なっ!?なに?!

予想外の行動にローブの女性はかたまった。

「……………。(あわわわ、む、娘が私に頬ずりしてる、可愛い!

しかも抱きつきながら、これはどんなサービス!)

ローブの女性は嬉しくてそのまま、ぼ~っとしていた、だがそんなことお構いなく、

レイラは次の行動に出た!手に闇の球体を出現させ、それをローブの女性のお腹に向けて放った!

「ぐえっ!(うぅ、これがあの狐と打ち合わせした作戦ね、なんてえげつない作戦を

思いつくの!レイラちゃんは気づいてないけど、あの金狐は私がレイラの母親だと 知っててこんな作戦を!そうよ!愛娘に抱きつかれたうえ、頬ずりまでされたら動けなくなるわよ!)

ローブの女性は阿鐘を睨み付けた!そして阿鐘は自分の作戦が成功してドヤッ顔をきめてた!

「………。(フフン、どうよレイラ、あたしの作戦は結構効いたでしょ♪)

「……………。(うん、何だかよくわからないけど効いた、ありがとう阿鐘)

「…………。(フフフ、どういたしまして、さぁそのままとどめをさしちゃいなさい!)

「……。(わかった!)

レイラは阿鐘の言う通り、相手が怯んでいるうちにとどめをさすため、剣を持ち、そして薙ぎ払った!

確実に倒せた! レイラはそう思った、しかし剣はローブの女性に当たる前に見えない

壁のようなもので防がれてしまった!

「ふえっ!? な、なんで!攻撃が防がれた!

「はぁ、レイラちゃん……可愛い顔して人の心を弄ぶなんて…悪い子さんね……。

「あう、ごめんなさい……。

「レイラ!そいつの言葉に耳を貸しちゃダメっ!

「えぇ!?

「戸惑っちゃって、可愛い♪おかげで隙だらけよ!

ローブの女性はレイラが戸惑っている隙に頭を五発軽く殴った!

「あいたぁ!うぅ……。痛い………。頭をポカポカされた~

「人を騙しておいてその程度で済んだんだからいいでしょ?

「うぅ…そうだけど……でも痛いもん!

「そう、ならこれはどうかしら?

そういうとローブの女性は先ほどレイラがやった行動を真似るように抱きついてきて、そして頬ずりしてきた!

「ふえあああああ!?う、わ、いい匂い…じゃなくて!

「また隙だらけよレイラちゃん!それ!

ローブの女性はレイラのわき腹を突いた!

「ひゃんっ!うぅ、またやられた!

「まだまだね、レイラちゃん♪まだ隙だらけで弱くてお(・)()さ(・)ん(・)悲しい…あっ!?

そのときローブの女性はうっかり自分のことをお母さんと言ってしまった!レイラは

当然聞き逃さなかったので目を見開き問い詰め始めた!

「今お母さんって言ったよね!ねぇ!

「あわわわ、言ってないわよ、気のせいじゃないかしら?

「嘘だ!確かに聞いたもん!お母さんって!

「そんなことないわよ、貴女なんて知らない!

「………もしこれ以上否定するなら私はお母さんのこと嫌いになって、もう一生口を利かないよ

「ごめんなさいレイラちゃん!私が悪かったわ!そうよ、貴女の母親の五月雨レイよ!はぁ、もっとカッコイイ明かし方をしたかった……。

流石に嫌われるのはヤダと思ったローブの女性――五月雨レイは自白した。

「それで、お母さんは私が娘だと知ってて知らないフリをした挙句に、私を痛めつけて最終的に痴漢行為をしたと

「うぅ、ひどい罪状ね…私からすれば知らないフリをするのは辛かったし、戦いを仕掛けて貴女に傷を負わせたのも苦痛だったわ。最後にスキンシップで体を触ったら痴漢扱いは悲しいわ……。

「私がどれだけお母さんに会いたかったか分かる?理由も告げずに行き成り一人にされた

私の気持ちが分かる?お母さん?と聞いたときに否定された気持ちが分かる?

「うん、こんな酷い母親のことを思ってくれていたのは嬉しかったし、

否定した時も申し訳なさでいっぱいだったわ

「…………ねぇお母さん、どうして出て行ったの?理由が聞きたいの

「レイラ……分かったわ、教えてあげる

「でもその前に、貴女がどうやって生まれたのかを教えないといけないわね

「私の生まれ方?私はお母さんの娘じゃないの?

「勿論私の娘よ、レイラ!血の繋がりがある親子よ

「ただ生まれ方が特殊なのよ

「特殊って何で?

「貴女は私が実験で生み出したドラゴンなのよ

「どういう意味?わからない

「元々は私の遺伝子を持つ巨大なドラゴンを作ろうと思って実験してたの、

だけど何かの偶然―いや必然だったのかしらね、貴女が生まれたのよ

「それで貴女の髪の色や目の色は私と同じだけど、他の部分が私と違うのよ

「じゃあつまり、私はお母さんの望まない失敗作になって生まれたの?

「そんなことないっ!貴女は失敗作なんかじゃないわレイラ!可愛い可愛い私の娘よ!

「じゃあ何で私をおいてどっかに行っちゃったの!要らなかったんじゃないの!

「違うわレイラ、貴女を要らないなんて思ったことはないわ。むしろその逆よ!

私がいなくなったのは、貴女を危険視して殺そうとしているバカな奴らどもから守るためよ!

私と一緒にいれば貴女が危険に晒される、とても一緒にいられなかった!

だって貴女のことが大好きだから!

「………………………。

レイラはレイの話を全て聞くと涙が溢れてきた。自分を守るために母親が出て行ったことを知ったのと、そんな優しい母親に対して散々冷たい態度で怒鳴りつけて酷いことを言ってしまったからだ。

「お母さん、ごめんなさい……何も知らなくてお母さんに酷いことを言って……。

レイはその言葉と涙を流している娘の姿を見て、抑えていた感情が一気に溢れ、涙が出てきた。

「私の方こそごめんなさいレイラ、酷いことしちゃって!ごめんね、こんな苦労させて!

「うわあああん、お母さん!

親子は泣きながらしばらく抱き合ってた、再開の喜び、悲しみ、罪悪感、色々な感情が溢れていた。

その様子を見ていた阿鐘と華凛がほほ笑み、そして気を使ってその場を離れた。

それから数十分後、何処かに行ってた阿鐘達がレイラ達のとこに戻ると、

寄り添うようにして笑顔で眠っていた。

「フフフ、レイラよかったわね、お母さんに会えて

「こいついい笑顔で寝てるな、再開出来て幸せなんだろうな

「もうちょっと寝かしといてあげましょ華凛

「そうだな阿鐘、こいつも疲れているだろうしな

「そういえば、阿鐘、こいつの目的って母親探しの旅だったんだよな?

「そうね、母親を探すために旅をしていたわ、それが何かしら?

「いやぁ、そうするとさ、レイラの旅の目的がなくなったってわけだろ?てことはここでお別れってことだよな?

「そうね、少し寂しいけどそれは仕方がないことじゃない

「そうだな、それじゃあ最後にこのプニプニほっぺを突いとくか

「そうね、レイラのほっぺたもちもちしてて気持ちいからね

そういうと二人してレイラの頬を左右からプニプニと突いていた、そして涙も二人とも自然と流れた。

何で涙が出てるのかは、本人たちもよくわからなかった。

ちなみに突かれているレイラはいつも通り曇った顔でうぅ~と声をあげていた。


 数時間後、ようやく目を覚ました親子は阿鐘と華鈴にまた会おうねと言い別れた。

そしてレイラ達は自宅へ向かって歩き出した……が歩き出して1メートルのとこでレイラが気がついた、ここは未来の世界なのにどうやって家に帰るのかと、阿鐘はどうやって帰るのかと。

「ねぇお母さん、ここは未来の世界だったと思うけど、どうやって家に帰るの?

「フフフ、レイラちゃん、貴女のお母さんは時使いのエキスパートよ、

時間移動くらい造作もないわ

「じゃあ阿鐘は?どうやって帰るの?

「そうね、阿鐘さん、レイラが貴女はどうするのかですって、帰る?

「アタシ?どうしようかしら

阿鐘はしばらく考えていたが、華鈴が少し寂しそうな顔をしていたので残ることにした。

「レイラ、アタシはここに残るわ。アタシがいなくなったら華鈴が寂しがるみたいだから。

「おいっ!誰が寂しがってるだ!

「ほら見てレイラ、華鈴のやつ少し口元が緩んでない?

「うん、緩んでる、嬉しそう

「べ、別に嬉しくないわっ!

「だから今回はいいわ、ありがとう、二人とも

「わかったよ阿鐘、それじゃあね♪

「それじゃあね、レイラの友達になってくれてありがとう

そういうとレイは時間移動の魔法を発動し、そして親子は元の時代に帰って行った。

「さて、レイラ達も行ったことだし、アタシ達も出発しましょう

「よかったのかよ、元の時代に帰らなくて

「いいのよ、それにアタシこっちの世界も好きだし

「そうか、ならいいか♪

「フフ、それじゃあ行きましょうか!

二人は会話を終了し、次の街に向かうために歩き出した。そして歩き出してから数分後、

突然阿鐘達を呼ぶような声が聞こえてきた。

「お~い、そこの狐の人達~ちょっといい~

「なぁ、阿鐘、今声が聞こえなかったか?

「そうね、今アタシ達を呼ぶ声がしたわね

「ねぇ~聞こえてる~

「後ろから聞こえるぞ、振り向いてみるか?

「そうね、振り向いてみましょうか

阿鐘達は呼ばれた方を向いた、そして驚いた!

「レイラ?!何でここにいるの?アンタお母さんと一緒に元の時代に帰ったんじゃ

「そうだぞ、何でいるんだ

そう、さっき帰ったばかりのレイラ?が目の前にいたからだ。しかし、一方レイラと呼ばれた人物は不思議そうな顔をして言った。

「レイラ?誰それ?何だか勘違いしてないかしら?私はルチア、五月雨ルチア、時の魔女、五月雨レイの娘よ!

「五月雨…ルチア?レイラじゃなくて?

「確かにそう言われればレイラじゃないな、確かに面影はあるが、髪は少し紫かかった白髪で腰まで長さがあるツインテールだし、目は赤みがかかった黄金色だし、何よりレイラより胸が小さい!

「貴女はり倒されたいの?!失礼な銀狐ね! 

「悪かったよ、それにしてもやっぱりよく見るとさっき言ったとこ以外もレイラとは違うとこがあったな。

「角が生えてるのは一緒だが、頭部左右にアンモナイトみたいな形になってついてるし、少し身長も高いような、でもやっぱりレイラに似ている……。

「なぁ、阿鐘、こいつレイラの……。

「えぇ、そうね、もしかしたら


「ねぇ、何さっきから話てんの?それより聞きたいことがあるんだけど、五月雨レイという人物が今どこにいるか知ってるかしら?

「さっきレイラと一緒に元の時代に帰って言ったわよ

「帰った?ふ~ん、そう……それじゃあもう一つ、さっきから出てくるレイラって誰?

「レイラは五月雨レイの娘で、アタシ達と一緒に旅をしていた十七歳の少女だ、お前より可愛い性格をしてるぞ!

「可愛くなくて悪かったわね!それにしても五月雨レイの娘って、私以外にはいないはずだけど、誰なの?

「さぁな、でもレイ本人が娘だって言ってたから間違いないと思うぞ

「ウムムムム……。

「そういえば、アンタって歳いくつなの?

「銀狐さん、女性に年齢を聞くのは失礼では?

「女同士なんだからいいだろ!あとアタシは華凛って言うんだ!んで、こっちの金髪が阿鐘!

「そう、華凛と阿鐘ね、分かったわ。それと質問に対しての答えね、二十四歳よ、それが何か?

「そうか、なぁ阿鐘、やっぱりこいつレイラの姉だわ

「なるほどね、だから顔が少し似ているのね

「ねぇ、それが何かって聞いてんのよっ!華凛!

「うっさいわ!大人しく待ってな発情娘っ!

「はぁあああ!?発情娘っ!?上等よ!こらっ!死ぬ準備は出来てるかしら!

「んだよ!レイラと違って短気な性格だな!

「それはアンタもそうでしょ華凛!

「やかましいわ!阿鐘!

「はいはい、それじゃあ二人であの生意気少女を倒すわよ華凛!

「あぁ、アイツをぶっ飛ばすぞ!

二人は拳を構えルチアをボコボコにする準備を始めた!ルチアも魔法弾をくらわせる為、銀色で先端に宝石が付いている魔杖を出現させ、そして構えた!

「さぁ、覚悟しなさい!泣いて膝まづかせてあげる!

互いに睨み合い、そして今戦いが始まる!


 阿鐘達が未来の世界で戦いを始めているとき、元の時代の家に帰っていたレイラとレイは

親子でイチャイチャしていた。

「フフフ、レイラちゃん、私の可愛いレイラちゃん、なでなでしてあげるわ♪

「ふわわわぁ~お母さん、えへへ…嬉しい♪

二人ともとても幸せそうな表情を浮かべながら過ごしていた。

数時間後、レイのもう一人の娘が現れることをまだ知らない、平和の顔をしていた……。



                               終わり



ここまで読んでいただきありがとうございます。また小説の方を投稿していこうと思いますのでまた読んでいただいたり、感想を言ってもらえるとありがたいです!それではまたよろしくお願いいたします!

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