プロローグ
とりあえず、少しのあいだ連載します。(全八話くらい)
人気があれば、続きを書きますね。
「くっ……相討ち、かよ……!」
この世界を滅ぼす存在であった、デウス・エクス・マキナ。
機械仕掛けの神に何度も戦いを挑み、俺は勝利した――つもりだった。
「でも……これでやっと死ねるな……」
俺は、今までたくさんの命が失われる光景を間近で見てきた。
もううんざりだったんだ……。
俺を慕ってくれた女性、一緒に戦ってくれた友、助けて仲良くなった町の子ども……。
俺と深く関わった人間は、全てが例外なく死んでいった。
いつからか、そんな俺に付いた名前は――【死神】
そんな風に呼ばれるようになってからは、俺は他人との接触を極力避けてきた。
それでも近付いてくるモノ好きはいた。
「そんなジンクス……俺は信じてねえからな?」
そう言って近付いてきた男は、ひと月ほど経って、あっけなく魔物に殺された。
「私があんたのさみしさを埋めるから……!」
そう言って俺の心に触れた女性は、俺を庇って死んだ。
「私は貴方が嫌いよ、自分が一番不幸って顔をして……! 次に会ったときはもっとマシな面を見せなさい!」
偉そうにそう言った女は、次に会ったとき、頭のない死体になっていた。
「ろくな思い出がねえな……」
全てを笑い飛ばしてやりたかったが、昔を思い出し感傷的になっていた俺に、そんなことはできなかった。
俺は勇者だったわけではない。
ただ人より強かっただけだ。
「なんでこんなことになっちまったんだろうな……」
こんなことなら旅に出るのではなかった。
田舎が嫌だった。
ただの村人で終わりたくなかった。
自分に何ができるか試してみたかった。
そんな青臭い考えをしていたことを心から後悔する。
もし旅に出なければ、今は亡き故郷も救えていたかもしれない。
「後悔ばっかだよ……人生なんてのは……」
俺は大分意識が朦朧としていた。
迫りくる死を回避する方法などありはしないだろう。
死への覚悟を決めた、その時だった。
ピー
甲高く耳障りな音が、辺りに響く。
「な、なんだ……?」
音のなる方へと顔を向けると、先程俺が倒した敵――デウス・エクス・マキナがそこにあった。
「まだ死んで、なかったのか……!?」
もう俺に動く気力や体力はない。
ガシュー
音を立てながら機械仕掛けの神が崩れていく。
否――開いていく……。
「な……!」
機械仕掛けの神が開いた中から出てきたのは……フルフェイスの兜をかぶった小さい女の子だった。
「これが……デウス・エクス・マキナの正体……なのか?」
「どうも、私は――」
彼女が何かを言ったが聞こえない。
「検閲が入るか……仕方ない」
彼女は俺の方に歩み寄っていく。
「すまないが時間がないんだ。あなたの了承を得ずに目的を遂行させてもらう」
「な、何を……!」
彼女は俺の手を取り、その手で――
「グッ!」
――自身の体を貫いた。
「な、なにをやってるんだ……!」
「すまない……説明は、して……やれない。だが、これで、あなたは……助かる、くッ……!」
「どうしてだ……?! どうして、助ける?! どうして俺の近くにいる人間はみんな死んでいくんだ?! 俺はもう……死にたかったんだよ……!」
俺はやっと死ねるはずだった!
置いていかれるばかりの人生から、やっと解放されるはずだったんだ!
この叫びはただの八つ当たりだ。
しかし、彼女はそんなことを気にすることもなく、ただ自身の言いたいことを言うだけだった。
「それは、あなたのせい、では、ない。……もう、時間が、ないようだ……後は、――に、聞いて、くれ……」
その瞬間光があふれ、俺の意識もその光に溶けていった。
今日は二話投稿予定です。
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