村の攻防
ひと時の幸せを感じるユウト。しかし村に警鐘がなり事態は一変する
警鐘の音が鳴り響く。俺たちは急いで外に出た。
警鐘はモンスターや山賊が襲撃する際に鳴らされる鐘だ。これが鳴ると言う事は、村に危険が近づいている事を表す。
「・・・おかしい。」ガディは走りながら呟いた。警鐘が鳴り響いているのに誰も出てこない。まるで隠れるかの様に成りを潜めている。
「・・・ガディ、悪いがミアとクラナの3人で村から離れてくれないか?」俺は足を止めた。3人も足を止め俺を見る。
「・・・嫌な予感がするのか?」ガディは俺を見ながら聞いてくる「あぁ。多分、全員で行くと駄目だと思う。」俺はガディの質問に答える。
「でも、ユウトはどうするの?」とミアは俺の裾を掴む。「俺はこのまま行って様子を見てくる。何かあればすぐ逃げれるようにな。」俺はミアの手を掴み微笑む。
「わかった。落ち合う場所はいつもの所でいいか?」ガディはそれを見て俺に確認する。
「いや、待ち合わせ場所は北の国境にある街で会おう。」俺の言葉にクラナが反応する。
「北の国境って、この国から出るって事かい?」クラナは驚きながらもある程度察していた。俺が何を考えているのかを。
「そうだ。この国から国境を越えてジュバリツに行く。」俺はクラナを見る。
王都ジュバリツ。この世界にある大国の一つであり、俺たちがいる国ガルバフォンと敵対関係にある。敵対と言っても、お互いを牽制し合っているだけで、亡命した者達を受け入れてくれたりしてくれる。
「わかったよ。私とガディでミアを守るよ。だから必ず追いかけて来な。」クラナはそれを聞き俺と反対側へ向かう。
「ミア、悪いけど少しの間お別れだ。」俺はミアを見た。
「・・・うん。わかった。」ミアは俯いたまま頷き、俺の裾から手を離す。
「行くぞミア。」ガディはミアの手を掴み俺と反対の方向に走り出す。それに続いてクラナも走り出した。
3人を見送り反対を振り向く。「さて、次の算段は・・・」俺は今から起こる事に対しての最適化を行いながら村の入り口に走り出した。
「やっぱり・・・な」俺は家の陰から入り口をみる。そこにはガルバフォンを統治する国家ガルフォンの騎士達が何人もいた。警鐘を鳴らしているのは案の定ガルフォンの騎士だ。
俺が陰から見ていると村長が騎士達の前に歩みでた。「騎士様、これはどう言う事でございますか?」村長は騎士の中でも豪華な鎧を着た騎士に話しかける。
「うむ。急な訪問失礼した。私はガルフォン騎士団団長のグレーニンと言う。この村で転生の儀式が行われたと言う報告が入ったので確認しに来たのだ。」グレーニンはそう説明をしながら馬を降りる。
「な、なんと!?その様な事が・・。」村長は驚きの余り目を見開いた。
「それで早速だが、この村で長期間寝たきり。または瀕死の状態になった奴はおらんか?」グレーニンは村長に確認をする。
「瀕死と言えば、ユウトと言う若者が意識不明で寝込んでいましたね。」村長は俺の事を説明する。
「なるほど。そいつの家は何処か?」グレーニンが村長に確認をする。
「それならば私が案内致しましょう。こちらです。」と村長は俺の家へ案内をする。
「これはかたじけない。おい!誰も出ない様に見張っていろよ?数人は俺に続け。」グレーニンは数名の騎士を連れて村長に続いた。入口には5名の騎士が入口を塞いでいる。
「転生の儀式がバレている?何故?」俺はその疑問から一つの答えを導き出す。恐らく、転生による罪で俺の処刑。次にミアを捕まえる。か
俺は騎士達の話しを盗み聞きする為に魔法を発動させる。「風よ。その流れにより我に音を授けよ。」その瞬間音が大きくなる。この魔法は風の流れを感じて空気の振動により音を拡大する魔法だ。俺は騎士達の言葉に耳を傾ける。
「それにしても、こんな小さな村の為にグレーニン団長含め10人の騎士を遠征させるとはなぁ。」騎士の1人が隣にいる騎士に話しかける。
「どうやら、この村に王の隠し子がいるらしい。天使の加護を受けているらしいな」話しかけられた騎士は先ほどの騎士に答える。
「でもよぉ、天使の加護があるにせよ捕まえたらイイじゃねぇか。何でこんなにも人を派遣するんだ?」騎士は納得がいかないみたいだった。
「その隠し子には3人のボディーガードが付いていてな?紅剣士クラナ。黒術士ガディ。そして神軍師ユウトこの3名が付いている。」騎士が説明をする。
「なるほどな。この3人が居るならこれも納得か。」騎士はそう言いながらため息を吐く。
「・・・クラナ、ガディの二つ名まで知っているのか。」俺はそこまで聴き、魔法を解除する。
「さてさて、困ったなぁ。奴ら本気でミアを捕まえるつもりだな。これは、本格的に亡命の準備をしないと。」俺はため息を吐いた。
「そろそろ、俺たちが居ないのに気がつくか。俺も逃げる準備を・・・」と動こうとした瞬間。ガチャ。っと家の窓が開いた。
俺が恐る恐る窓を見ると初老の女性が俺を見て居た。どうやら着替えて居たみたいだ。服で体を隠しつつ声を震わせて叫んだ。
「覗きよー!!」その声に入口にいた騎士が3名走ってくる。「ちょ、、まっ、」俺は急いでその場を離れた。
「このタイミングはマズイ。」俺はそう呟きながら村の反対へ向かう。それと同時にグレーニン達が反対側からやって来た。
「いたぞ!神軍師ユウトだ!捕まえろ!」グレーニンは俺を見て騎士達に指示を出す。
「ったく、こうなるよなぁ。」俺はため息を吐き次の最適化を行う。
「・・・これしかないか。」俺は横道に入り一気に駆け抜け、馬小屋へ足を運ぶ。馬小屋には10頭の馬が繋がれている。
「お前達、悪いな。少しだけ力になってもらう、ぜ!」俺は繋がれている馬達の手綱を外し入口に向かわせる。外を見ると向こうからグレーニンを筆頭に騎士達が走ってくる。
「頼むぜ?」俺は馬達を撫でながら魔法を唱える。「風よ。その音を利用し鳴れ」俺が手を合わせるとバァン!と音が鳴る。
その音に驚き騎士達に向かって走り出す。
それを見てグレーニンは背中に背負っている大剣を握り地面に突き刺す。次の瞬間、馬達が一斉に動きを止める。
「ちょ、マジで!?」俺はその光景に叫ぶ。
「馬達を驚かせて私達に向かわせるとは中々な発想だが、私には通用しないぞ。」グレーニンは俺を見る。
「さて、と。そろそろか?」俺はグレーニンを見ながら答える。
「何をいっ、て・・・」グレーニンはそう言って顔を蒼ざめる。彼らの横から大量の蜂が飛んできたからだ。
「悪いね。ココは養蜂場が近くにあるからな。地面を揺らしたら彼らが怒ってくるぜ?」俺はそう言って踵を返して走り出す。
「クソッ!ええい!鬱陶しい蜂供がァァ!」グレーニンと騎士達は蜂に集られて動けない。
「あ、そうそう。これだけは言っておく。ミアは絶対に渡さない。何があってもだ!もし手を出すと言うなら、次は戦場で叩き潰す!覚えておけ!」俺はグレーニンに向かって叫ぶ。
「舐めた事を!いいか!お前達は今日から犯罪者だ!この国全てかお前達を狙うことになるぞ!?」グレーニンが叫ぶ。
「だからどうした!ミアを失うより恐ろしのは無い!上等だ!やってみろ!」俺はそう叫び姿を消す。
「ぬぅぅ。ユウトめ、殺すには惜しい奴だ。」グレーニンは蜂に集られながらもユウトが消えた所を睨む。
しばらくして蜂達は養蜂箱に戻っていった。
今回、色んなキャラと場所が出てきました。もし分かりづらい部分がありましたらすみません。
なんか話しが膨らみすぎて来てる感が否めない_(:3 」∠)_