ミア
【俺】から告げられる、ミアへの想い
明かされるミアの秘密
「ミアの為?」俺は【俺】に問う。
「あぁ。【俺】の記憶を継いでるから知ってると思うが、俺はあいつが好きだ。」【俺】は続ける。「あいつとは小さい頃から一緒の幼馴染だ。」
それは【俺】の記憶が覚えている。ミアと【俺】はどんな時も一緒だった映像が頭をよぎる。
「【俺】はそんなミアが大好きなんだ。あいつを、誰にも渡したく無い。あいつも【俺】を好いてくれている。死んで悲しませる様な事はしたく無い。だから、転生をしたんだ。」【俺】はそう言いながら肩を落とした。
「・・・それで」俺は肩を震わしながら叫んだ。
「何が、ミアの為だ!勝手な自分の事情を彼女のせいにするんじゃねぇ!俺の気持ちはどうなる!仮に生きたとして、お前の意思は無くなるんだぞ!?」俺は【俺】に向かって怒鳴りつける。
「・・・すまない。だから転生は禁忌とされているんだ。勝手な願いとは思っているが、俺の代わりにミアを守ってやって欲しい。そして、幸せにしてやってくれないか?」【俺】は悲しそうな顔で俺を見た。
「・・・何でミアを守らなきゃならないんだ?」俺は【俺】に問う。
「記憶が無いのか?」【俺】が確認をしてくる。
確かに一部の記憶が無くなっている。殆どの記憶は継いでるいるが、思い出せない記憶がいくつかあるのだ。
「・・・恐らく、転生した時の弊害だろうな。時間が経てば思い出すだろう。」【俺】はそう言いながら続ける。
「ミアは、【俺】の国の王の血を引く第二王女なんだ。」【俺】はため息を吐く。
「ミアが、第二王女だって?」俺は唖然とした。何故なら、俺が目を覚ました時、ミアと一緒に居た所は明らかに王族とは思えない程に質素な場所だったからだ。
「まぁ、表向きにはされて無いがな。ミアは、王が遠征の折に立ち寄った村の女性に目を掛けて、ミアが産まれた。ミア自身は、父親が亡くなったと思っている」【俺】はそこで一息つくと、さらに続けた。
「王はミアが産まれた事を知らないままだった。だが、最近になってミアの存在に気づいたみたいだ。」【俺】は肩を落とした。
「だけど、それなら王に守ってもらえばいいじゃないか。」俺がそう言うと、【俺】は低い声で呟いた。
「・・・王はミアを殺すつもりでいる。」その一言は俺に恐ろしい程響いた。
「なっ!?何でだよ!」俺は驚きを隠せなかった。俺の常識をはるかに超える非常識に頭が追いつかない。
「王は第一王女を溺愛している。多分、王が退位した際には王女となるだろう。そこに名も知らない女性との間に出来たミアは邪魔でしかないと思っている。」【俺】の言葉に俺はただ息を呑む事しか出来なかった。
「これがミアを守らなきゃ行けない理由。そして、俺が死ぬ訳には行かない理由だ。」【俺】はそこまで言って口を閉じる。
「でも、ミアを殺すならミアに呪いを掛ければ終わりじゃないか?何で【俺】に呪術を掛けたんだ?」俺はそこがわからなかった。
「・・・それはミアに天使の加護が宿っているからだ。これは、ミアに降りかかるありとあらゆる災厄、不運を好転させるからだ。」
天使の加護、それは【俺】の記憶が知っていた。
天使の加護を持つ者は極少数でしかないが、一度授かれば災厄、不運。ありとあらゆる病気、呪術なども無効にしてしまう。愛されし者しか授かれない物だ。
「もちろん、これは王も知っている。だからこそ周りの者を殺し絶望したミアを殺そうとしたのだろう。」【俺】は体を震わしながら答えた。
俺はそこまで聞いて、考えた。あまりも理不尽な王の意思。俺は吐き気を覚える程の邪悪さに苛立ちを隠せない。だからこそ、こう思う。
「わかった。ミアを守る事を誓おう。今後、いかなる場合であっても彼女を守ろう。【俺】として」俺に迷いは無かった。
「ありがとう。これで俺は心置きなく逝く事ができる。」【俺】は笑いながら俺を見る。
「後の事は目が覚めたら自然とわかるさ。後、この世界は、魔法とかモンスターとかありの世界だ。ミアと存分に楽しんでくれ。」そう言いながら俺の体が細かい粒子となって消えていく。
「あ。そうだ。」【俺】は最後に付け足した。
「今後、いかなる場合でもお前の思うように行動してくれ。【俺】はもう【俺】じゃないからな」
そう言い残し【俺】は消えていった。
「・・・」俺は何も言わぬまま目を閉じた。これから起こる、非日常に不安になりつつも、まだ見ぬ色んな世界に心踊らせながら、目を開いた。
あけましておめでとうございます。更新遅くなりすみません。
作ったやつを消してしまい、最初から作り直しました。次回から9日以内の更新を目標に頑張りたいと思います。
次から、やっと、俺【侑斗】だけになるからわかりやすくなると思います。
では、今回はここら辺で失礼します。