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劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです  作者: 山外大河
二章 魔戦開戦編

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28 暁隼人という男 上

(なんだ……なんか急に雰囲気変わったな)


 それはあまりの変貌という程の変化ではないのかもしれない。

 だけど確かに纏う雰囲気は変わった。向けられる視線も変わった。

 だからこそ、ほんの少し動揺せざるを得ない。

 そして動揺している赤坂に対し、暁は言う。


「まずあの狙撃を回避したのも凄かった。どうやったのかは分からないけど、一戦目は当たった事を考えるとお前はあれを攻略したわけだ。それにあの土壇場で幻術を見抜いたのも見事。そこからの動きもただ身体能力の出力が高い奴の動きじゃなかった。きっと随分と特訓を詰まないとできない事ばかりだ」


「お、おう……」


 突然赤坂を褒めちぎってくる暁に動揺しながらそう返す。


(……なんだ、一体どうしたんだコイツ)


 流石に意味が分からない。


「まあ技量もそうだけど、あの状況で諦めずに喰らいついてくる姿勢も良かった。中々できる事じゃないと思うよああいうのは。あとは――」


「ちょ、ちょっとまて暁。一旦ストップ!」


 流石に赤坂は暁の言葉を止める。

 そして止められた暁は不思議そうに赤坂に聞いてくる。


「どうかしたかい?」


 すっとぼけるように暁はそう言う。


「いや、どうかしたとかじゃなくてな……一体急にどうしたよお前!」


「どうした……か。まあその反応も無理ないか。俺多分キミに結構強く当たってた感があったからね。ああ、そうだ。先にその事について謝っておくか」


 そう言って暁は一拍明けてから言う。


「悪かったよ。正直僕はキミを挑発するつもりでああいう事を言っていた。そして……キミを完膚なきまでに叩き潰す為にこの戦いを挑んだんだ」


 突然の言葉に思わず赤坂は暁に言う。


「んなもん一体何の為に……というかそれ俺本人に直接言っていいのかよ」


「寧ろ言わないといけないだろう。その事について僕は素直に悪かったと思った。だからキミにしっかりと誤っておくのが筋ってもんだろう」


 そう言った暁は一拍明けてから言う。

 この戦いを始めた理由を。


「正直キミに苛立ちを覚えてたんだよ僕は」


「……俺なんかしたか?」


「魔戦に参加した」


 暁がそう言った事で、一瞬昨日の中之条の様な無茶苦茶な言葉が飛んで来るのかと思ったがそれは違った。


「知っていると思うけどキミは今相当注目を浴びている。今大会のダークホースだとか……まあ普通科のやべー奴というのはちょっとどうかとは思うが、本来注目を浴びるべきでないキミが大きな注目を浴びている事は間違いない」


 そして、と暁は言葉を続ける。


「なんとなくこれは俺の憶測でしかなかったけれど、普通科から数合わせでキミの様な不思議な力を持った生徒が参戦してきたという事は、ただの数合わせではないと思った。寧ろキミを出す為に篠宮さんが協力している様にも見えた。どうやら篠宮さんは個人戦への参加は申請していないみたいだしね」


「……」


 おそらく団体戦に出る多くの生徒は個人戦にも参加申請をしているのだろう。

 つまりそれをしていないのに団体戦に参加した美月はある意味少数派で、しかも態々普通科から二人も助っ人を呼んで参戦した。そしてその内の片割れには魔術とは違う異能の力が宿っている。

 確かに暁が辿り着いた答えは充分に辿りつけるものだと、赤坂は自分達の立てた作戦の粗を突きつけられた気分になる。

 だけどそれがどうして赤坂を叩き潰すというという目的に繋がったのだろうか?

 何故それで暁は赤坂に苛立ちを感じたのだろうか。

 その答えを暁は口にする。


「正直だとすればふざけんなと思った。魔戦に参加する生徒はみんな真面目にやっていて、それを不思議な力を持っているからといって。魔術科の生徒をも打ち破れるからといって、掻きまわしていいものじゃないって」


「……」


「だから叩き潰して、調子に乗るなって。その意思をキミに直接叩き込んでやろうと思った」


「……それであんな挑発みてえな事言ってきたのかよ」


「ああ。まあ実際キミじゃ相手にならないと思ったのは事実だったけど」


 だが、と暁は言う。


「キミの動きをみていれば。戦う姿勢をみていれば。キミが生半可な気持ちで戦っていないというのは良く分かる。別にどういう事かは教えてくれなくなって構わないけど、キミ自身がこの魔戦に目的を持って挑んでいるのだとすれば、それはキミにとって大事な事なんだろう?」


「……まあな」


「やっぱりな。だとすれば、今回は俺のやろうとした事が間違いだった」


 そして暁は一拍明けてから言う。


「参戦理由がどうであれ、キミは真面目に頑張っている人間だった。そんな相手を称賛もせずに敵視ばかりしていれば暁の名が廃る。さっきのはそういう事だ。キミは凄かった。だから素直に褒めた。それだけだ。ああ、だから相手にならないというのも勿論撤回だ。篠宮渚と一騎打ちしている所に突然キミが現れれば正直キツイ」


「……」


「実際キミ一人にも負ける可能性がある事は理解できた……っと悪い。なんかこれだと軽い悪口みたいだな」


 そう言って暁は苦笑いを浮かべる。


 美月は暁の事をあまり良い性格してなさそうと言った。

 まだここで少し話しただけで、暁が美月の視界に入る中でどういう事をしていたのかは分からなかったが、少なくともそれ程悪い奴ではないんじゃないかと赤坂は思う。

 ……少なくとも、本当にこの場の暁しか知らない赤坂はそう思った。


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