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劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです  作者: 山外大河
二章 魔戦開戦編

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21 勝つための戦術を

「……さて、どうするよ」


 第二試合が始まり今度はどこかの住宅街に転移した赤坂は、とりあえず周囲の建物の影に隠れながらそう思考を凝らす。


(……アイツ、確実に俺を狙える様な近距離にいやがったのか? でもある程度の距離ならもっと有効な手段がある筈だ……少なくとも世界大会の中継を見てる感じだとそういう距離で狙撃してくる様な気はしない)


 ……だけどそれでも狙撃でやられた。それはつまりより有効そうな手段が見受けられる中距離ではなく遠距離による攻撃だったという事だろう。

 そしてその遠距離で見事射抜かれた。

 これが果たしてマニュアルで標準を合わせたのだとすれば、それはもう誰も太刀打ちできない様な完璧な狙撃手の完成だ。

 ……だがいくら学生の中でトップを取ったからといって、それが魔術師としての完成かと言われればそれは違う。

 故にきっとそれはマニュアルチックな射撃ではない。

 ……何かそれなりに高速で動く人体を正確に射抜けるような理由が張る筈だ。


 そして考えれば一つの答えが出てくる。


 ……例えばそれがマニュアルでなくオートで標準を定める類の術なら。

 特定の何かにむけて撃ちだす。そこに向けて突き進むようなそういう術式なら。

 そういう風に設定された術なら、逆に細かな調整はできないものの遠距離からでも目的地に吸い寄せられるように魔術を打ち込む事ができる。

 ……では、果たして何を目掛けて魔術を撃ち放ったのか。


(……何か、ね)


 赤坂は思考を凝らす。


(……あれは俺の体を正確に貫いた。そして俺が移動し続けていた以上、その何かは地形とは関係ねえな。だとすりゃ間違いなく俺自身か)


 そしてそこまで辿り着けば自ずと答えは導き出される。


(……そもそも当たる当たらないはともかくオートマチックに照準を合わせて射出する様な術式なら、その術式に俺の位置情報を認知させないといけない。で、位置情報を認知する為の材料として考えられるのは……)


「……体温か魔力って所か」


 基本人間を魔術による探知で探す場合には人間から発せられるそれらを利用している場合が多い。

 ……そしてさらに絞り込めば遠くの人間の位置などを探る際には通常魔力を探知する術式が多く使われる。


(……って事は俺の魔力で術式に位置情報を読み込ませてそして)


 きっとそこからが肝だ。


(俺の魔力源を着弾地点として設定し、そこに吸い込まれるように魔術弾を叩き込む。多分そういうカラクリだな)


 だとすれば当てられた事に納得が行く。

 そうであるなら多分マニュアルよりも遥かに命中精度が上がるだろうし、そして赤坂はその魔力を全身に纏っている状態だ。もう外れる方が不思議にも思えてくる。

 ……そう、外れる方が不思議なのだ。


「……で、分かった所でどう攻略していくか」


 暁のこの芸当は恐らく校内予選では使われない。

 おそらくこれは暁を除けばこのフィールド内に魔力を有するのが赤坂だけだから成立する術式だ。おそらくそれ以外の相手がいればそれに引っ張られ精度が落ちる。

 そうでなければ多分この術は団体戦で大流行してしまうだろう。あまりにも都合が良く強すぎる。

 だから他の魔力に引っ張られない。この戦い限定の戦術。


「ちょっと待て……引っ張る?」


 赤坂の脳裏に電流が走るように、策が浮かんできた。


「そうだ。なんだよ行けるじゃねえか」


 そして赤坂は建物の物陰から出る。

 暁隼人と戦う為に。

 ……今思いついた策を実行に移す為に。


「確実じゃねえが……十分だ」


 そう言って赤坂は拳を握る。

 そしてどこにいるのか皆目見当も付かない暁に向けて、赤坂は言う。


「攻略してやるよ。だからさっさと撃ってこい暁」

投稿呉速攻で加筆修正しました。

なんというか自分のライフワーク考えると毎日更新無理な気がする。

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