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劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです  作者: 山外大河
二章 魔戦開戦編

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7 普通科、二つ名を獲得する

 学食へ訪れると当然ながら結構な人数で賑わっていた。

 当然屋上や教室で弁当派という生徒もいる訳だが、それでも約半数は学食を使っているのだろう。普通科と魔術科の生徒が入り乱れて休日のデパートのフードパークみたいになってしまっている。


「席取れるか?」


「まあそれは問題ないだろう。並んで座れるかどうかはともかく席の数だけは全校生徒座れる位あるのではないか?」


 確かにある程度利用者数を想定して設計しているだけあって、正直その点は問題なさそうであった。

 だからその点は特に問題なさそうで……発生したのは全く別の問題。


「あ、普通科のやべー奴だ」


「……おい、普通科のやべー奴がいるぞ」


「……」


 ……主に近くにいた魔術科の人達が赤坂を見てそんな事を呟いている。

 ……なんだかとんでもない事を呟かれている。


「……なんだか凄いあだ名が付いてるな」


「……」


「いや、あだ名というよりは二つ名とでも言うべきか。聞けば昨日の中之条という先輩は要塞という二つ名が付いているそうじゃないか。そんな先輩を打ち倒して付いたのならば……赤坂、お前の二つ名は普通科のヤベー奴という訳だ」


「いやいやいやいや、ちょっと待て。待ってくれ黒田」


 ……赤坂、内心汗ダラッダラである。


(いや、ちょっと待て。冗談だろ? なんだよそのやべー二つ名。冗談だよな? 一部の奴がそんな事言ってるだけで、それ俺の二つ名みたいな感じで広がってねえだろうな?)


 ……とにかくそうであってほしい。

 だけどなんだかそうとは思えない程度には色々と聞こえてきてしまう。


(くそ、誰だそんな事言いだした奴!)


 全く見当も付かない。そもそもいるのかも分からない犯人に怒りをぶつけた所で、ふと今朝の事を思いだした。


(……まさか里羽あの野郎)


 今朝自分の事を普通科のやべー奴と言ってきた奴の事を思いだした。

 そう、いたのである。

 今朝の段階で赤坂の事を普通科のやべー奴呼ばわりした魔術科の生徒が。


(……あの野郎が広めたんじゃねえだろうな)


 ……とにかく、だとすれば少しどころか結構腹が立つ。

 少し問い詰めて何か言ってやらないと気が住まない。


(……もしかしたら明日も公園に居るかもしれねえ。いたら問い詰めてやる)


「……どうした。凄く不機嫌そうな顔して。それが二つ名になるのがそんなに嫌か?」


 首を傾げる黒田に、げんなりとした赤坂が答える。


「いや普通に考えていやだろ。自分が普通科のやべー奴って二つ名というか異名が付いた時の事考えてみ? 嫌じゃね?」


「……いや、まあそれはそれで面白くていいかなと思うぞ」


「マジかよすげえなお前」


 多分黒田は中々特別性のメンタルをしているのだと思う。

 だけどそんなメンタルを赤坂は持ち合わせていない。

 今まで色々な事を乗り超えてきた。これからだって乗り超えていこうと思っている。

 だけどこう、無理なものは無理だった。


 とにかく、一部の生徒からそんな名で囁かれてメンタルにダメージを負いながらもラーメンを購入。そして黒田と並んで着席。


「まあ元気出せ普通科のやべー奴」


「……おう」


 ……とても嫌な予感がした。

 これ下手をするとそのまま二つ名というか、マジなあだ名として定着してしまう気がする。

 目立つ事は好きで噂なんかが広まるのも嫌いではないのだが、流石にこの目立ち方は勘弁してほしい。どう考えたって悪目立ちすぎる。


「まあ本当に気にするなよ赤坂。こんなのは基本一過性のものだ。昨日のお前はいささかインパクトが強すぎた故こんな形になってしまっているが、ここから真っ当に活躍していけばそれ相応の二つ名が付くだろう」


「……だといいんだがな」


 ……割と真剣に祈りながらそう呟き、いただきますと両手を合わせる。

 その瞬間だった。

 多分、なにげなく空いている席に座ろうと思ったのだろう。

 赤坂と黒田の前の席にカツ丼の乗ったお盆を置いた人物がいた。


「「……あ」」


 そして目が合った赤坂とその魔術科の生徒は互いにそんな声を漏らし、その魔術科の生徒に対し黒田は言う。


「お、誰かと思えば里羽ではないか」


「奇遇だな黒田」


 現れたのは先程色々問いつめてやろうと考えたばかりの里羽栄一郎その人だった。

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