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劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです  作者: 山外大河
二章 魔戦開戦編

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5 普通科のすげー奴

 普通科1-C組に足を踏み入れると、一斉に注目が集まった。


(……なんかすげえ視線を感じる)


 昨日までなら篠宮渚という有名人がいるからと思えたのだが、何しろ昨日色々あった後だ。当然赤坂にも視線は集まる。


「おはよう赤坂。昨日は凄かったな」


「昨日の試合見たんだけどよ、魔術科の二年に圧勝じゃねえか! マジパネエよお前!」


 昨日気が合って友達になった連中を皮切りにクラスメイトに囲まれそんな言葉を四方八方から掛けられる。


「ちょ、おい一斉に喋んな分かんねえって。つーか昨日無茶苦茶ラインでこの話しただろ。まだやんのか?」


 昨日1-Cではクラス全員参加のライングループが作られた訳だが、実を言うと昨日は一時的にずっとぴょんぴょこぴょんぴょこずっと通知が来ていて必死に返信したりしてた。

 だからこの反応を見るのは画面上を含めると二度目なわけだ。正直ネット上でもリアルでも対応しなければならないのはとても大変である。

 大変ではある……が。


「でもお前直接会った時とラインは話別だろ。まあとにかく凄かったぜ!」


 赤坂、差し出された友人の手にノリノリとハイタッチ。

 こういう状況でやれやれ目立ちたくないという人間もいるだろうが、赤坂的には悪い目立ち方じゃなければ普通に目立つのは好きな方である。歓声とか浴びると内心凄いやる気出るタイプの人である。


「てか話きいたんだけど、赤坂君魔術科の魔戦出るんだって? それも篠宮さんと」


 クラスの女子が思い出したようにそう言う。

 そう言えば昨日は決闘がパネェという話題と、一応あまり言ってやるなとは言ったが中之条ンゴwwという話題が大半で、後は赤坂以外の話題がちらほらあり終了という形になっていたので、魔戦の話にはならなかった。

 だけど既にそういう情報を持っている生徒も居たわけだ。


「え? マジで!? これ普通科っつーか1-C無双ワンチャンあるんじゃね?」


「とりあえず俺始まったら応援行くわ!」


「マジで? 頼むわありがと!」


 赤坂、クラスメイトの言葉にテンション爆上げである。


「篠宮さん! 私達も応援行くから!」


「私はなんというか数合わせで、メインは魔術科の私の従姉妹と赤坂さんなんで、別に私は応援しなくてもいいかなーって思うんですけど……」


 一方渚は赤坂に協力している形で本人は別に頑張れと言われてもしっくり来ない感じな訳で。

 渚はやや苦笑いでそう答えるが、やはり同じクラスからそういう人間が出たのであればそういう訳にもいかないだろう。


「いやいや、出るからには応援するよ! 普通は魔術科の生徒しか出ない大会なのに普通科の同じクラスから! しかも同じチームで二人出るんだよ? そりゃ二人とも応援するって!」


 だが渚もまたしっくり来ないだけで。魔術から退いたのも魔術が嫌いな訳でなくそれ以上にやりたいことが見つかっただけで、目立つ事事態は好きな上に慣れている。


「よーし、そういう事ならもう私達優勝狙っちゃいますよ!」


 そうちょっとテンション高めに宣言するとクラスメイトが沸く。


「赤坂的にはどうなんだ? 優勝狙ってる?」


 そしてクラスメイトからのそんな問いかけに、赤坂はノリノリでややドヤ顔気味で言う。


「当然狙わせてもらってます」


「おいコイツらガチ勢じゃねえか!」


「これマジで普通科から全国大会行けるんじゃねえの?」


「行けるんじゃない?」


「行けるっしょ!」


 とまあそんな風に、普通科1-Cでは朝からそんな話題で盛り上がった訳だが。



(……うん、まあ落ち着いたな)



 とりあえず朝にまとめて話題にされて、それをきっかけに昨日殆ど喋らなかった連中とも休み時間に話すようになるなど色々と進展はあったが、流石に昼休みになればそういう話題で声を掛けてくる奴はいない。次は多分試合当日といった所だろうか。

 掛けてくるとすれば飯の誘いだ。


「赤坂、お前昼は学食か?」


 話し掛けて来たのは昨日友人になった、とても落ち着いた雰囲気のある長身の眼鏡、黒田修司。

 今朝の盛り上がりの中で開口一番に声を掛けてきた訳だが、やはりというかその時もとても落ち着いていた。家が古武術の道場らしいがそう聞くとなんとなく色々と納得できる。

 そんな黒田の問いに赤坂は答えた。


「ああ、そのつもりだけど」


「なら一緒に行かないか?」


「おう、丁度誰か飯に誘おうかなと思ってた所だ」


 そう言って席から立ち上がる。

 その時ふと渚の方を見ると、渚は渚でクラスの女子からお誘いを受けていた。

 渚が普通科に入った事にクラスメイト達は驚いてはいたものの、既に普通に打ち解けている。

 そんな渚を見て少し安心した。

 実を言うと、本来魔術科にいなければおかしいような渚が普通科にいるというインパクトが初日だけじゃなくそれ以降も残ってしまい、妙に浮くような状態になったりしないかと、少しだけ心配だったのだ。

 だけど普通科に入学というインパクトはある意味最初の取っつきやすい話題としてだけ機能し、そこからは渚のコミュ力で人を引き付けている。

 だからまあ、結果的になんの心配もいらなかった訳だ。


(さて、美月の奴もうまくやってるかな)


 まあ美月の方は心配ないだろうと、すぐにその言葉に答えをだした。

 赤坂が知る限り、篠宮美月は結構誰とでも友達になれるタイプで、気がつけば誰かと仲良くなっているタイプの女の子だ。

 ……誰かと明確に不仲になった事なんて、美月の両親を除けば赤坂の知る限りは一度しかない。


 ……篠宮渚との間にどうしようもないんじゃないかと思えるほどの溝が空いていた中学二年の夏の一件以外知らない。


 そしてそれも無事に埋まったから。

 埋めることができたから。

 そんな美月ならきっと、うまくやれているだろうと赤坂は思う。


「ではさっさと行こうか。早くせねば席が埋まる」


「だな。さっさと行こう」


 だから今大事なのは……並びで取れる席の確保だ。

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